前略、松本人志様

前略、松本人志様。
お元気ですか?僕はいささか元気がありません。

昨年末、あなたに関する告発記事が出ましたね。
最初に報道が出たとき、僕はなんとも思いませんでした。
あなたは常に女性遊びを隠しもせず笑いに変えて僕を楽しませてくれていたからです。
またあなたは怒り散らかして訴訟でも起こすんだろうな。またどっかで笑い話にしてくれるだろうから楽しみだな。くらいに思っていました。
それなのにあなたは芸能活動を休止することを選びましたね。
とても残念でした。言葉になりません。

思えば今僕がここにいるのは、松本人志様、あなたのせいです。
物心ついた時からあなたはテレビの中にいて、父親を笑わせていました。
幼かった僕はあなたの笑いが理解できずドリフターズのビデオを繰り返し観ていた記憶があります。
中学生くらいでしたか、ガキの使いに熱中し始めそれからはあなたが作った様々なコンテンツを入り口にお笑いにズブズブハマっていきました。
そのせいでいつの間にやらよしもとの裏方養成所に通い、あなたがいる東京にやってきました。
あなたと仕事するなんて夢のまた夢で、理想と現実は全く違い心が折れました。お笑いなんて見たくも聞きたくもない時期がありました。そんな時でもあなたが作ってきたお笑いだけはどうしても嫌いになれなかった。僕に根付いたものだから。
そのおかげでなんとかかんとか今でも縁でお笑いの仕事に携わらせていただけています。感謝しています。

もう時代が違うと言われればそうなのかもしれません。
タレをカイた話で女性観覧者たちから爆笑をとっていたあの頃が健全ではなかったのかもしれません。
でもそれがなんだってんだ。面白いものが健全であってたまるか。
ゲロ煮詰めたようなつまらない連中があーだこーだつまらないことゴタゴタ抜かしている健全なコンテンツなんて糞食らえだ。
あなたを理解し大好きな人間であればあるほど、あなたが聖人君子とはかけ離れた存在であることは理解しています。そんなこと差し引いてもあまりあるくらいあなたが好きなんです。泥まみれでもいいからテレビで悪態ついて笑わせてくださいよ。頼むから。

前略、松本人志様。
あなたがいなくなってしまったら僕は何を軸にお笑いを見ればいいのかわからなくなります。つまり僕の中のお笑いが死ぬんです。
あなたは若い頃から"時がくれば引退する"と言ってましたね。こんな流れで引退なんかしたら許さないからな。あなたが引退するのは万雷の拍手の中であってください。

今夜も放送室を聴きながら眠ります。あなたが戻るまであなたを毎日感じることにします。気持ち悪いくらい好きなもんですから。

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