同期がテレビにでたよう

早くも同期がテレビに出てしまった。

今は解決できない焦燥感に駆られながらも
見たら打ちのめされることが分かっていながら
得るものを求めてか、テレビのリモコンへと僕の指は歩を進めていた。

そして人間横丁を見た。
画面が眩かった。ブルーライトのせいだ。
そう言い聞かせる。そうでないと保てない。

「わーー!!」


内田氏の弾ける笑顔の両脇に添えられたピース
その時、私はビビットカラーを感じた
柑橘系の清涼感により夏の訪れを感じてしまい
エアコンのスイッチを入れざるを得ない
そうせざるを得なかったのだ。


僕がエアコンのスイッチを入れるのを
あたかも待っていたように山田くんが

「グーを出した人の勝ち!!」


彼は何を言ってるんだ。そう思った。
しかし、一拍置き、
それはそうだ。と頷いた自分がいた。
だってそうだろう?
俺らはもう引き返せないんだよ。
今更握った拳は解けないだろう。
例えパーが来たとしても、
拳を解いてはならない。
一度、握ってしまったのだ。
嘘があってはいけない。
人間横丁はいつも教えてくれる。

与えて貰ってばっかりだ。
そう思うことにより、
今まであった嫉妬や羨望の心は消え、
もっと輝け、前へと進め。
そう思えるようになった。
人間横丁はいつも教えてくれる。

そうだな。
次に住むなら人間横丁がいい。
1番好きな人と1番好きな街に住む。
それが1番健康的に良いに決まってる。

情けないけど金はないからさ
六畳一間。築40年。二階建ての安アパート。
一時も狭いとは思わせないくらい
幸せにするからさ、
この狭い部屋に幸せを充満させよう。
場所を取らない物で部屋を一杯にしよう。

子供?そうだなぁ。
別に何人でも良いけどさ、
男の子と女の子が欲しいな。
男の子には野球。
女の子にはソフトテニス。
いや、何でもいいか。
世界で一番幸せな子供なんだから、
過程なんてどうでもいいな。
最後に「幸せだったなぁ」
そう思える生き方は何を選ばずとも出来るさ。

中学生になった娘は反抗期。
年をとった僕に当たり散らし、
目も合わない日が増えてきたね。
でもいいんだ。分かってるから。
君がここに生まれて幸せだってこと。
大好きなこの街が教えてくれる。

高校生になって
少しは話してくれる様になったね
目も会う日も増えてきた。
高3にはバレンタインに手作りのチョコを
恥ずかしそうに渡してくれたね。

でも大学生になって
君は遠くの街で一人暮らし。
別の幸せを見つけたのかな。
こっちからの連絡ばかりが増える。
でも良いんだ。キミが幸せなら。
キミがこの街に帰ってくれることは分かってるから。

時代にそぐわぬ銭湯の煙突。
肉屋のコロッケが揚がる香り。
見慣れた通学路。いつもの溜まり場。
高台から一望できるパノラマ。

息子も野球で大学へ行き、
ついに六畳に僕と君だけだね。
狭いとは思ったことはないけど
初めて広く感じたこの空間。
寂しくはないよ。また幸せで埋めていこう。
2人分の幸せで。
余った分は彼らの吉報を聞いた時に埋めていこう。

ふう

なんだこれ



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