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嫌な怒り方

怒り

電話口で「ボケ」と怒鳴りつける場面に出くわしました。後輩に指導していたとのこと。数十分後指導役である彼に社長から電話がかかります。

「後輩君に『ボケ』とか言ってるんですか?」

どうも後輩君自ら社長に「指導役さんが厳しすぎて…」と相談したようでした。
その後その指導役が「最近仕事が増えてきたからあえて厳しくしている。後輩からも『ボケとかアホとかやめてくれ』と言われていたが、仕事に対して限界がきているんだろう。きついのはわかるがこれでついてこれず辞めるとなっても仕方ない。」と語っているのに対して違和感を抱きました。

認知のズレ

「後輩君が相談したのは仕事そのものではなくあなたの暴言に対してのことじゃない?」と聞くと
「本人に『ボケはないんじゃないか』と言われてからは言わないようにしている。なのに今回社長に相談してるから意味が分からない」
「さっき電話で『ボケてんのかよ!!』って言ってたけど…」
どうやら無自覚だったようです。
そこから
「たしかに後輩本人はクオリティはともかくとしてちゃんと仕事をこなしている。」「本人もやる気があると言っている。」となんだか少し目が開けた様子。
よくよく聞くとそれ以外にも嫌味な言い方をしていたようで、
「もし自分が後輩君の立場だとしたらどうか」という質問に対して
「それは嫌だ」という回答。
「であれば言い方を考えるなりして対策しよう。」とその場では終了しました。

怒りの正体

話していた中で気になったのが「後輩のことを見下している」という発言でした。
本人としては「見下しているからこその暴言だ」ということです。
ですがこれは彼に関しては実のところまったく逆。「暴言を吐くために見下している」が正解でした。
自分が否定されないように、自分を守る為に暴言を吐き、強く見せようとしている状態です。その暴言に正当性を持たせるために相手を見下す。「暴言を吐かれても仕方のないやつなんだ」ということにしておく必要があったんです。

いわゆる八つ当たり

そもそもに指導するにあたって相手に暴言を吐き侮辱する必要がありません。発破をかけているのともまるで違います。
暴言を吐く理由としてストレス発散のために人をサンドバッグにして楽しむという人や、単純に口が悪いという人もいます。
ですが彼の場合は指導するうえでのプレッシャーや思い通りにならない苛立ちや不安を暴言によって後輩君にぶつけている状態でした。散々侮辱する発言をしていながら「若いのによくやっている」「ちゃんと実績もある」「自慢の後輩」と褒める様子は暴言を吐いた分のマイナスを取り戻そうとしているようでとても違和感がありました。そして暴言を吐くことでどこかが楽になっているわけではないというのを目の当たりにした瞬間でもありました。

余裕のなさ

この指導役の彼のような人について心当たりのある方は多いんじゃないでしょうか?身の回りの人であったり自分自身であったり…。

なにかしらで余裕がなくなり些細なことで暴言を吐くという結果に陥っている状態ですが、誰にでも余裕がないときというのはあります。それは仕方のないことですが、相手も暴言を吐かれることによって余裕がなくなってしまいます。

暴言を吐いたら吐かれたら

もし自分が暴言を吐く側だったとしたら「なぜ暴言を吐くのか?」という部分に向き合ってみてください。もしかすると暴言を吐く必要性はないということに気づけるかもしれません。
吐かれる側も余裕があれば「なぜあえて暴言を吐くのか?」と考えてみるのがおすすめです。自分自身も顧みることができますし、余裕をなくしている相手により添えることもあるかもしれません。ですがもしそんな余裕がなければ可能な限り離れてください。指摘や指導ではなく暴言は文字の通り言葉の暴力です。「仔犬がじゃれて甘噛みしてきた」ぐらいにあしらえるならともかく、相手がどうあれ自分自身に余裕がないのであれば自分の身を守るのが先決です。

余裕のなさが原因のすべてではないですが、今回の記事を読んで「もしかしてそうかも…」と考えるきっかけにしてもらえるといいなと思います。


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