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恩師の突然の死によせて

 僕は大学時代、学校にもまともにいかずITスタートアップの経営をしていた。

 にも関わらず、当時のゼミの先生は「どんどんやれ」「みんなも駒崎を見習え」って、めっちゃ褒めてくれた。彼は授業の中でも、「リスクを取るのは尊い」「イノベーションとは、リスクを取った一部の人間のみが起こせる」と口を酸っぱくして言っていた。

 それが、榊原清則先生だった。

 挙句の果てに、学生ベンチャーで全然稼げて無い貧乏な僕と、一緒にルームシェアしてくれて、家賃の一部払ってくれて。今思うと、当時は先生もたいしてお金も無かっただろうに。

 このエピソードは日経の交遊抄というコラムに紹介したことがあった。感謝の気持ちを込めて送っても、ノーリアクションで。そういうところは飄々としていた人だった。

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 そんな恩師が亡くなった、と先輩からメールが来た。

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 しばらく前からご病気をされていて、随分体も小さくなられてしまっていたので、いつかこういう時も来るのかな、と思ってはいたけれど。

 お葬式もコロナで無いので、感情の持っていく先が、無い。

 ああ自分は先生に胸をはれるような人生を、本当に歩めているのか。

 人々のための、本当のイノベーションに、全力でリスクを賭けられているのか。

 もう会えなくなる前に、先生に聞いてみたかった。


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