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好きだけど、わかんない

昔から、お笑いが好きだった。

関西生まれなのもあってか、笑いはいつも身近にあったように思う。
毎週よしもと新喜劇を見ていたし、M-1、R-1、キングオブコントなどの賞レースはもちろん、エンタの神様、レッドシアター、笑いの金メダルなどのネタ番組から、めちゃイケ、ワンナイ、アメトーク、ロンハー、ゴッドタン、ウレロなどの所謂バラエティ番組まで、軒並み観ていた気がする。

でも。
昔から、今一つピンと来ていないことがあった。

ダウンタウンのこと。

間違いなく面白いのはわかるし、大好きだし、なんなら、ダウンタウンDXもHEY HEY HEYもリンカーンもすべらない話も好きだった。
もっと言えば、酒のツマミになる話は、今でも毎週欠かさず観ている。

でも残念ながら、ダウンタウンの面白さを全て理解しているかと言われると、全くそうではない。
面白い面白くないの前に、そもそも世代的に知らない単語がボケとして使われることもあるし、センスが良いことを言っているのだろうとなんとなく汲み取れるけど、自分にとっては難解で理解できないものもある。

だが、ダウンタウン愛を持っている人は芸人をはじめ多く、ダウンタウンが絶対的に面白いことになっている風潮があって、素直に言いづらいし、ダウンタウンが1番面白いと感じられない自分=センスがないと認めることになってしまう気もして、お笑い好きの自分としては許せず、ダウンタウンのセンスを全て理解してるつもりで生活していたんだけども……。

端的に言って、わかんないのである。

もちろん面白いんだけど、絶対にダウンタウンの笑いを全部理解しきれていない自信がある。
ずっと前からモヤモヤしてたけど、決定打になった出来事があった。
先日行われた、吉本110周年記念公演。
そこでのダウンタウンの漫才がすぐ話題になり、これは見なければ! と、いそいそと配信チケットを購入してアーカイブを視聴。

これが、、、わかんなかった。。

とにかくセンスがあることはビシバシ伝わった。
もちろん、面白い。
でも、日を追うごとにうなぎ上りになって留まるところを知らないその漫才の評価には、ついていけなかった。
なんというか、ダウンタウンはやっぱり神!みたいなテンションがさっぱり理解できず。

面白いのは間違いないけど、自分にとっては、ダウンタウンも千鳥もオードリーも皆並列で面白く見えてしまう。
神、ってほどなのか?という引っ掛かり。
そんな自分の所感とは裏腹に漫才への世間的な評価はどんどん上がっていくので、謎の罪悪感さえ覚え始める始末。


これを機にもう一度ダウンタウンの凄さを冷静になって考えてみたんだけど、ダウンタウンの凄さを、本当の意味で理解できるのは、その時代に生きてた人だけなのかもしれないと思った。

ダウンタウンがなぜ凄いのかを解説しているものの中で、自分的にしっくり来たのが、岡田斗司夫の解説。
ダウンタウンが出てきたことで、笑いの在り方を変えたと説明しており、ダウンタウンが出るまでは、変なことをやる芸人とそれを見て笑う客だったが、わかる人にはわかるネタをやる芸人(ダウンタウン)を見た客がわかる客とわからない客の2つで分かれ、客同士が論争するようになった、元々、客と芸人という関係性から、客と客の対立に派生させた、と。

前述の解説に勝手に乗っかると、今もダウンタウンの笑いがわからない客は一定いるはず。自分みたいな。
ここからは完全なる過激持論だが、若い世代になればなるほど、わからない層の方が実は多いんじゃないか。
なぜなら、若い世代は、ダウンタウンが出てきて笑いの在り方を変えた、という文脈に全く触れてこなかったから。
自分含め、生まれた時には、既にダウンタウンが世に出ていた。
幸か不幸か、僕らはダウンタウン以後の世界しか知らない。
ダウンタウンが出てきた時の衝撃を体感できていない。

そんなダウンタウン以後の若い世代の人気者が、先週のダウンタウンDXで集まって、話していたことが印象的だった。
今テレビに出てるのは40代ばかりで、世代的に知らないアニメで例えられてもわかんない、と。痛烈だけど、わかる、と思った。
よく考えると、ダウンタウンの漫才をべた褒めしていたのも、ダウンタウンに影響を受けているであろう40代くらいの芸人が多い気がする。

その回には、ヨネダ2000、というお笑いコンビも出演していた。
この二人を初めて知ったときは衝撃だった。
よくわからないんだけど、衝撃的に面白い。
そして、若い。二人とも20代前半。
こんな面白いネタをやる若手芸人がいるんだという衝撃もあった。
でも、憧れの芸人を聞いて、愕然とした。
ダウンタウンだった。
ダウンタウンの凄さも物語ってるけど、同時に、第二のダウンタウンが出てきていないことも意味しているのかなと。

今、第二のダウンタウン的な人が生まれるとしたら、きっと、ダウンタウンを否定するような人なんじゃないかと思う。
時代とお笑いの文脈の中で現れたカウンターカルチャーになりえたのがダウンタウンだったはずだけど、今はすっかり国民的存在になったダウンタウンに食って掛かるような人。
いつの時代も、揺り戻しはやってくる。
実はダウンタウンの笑いを理解しきれていない若い層の支持を全てかっさらっていくような新しい才能が出てきた時、第二のダウンタウンが生まれるような気がしているし、ダウンタウン以後の世代としては、今度こそ、そんな人が出てきた時の衝撃を体感したい。

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