流れ星を見た。

 あつ森で。始めて2ヶ月ほど経った今日、初めて見た。奇しくも七夕の前日だ。現実では流れ星はおろか、天の川すら見たことがない。毎年7月7日は雨なのだ。

 昔からそうだった。中学生ぐらいまでは父と「今年は七夕どうかねぇ」なんて話をしながら待っていたが、待てども待てども雨なのだ。徐々に天の川は私の中で都市伝説になっていった。世の中には天の川というものが存在する、らしい、と。天の川ごと七夕伝説の1つに繰り込まれてしまった。

 七夕の短冊に何やら書いていたのもいつ頃までだっただろうか。商業施設のものに乗っかって記載していたことを考えれば、それなりの年までは書いていた気もするが。今となっては笹につりさげられるぐらいの重みの願いがなくなってしまったようにも思う。「家族みんなが幸せに健康に長生きできますように」とか「収入が2倍になりますように」とか「大きな家と車が欲しいです」とか、笹が折れちゃいそうなんてね、なんて書きながら七夕について少し調べようとGoogle検索したら衝撃。

 「七夕」8月25日火曜日、とでかでかと出てきた。「は?」っとなって見返すも、七夕を検索している。どういうことか。7月7日はどこに行った。仕方ないのでもう少し調べてみることにした。例によってWikipediaだ。ふむふむ。読んでみた。難解な部分はカットして、暦の話をシンプルに。

 日本では明治5年12月2日まで天保暦と呼ばれる旧暦が使用されていた。翌12月3日をもって明治6年1月1日とされグレゴリオ暦の導入に至った。このため、旧暦の七夕と、新暦の七夕ではずれが生じる。新暦の7月7日は梅雨の最中で晴れる確率が26%程度、旧暦の7月7日は晴れる確率が約53%、さらに月齢の都合も旧暦の7月7日の方が条件が良い。そのため国立天文台ではその年の旧暦7月7日を伝統的七夕と呼び、その日の新暦での日付を報じているらしい。しかし旧暦は公式なものではないため、この報じられている伝統的七夕も諸々の条件のもとで決められた日付であると。

 目から鱗である。そういうことだったのか。私が生まれてこの方「ないね、ないね」「今年も見られないね」と言って悲しんでいた天の川、見られるわけがなかった。なんで誰も教えてくれないのか。なんで自分はここに至るまで調べようと思わなかったのか。ひどく損をした気分だ。

 今年は8月25日、忘れずに見に行ってみようと思う。天の川を見て、笹に吊すのでは折れてしまいそうな重みの願いを存分に願ってこよう。


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