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2023年末の仕事

2023年末の書き仕事について、告知しそびれてしまったので、下記にまとめます。
【告知①】
朝日出版社WEBマガジン「あさひてらす」で連載中の、「何を読んでも何かを思い出す」、第18回目が更新されております。

タイトルは「水準器とベランダ」です。

第17回を書いた直後(4月中旬)から、書店員を辞めることを真剣に考えはじめました。
それまで、家のことと、書くことと、書店の店頭に立つことのすべてを、平均以上でやろうと思っていました。
極端なことを言うと、そうでないと書くことは続けられないとずっと思っていた。
書くことを、だれからも責められたくなかったのです。

あるときから書店の仕事の比重が高くなってきてしまい、悩んだ結果、書店員を手放すことにしました。
それまでは、自分が書店員を辞める日がくるなんて、考えたこともなかった。

わたしはこれまで「書店員」という肩書に、自分のアイデンティティを肩代わりしてもらっているようなところがあったと思います。
いったんそれをとりはらって、とりはらった場所から、自分のことを考えてみたいと思いました。

そうして書いた文章が、「水準器とベランダ」です。
書店員を辞めた大塚が、いったいどんなことを考えはじめたのやら、と、おひまなときに読んでいただけたらうれしいです。

【告知②】
『AERA』2024.1.1-8合併号、「いま読みたい本100冊」特集に寄稿しました。

「戦争、野球、酷暑、将棋、芸能 今年を読み解く一冊」の文芸、エッセイジャンルの選書をしました。

つい先日、こちらからネットでも読めることに気がつきました。

ページのお隣が、書店員のころからお世話になっている、柴山浩紀さんご参加の、「困ってる人文編集者の会」さまの記事だったことも、うれしかったです。

【告知③】
港の人連載「まばたきする余白ー卓上の詩とわたし」、第11回が公開されました。
今回は、衣更着信の3つの詩をとりあげています。

衣更着信の名を、自分がいつどこで知ったのか、荒地がらみだとは思いますが、まったく覚えていません。
ただ、わたしにとっては、なぜか北村太郎、鮎川信夫くらい馴染みがありました。
名前のひびきも好きでした。

今回、はやめに衣更着信の詩をとりあげることに決めてから、彼について書いてある文章を探してみましたが、思ったよりずっと少なくて驚きました。
小池昌代さん『通勤電車で読む詩集』(NHK生活人新書)でとりあげられた「孤独な泳ぎ手」がおそらくいちばん有名ではないかと思います。

上記でとりあげられているので、別の詩にしようかと思いましたが、やはりこの詩の伝わりやすさを重視したいと思い、自分でもとりあげることにしました。

わたしは、これもあまりに有名な吉野弘の詩作「I was born」と骨組みが似ていると、ずいぶん前から思っていたのですが、そういう言及も見つけられなかったです。

海についての数々の詩を残した、異色の荒地詩人、みなさまにどう伝わりますでしょうか。

おそらく「荒地」の詩人を紹介するのは、ひとまず今回でひと区切りになると思います。
お読みいただけたらうれしいです。

2024年も、書くことで自分にできることを、誠実に、謙虚に、探っていけたらと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

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