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4本ジャ:ジャズ習熟のステップ

40過ぎて本気でジャズ。

Blogとnoteを始めた理由の一つは「ジャズが上手くなっていく過程を残すこと」だった。

何故か。ジャズの先生や上級者に「どうやったら上手くなりますか?」と聞いても、彼(彼女)らには答えられないか、答えたとしても今の彼(彼女)らのレベルのマインドセットや練習内容で、初心者にはあまり役に立たないからだ。多分彼らは上達ステップを意識しないまま上手くなったのだ。

だから僕は、初心者から足掻きながら練習し、効いた/効かなかった練習、ブレークスルー、「上手くなったらこうなるだろう」「上手くなるとは、こういうことだろう」といった予想が当たったこと/外れたことを残そうと思ったのだ。

ジャズ理論自体は大して難しいものではない。分厚いジャズ理論書があり、難しそうなことが書いてある。でも、突き詰めれば12個の音だけだ。

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これが全て。

もう少し言えば、この12キーから、ドから始まればメジャースケールでこれはアイオニアン。レから始めればドリアンとかモードの概念を引き出せる。白鍵を一つおきに重ねたコード(ドミソシ、レファラド)進行が曲の流れを決める。ドミナント(5度ソや4度ファ)からトニック(1度ド)に着地するのが曲の基本構造でジャズは251。黒鍵はテンション。#9, b9, #11 (b5), #5 (b13), b7。どのコードに載せるかによって風味が変わってくる。とかとか。

要領の良い人なら、1週間も理論書を読み込めば頭で理解できる。

頭では、ね。

ジャズ理論に取り組んで最初に「上級者はコード進行を見ただけでアヴェスケを瞬時に看破できるのだろうな」と思った。どうやら正しいようだ。僕も少しずつできるようになってきた。

ただし「イメージとしてアヴェスケの集合が見える?」という予想は外れだった。見えない。でもリアリティを感じる。「音が脳内に存在している」。アベスケ以外が消えるわけでもなかった。#11(キーCなら#ファ)、b9(キーCならbD)などにもリアリティを感じる。

それから楽器に習熟する過程も面白い。

昔「楽器に習熟するということは、脳に楽器専用の回路ができる=脳と楽器がつながるんだろうな」と思っていた。(養老孟司がそんなことを言ってたかな)

どうやら正しいようだ。ただし「脳で思った通り楽器が操れる」のではない。どうやら楽器に習熟すると「楽器が存在しなくなる」。「自分が操作すべき対象としての楽器」でなくなる。一体化するのだ。

僕がピアノでピアノが僕だ。僕の思ったサウンドがそのまま出るのだ。脳内の音を実体化するツールだけど、他者ではなく、声帯とか手足(ジェスチャー)と一緒で、自分そのものなのだ。意思せずとも動作するツールなのだ。

僕はまだまだだけれど、楽器が上手くなるということは、楽器が文字通り自分の身体と一体化していくようなものらしい。

コード記号にリアリティを感じるようになってきた。当初は Gm7 C7 F^7 は単なる記号の羅列に感じられた。Gm7 C7 F7 と、Gm7 C7 F^7 の違いが即座に分からなかった(前者は(F7で終わるなら)こてこてブルース、後者は綺麗めFメジャー)。それに頭でこれはFメジャーの251だと理解できても、アドリブするまでワンクッションあった。パニクっていると手も足も出ない。今はこの進行をみれば何も考えずにFメジャーを弾く。ほぼ無意識。言語化されない。とはいえ#4度m7とかb2度dim7なんかはまだまだイメージできない。サブドミ(b7度7thとか4度m7thとか)が分かるかどうか。

抽象化。音にリアリティを感じると同時に、音を抽象的に把握できるようになるようだ。ドレミファソラシドではなく12345671と捉える。例えばブルーススケールは1-b3-4-#4-5-b7。移調が簡単になる。僕が今分かるのはb3、#11くらいかな。どちらも強烈なスパイスだ。1、2年すればFのブルースフレーズを即座にbBでもbEでも弾けるようになると期待している。(今はまだ時間と練習が必要だ)

モードの意味と値打ちが分かってきた(抽象化からの流れだ)。どこを着地点として、どのスパイスを効かせるか。それがモード。まだまだ使いこなせないけれど。

曲を覚えること。始めた当初は無味乾燥なコード記号を丸暗記して指にコード進行を馴染ませることで曲を覚えようとしたが、すぐに「こんなもん数曲覚えるだけで大変じゃん。こんなやり方じゃダメだ」と直感した。初心者が覚えられるもんじゃない。一方、熟練者やプロの方は何曲も何十曲も覚えている。どうやらコツがあるらしく、それは「曲なんで大体は一緒だから」ということらしい(驚愕!)。どういうことか。頭では分かるよ。ドミナントからトニックに着地するのが大きな枠組みで(クラシックだってポップスだってそうだね)、その流れには5-1 , 2-5-1, 1-4-5-1, b7-1とかとか、一定のパターンがある。そこにたまにディミニッシュが絡み、テンション(b9、#7)が入ってくる。循環が入り、転調が入る。なーんだ。曲なんて一緒じゃん。ということらしい。それで実際演奏してしまうんだからプロはすごいね。僕はまだ「枯葉ならなんとか・・・」というレベルだ。先は遠い。(いつになるかは分からないけど、ブレークスルーの予感はある)



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