赤裸々とはこういうものだ
赤裸裸とは、一糸纏わぬ丸裸という意味だ。ECDの『失点イン・ザ・パーク』は赤裸裸というにはあまりにも赤裸裸すぎて他に表現する言葉がないほどリアルだった。ECDにとってHIPHOPはライフワークだった。それは遺作となった『加山雄三の新世界、君といつまでも』のリリックを読めばよくわかる。彼はHIPHOPを死ぬまで愛していたのだ。そのラップで売れ始めた途端、彼はアル中になった。ラップで働かなくても良いほど金が入ってきたからだ。生きるためには金がいる。金は働かなければ手に入らない。そんな道理は百も承知だが、彼は仕事をすることは嫌いだった。だから愛するHIPHOPが仕事になるのを彼は良しとしなかった。気がついた時にはライフワークだったHIPHOPが飯を食うためのライスワークに変身していた。そして彼は酒に溺れラップをやめた。リアルじゃなくなるからだ。どこまでもリアルにこだわったECD。きっと横に居たらとても面倒臭いひとなんだろうけど…。昭和がまた一つ逝ってしまった。
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