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拙い一句から、季節の話
『春か夏 どっちかはっきり してほしい』
これは小学校6年生のとき、俳句の公募に提出した一句。僕の学校では毎年、伊藤園の「お〜いお茶 新俳句大賞」に、6年生全員が応募していた。
自分の記憶の中では、おそらく、春の終わり頃に、花粉症から一刻も早く解放されたいという願いを込めた一句だったような気がする(ただ、どんなに想像を膨らませたところで、この想いを汲み取るのは無理そうです)。
その圧倒的なレベルの低さからか、なんなのか。今なお、なぜだか頭に残っている。小学生ということを差し引いても、趣も無ければ、何の工夫も感じられない一句で恥ずかしい。
しかも、これを提出したのは、本来の締め切りよりも数日遅れて。考えに考えた挙句、このクオリティ。申し訳なさそうに職員室に行くと、担任の女性の先生が笑みを浮かべながら「堀込くんらしくていいね」と言って受け取った。「〇〇さんらしくていい」というのは、褒めるポイントが無いときの苦肉の策のような気がする。
『テスト前 猛スピードで 振り返る』
これは、表彰されていた同級生の一句。お〜いお茶のラベルに一時、載っていたとのことだ。テストを間近にして、焦り気味の生徒がページを捲る様子が想起される。当時、小学生ながらにかなりの差を感じて、自分の句と同様、これもまた印象に残っている。
ちなみに、上の一句には季語が無いけれど、 新"俳句"大賞といっても、季語は必ずしも使わなくて良いというルールになっていた。
3日前、関東の梅雨明けが発表されたけれど、あまりに季節の変わり目が明瞭すぎるように感じて、この拙い一句が思い出された。数年前はもう少し、徐々に夏空へと移り変わっていたように思う。梅雨明けの発表についても、「もう明けたの?」とか「まだじゃない?」とか、人によって意見が分かれていた。でも今年に関しては、まるで議論の余地なしといった感じだ。
「昨日までは梅雨!今日からは夏!」というように、これだけ途端に季節が切り替わると、なかなか身体がついていかない。体調管理が難しい。
「どっちかはっきりしてほしい」とややもどかしく感じるくらいの方が、趣もあって身体も馴化しやすくて、いいのかもしれない。あまりはっきりし過ぎないでほしい。
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