350円の冒険

引っ越しから気づけば早2ヶ月が経った。
30代になってからの時間の早さは本当に舌を巻くほど速い。
生活がどんどんルーティン化されてくるし、効率化した脳みそだと日常の機微にまで感性が働かない。効率的に時間を処理するから日々を過ごすのはラクだけど、そのラクにかまけてるとあっという間に時間が過ぎてしまう。

昔何かで聞いた話によると、人生を80年とした時に、年齢で言うと真ん中は40歳だけど、体感速度でいうと真ん中がなんと19歳だという。
出所不明でソースがあるわけでは無いけど、この話が最近自分の中でジワジワと信憑性を増してきている…。

なんかこのままじゃいけないかも!
と無駄に焦ったり、心配したり、なんかするけど続かなかったり、それでも容赦なく時間が過ぎていく日々を過ごす中で最近ハッと気がついた事がある。

それは『350円で苺のパックを買える』ことだ。

この事に気づいたのは友達がウチに遊びに来た時と、親がウチを見に来た時だった。どちらの時もたまたま、近所のスーパーで苺のパックをお土産に買ってくれた。

苺なんて滅多に食べないし実際美味いしで貰って大喜びだったんだけど、最近帰りのスーパーでその苺が1パック350円だと知った。

これが個人的には衝撃的で、まず間違いなく今の持ち合わせで買えるし、お土産にもらった時の嬉しさ楽しさと換算してもあまりに安い。

あの非日常的な苺は実は日常に紛れて存在していて、手を伸ばせば直ぐに買えるのにルーティン化した自分の感性ではそこにあることに気付けなかった…。
自分がいかに生活というものに飲み込まれているのか実感するとともに、実は人生は結構自由だと言う事にも気づけた。

350円あれば苺のパックが買える。いつでも。

これを知ってるかどうかは大きい。
350円の可能性や自由度がこれのおかげでグーンと広がった。
そうは言っても苺を買うというのはラクな日常のルーティンから逸脱した行為で、僕にとっては小さい事だけど冒険だ。ほんの少しだけど勇気がいる。
だけどこの少しの勇気を行使して、ちょっとずつ感性を磨いていきたい。

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