10月の雨降りの日曜日

10月。
雨降り。
日曜日。

ひとつひとつの単語にすると何の感情も出てこないのだが、3つをくっつけると途端にあの日を思い出してしまう。

それは16年も前のこと。
10月の雨降りの日曜日、当時お付き合いしていた女性と別れた。

それだけ?と思う方もいるだろうが、当時の自分にとっては大事件。
今も引きずってるの?と聞かれたら『ノー』と言い切れる。

なのに、その日のことを思い出させるキーワードとしての『10月の雨降りの日曜日』が苦手なのでした。


その数ヶ月前の夏の暑い日に、彼女と別れ話をするというストーリーがなんとなく忍び寄ってきているのが感じられたのも覚えてる。
そしていざ、『10月の雨降りの日曜日』がやってきた時、いろいろなものと決別し、明日からは2度とこれまでの日々が戻ってこないということを認識しなくては、ということを昨日のことのように覚えている。
(その日が来るまではその日を怯えたりこわがってるけど、その日を迎えたら結末は何であれ、あとは楽になれるということって多いのだけど)

最近になって、この手の思い出がなんとなく懐かしく、たまには振り返って見てもいいかなあ、そして『あん時は若かったなあ』と思えるようになってきた。
歳を重ねることで、いいこともあるもんだ。
あの10月の雨降りの日曜日の思い出があるから、今の自分があるんだと。

こんな想いや経験は積み重ねなくていいや、と当時は思ってたけど、黙ってても避けても積み重なるし、自分の土台となっていくんだなあと最近は強く思う。

そんな風に考えれば10月の雨降りの日曜日も悪くない。
そう思えるようになった10月の雨降りの日曜日に感謝してもいいのかもしれない。

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