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養子縁組団体の突然の廃業に不安を抱く養親の方々に 〜子どもの出自を知る権利を守るひとつの方法〜


 先日、東京都内の民間あっせん機関ベビーライフが事業停止したことが報道されました。

 報道では、同団体を通じ300人以上の子どもが養子として委託されており、子どもが成長する過程で大切な、子どもの出自等の情報が十分提供されていなかったこと。

 また、それによって子どもたちの「出自を知る権利」が脅かされるのではないかと危惧する声も聞かれ、そういった養親子のことを思うと、胸が痛くなりました。

 先日の記事で、本件を教訓に、万が一団体が廃業した際に備えて、養子縁組情報一元化と養親家庭のケアを引き継ぎスキームを整備していくことが必要であることを先日の記事で提言しました。


 民間養子縁組団体の突然の「廃業」事件についての解説
 https://note.com/komazaki/n/nf30abbcf468e


 しかし、本件のような理由であっせん機関から情報が得られなくなった場合にも、養親・養子が子ども自身の出自を知るための手立てが1つ残っています。今回の事件を受けて不安を持った方の役に立つのでは、と思い記事にしました。

 ほとんど世の中的に知られていないのですが、それは、家庭裁判所の保管資料です。


特別養子縁組の審判書、調査資料とは

 特別養子縁組の手続きは、養親が家庭裁判所に申し立て、調査官による面談などの調査を経て、裁判官による審判を経て成立します。

 その特別養子縁組の審判が結審した際に届く、審判書という書類があります。

 審判書とは、実親が特別養子縁組を選んだ経緯なども書かれた書類です。そして審判書は特別養子縁組の確定日から、30年間保管されています。

 また、審判のために調査した経緯がまとめられた「調査資料」も特別養子縁組の確定日から5年間保管されています。

 これらの書類は、養親が申し立てを行った家庭裁判所で保管されているため、当事者(利害関係者)であれば家庭裁判所に出向いて、家庭裁判所の許可を得た上で、閲覧・謄写(コピー)を請求することができます。
(申立当時の住所地の管轄の家庭裁判所に出向く必要があります)

 これで養子が出自を知りたい、と思った時のために、養親はあらかじめ裁判所から資料を取得しておくことができます。


政府のすべきこと

 この「裁判所で審判書と調査資料が保管されているよ」ということは、社会的に全然知られていません。養親さん達にもです。ですので、しっかりと周知していくことが重要です。

 また、裁判所の審判書と調査資料の保管が現状通りの期間で事足りるかと言うと、やはり微妙です。審判書の30年は長いようで、養子が大人になってからと考えるとすぐ来てしまいます。調査資料の5年に至っては、養親さんが裁判所への開示請求手続きについて知っていたら十分な長さですが、知らない場合がほとんどなので、知った時にはもう遅い、となるでしょう。

 よって、せめて審判書と同様に30年保管にする。もしくは審判書も調査資料も50年にする、というルール改正が望ましいのではないかと思います。

 先日「行政が養子縁組情報バンクをつくろう」と呼びかけましたが、裁判所が現行制度を改善し、擬似的にその機能を担う形でも良いのでは、と思います。
(ただその場合、委託後の実親情報があった場合反映できなくなるので、その辺りの論点は残りますが)
 

不安な養親の方々のための補足

 それまで知り得なかった子どもの出自について情報を得たことにより、どのように捉えたらよいかわからず気持ちが不安定になったり、子どもにどう伝えていったら良いか悩んだりすることもあるかもしれません。

 そんなときは、ひとりで悩まずご相談ください。

 以下、特別養子縁組の委託後の相談に乗ってくれる専門の相談機関を示しておきます。

■養子縁組後の相談窓口(社会福祉法人日本国際社会事業団)
https://www.issj.org/post-adoption/


 養子である子ども達の自らの出自を知る権利が守られ、養親の方々が安心して子育てできるようになることを、心から願っております。


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NPO法人フローレンス代表理事。慶應SFC卒。05年〜訪問型病児保育を開始。08年Newsweek「世界を変える100人の社会起業家」に選出。10年から待機児童問題解決のため「おうち保育園」開始。後に小規模認可保育所として政策化。14年、障害児保育園ヘレンを開園。