ロックなんか聴かない

あいみょんにハマっている。発端はがっきーのドラマ「獣になれない私たち」だった。それまではロックを聴かない女の子に恋している今時なあだ名のぱっつんな女の子ぐらいの、ふんわりした印象だった。ドラマはあまり見ないし、特にがっきーのファンというわけでもないし、どうしてあのドラマを見始めたのか今となってはまるで記憶にないが、とにかくそのドラマの主題歌を歌っているのがあいみょんだった。ビールの泡と二進も三進もいかずひたすら悶々とするドラマの中身とあいみょんの歌と、どれもが絶妙に私のツボにハマった。ビールは飲めないけども。

それからApple Musicで全て配信されていることもあり、あいみょんを聴くようになった。余談だが、私の音楽の趣味は年をとるごとに丸くなってきている。高校生の頃のアイドルはblankey jet cityだった。もう少し大人になりスピッツにハマり、今あいみょんにハマっている。なんだか分からないが魅力的なのだ。

つい最近、昨年のツアーファイナル横浜アリーナでのライブディスクが発売された。すぐにAmazonで予約し取り寄せた。Amazonは本当に便利だ。Amazonがなければ今頃私はミニマリストになれていたに違いない。Blu-rayディスクが到着し、ベリベリと周りのビニールを破り中身を取り出した。中にはディスクと、オフショットやライブショットを集めた小さな写真集が入っていた。早速ディスクを再生する。気分は息を止めて埃まみれのドーナツ盤に針を落とす少年だ。画面にライブ映像とオフ映像との2択が表示され、迷わずライブ映像を選んで再生する。冒頭はライブが始まるのを待つ観客をアリーナ上方から映した映像だ。暗がりに1万2千人(とあいみょんが言っていた)が映し出される。言ってはいけないかもしれないが、誰でも頭の奥にムスカが過ぎる人の多さだ。最初の感想は「横浜アリーナでかいな」だった。そこにあいみょんとバックバンドが現れ演奏が始まる。中身についてはこれから見る人に失礼だし、何より感想は十人十色だと思うので触れない。とにかく、私は満足だった。

ライブ映像を見終わったあと、小さな写真集を眺める。当たり前だけども、あいみょんがたくさん写っている。楽屋で丸眼鏡をかけて無邪気に笑う姿を見ると、危うく自分も前髪を切り揃えて丸眼鏡を買おうかなんて気分になり非常に危険だ。切り揃えられた前髪と丸眼鏡の組み合わせは、極一部の神様に微笑まれた、何かそういうオーラを纏った女性だけが許されるものだ。(私はそう思っている)

しかし何故こんなにあいみょんにハマったことに心を震わせているのかというと、昔から新しいものにハマることが極端に少なかったからだと思う。あまり具体的に言うと年代がもろに分かってしまいそうなので言わないけども、大体好きになった漫画は完結済み、好きになったバンドは解散済み、好きになったミュージシャンは既におじいちゃん、そんなことばかりだった。今これからをやっていこうという人にハマれたことが嬉しいのだ。答えの見えていないものを追いかける楽しみは、とても新鮮なのだ。天井や着地点が遠目ながらに見えてきてどこか枯れ始めてる自分に、水が与えられ天井が少し遠ざかったような気分にさせてくれる。(実際に遠ざかってるかは知らないけども)

そんなこんなで、あいみょんにずぶずぶとハマり、昔買ったギターの換え弦とチューナーと教本と楽譜と全てばっちり購入してしまった。なので、久しぶりにギターを嗜みたいと思っている。万が一三日坊主にならなければ、いつかはアコースティックギターも買いたいところである。

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