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書評『令和ヒットの方程式』台本

博報堂DYグループコンテンツビジネスラボ
『令和ヒットの方程式』PODCAST

 この本を手に取ったきっかけは、令和とヒットというこの2つのキーワード。実感的にもヒットの方程式が時代とともにどんどん変わってきてて、その変化のスピードも上がって方法論も多彩になってきてるなと。こういう本を読んで、今からヒットさせるためにこの方程式に当てはめても絶対ヒットしないと思ってるけど、その歴史を学ぶことでやっと現在っていうスタート地点に立てるのかなと思ってる。
最近、主に演者のほうだけどSNSをバズらせてきた人たちとご飯を食べることが多くてすごく勉強になるし、正直面白い。確実にSNSに特化することで作れる未来があると思う。だからこそSNSの最前線だった情報は定期的に取り入れていきたい。

 早速中身を読んでいくと、この本は令和のヒット法を出す前に、過去から現在までの歴史を紹介してくれる。

本書の目的である令和版ヒットの方程式を紐解くにあたり、まずは過去の歴史におけるヒットの方程式を振り返ってみたい。それにあたっては、単純にヒットした楽曲やアーティストを取り上げるだけではなく、博報堂DYグループが掲げる「生活者発想」の視点を持って歴史を振り返っていく。ヒットの裏側にあるはずの音楽を取り巻く環境や時代を反映するカルチャー、そして生活者の「情報消費行動」を中心に振り返ることで、どのようにヒットの方程式が成立したのかという解釈も加えていきたい。こでは、主に3つの視点で歴史を振り返っていていく。
ひとつ目は、音楽を聴く場である「音楽視聴メディア・デバイス」だ。音楽視聴デバイスは昭和から令和にかけて大きく様変わりし、これによって生活者の音楽消費行動も大きく変化した。
2つ目は、新しい音楽と出会う場所である「音楽情報源」だ。音楽に限らず、生活者の情報接触メディアも常に大きな変革の最中にあり、音楽と出会う場所も移り変わっていく。
3つ目は、こうした音楽消費行動をうまく捉え、時代を彩った「アーティスト」。これら3つの視点から歴史を追い、それぞれの時代のヒットの方程式を考察していく。

 この3つの視点で語られる本なんだけど、テレビ時代の話とCMタイアップの話とかそのへんはもう知識としては知っておいたほうがよいと思うけど、ここで話すと時間の無駄だと思うので割愛して、一気にYouTubeの誕生まで飛ばします。

デバイスとしてYouTubeを捉える際、もうひとつ大きな革命が起こっていた。CDやダウンロードは、音楽を「所有」するものであった。所有する際にお金を払うため、一度売り上げれば、そのあとに何回聴かれるかは、楽曲の評価には関係なかった。しかし、令和の今、音楽聴取はストリーミングサービスが主流になり、楽曲の評価は所有数から「再生数」になった。この指標が日本で最初に注目されたのが、まさにYouTube だったのである。

 そうYouTubeが出てきて、そしてSpotifyなんかのサブスク音楽配信アプリが出てきて、明らかに再生回数が楽曲評価の指標になってきたのは感じる。あと音楽との出会いの場が、音楽だけでなくYouTubeという動画とともに出会うことが増えた。そして企業のCMタイアップは多くあるUGCのひとつになった気がする。UGCっていうのはこの本で語られる令和のヒット法則の最大の重要キーワードで、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の略。代表的なのでいうと、踊ってみた、歌ってみたなどなど。だから大きな枠組みでいうと企業CMタイアップもこういったUGCの一種になったなと僕は思う。そしてそれはたて型動画になるとさらに加速する。

 ショート動画の時代、誰しもがクリエイターになれる環境の中で、紹介する動画などのBGMとして使いやすい曲、そのときの感情や雰囲気を表しやすい曲そして、サポーキのアルゴリズム攻略法のひとつとして、人気の音楽や流行りの曲を使用するとおすすめに乗りやすくなる傾向があると言われている。こうして、自らの動画に「みんなが使っている曲」を使うことで、バズるコンテンツが生まれる。つまり、UGCがUGCを呼び、音楽が広がっていくのだ。熱量の高いファンを獲得して、「使いやすい」「遊びやすい」「真似をしやすい」という TikTok のヒット法則を押さえた乃紫というアーティスの事例を見てみよう。

乃紫自身はインタビューにて、2024年上半期トレンド大賞のミュージック部門賞に輝いた《全方向美少女》を、「完全にUGCを意識した曲」だと語る。同曲は、「正面で見ても 横から見ても 下から見ても」というサビに合わせ、スマホのインカメラで自身の顔を正面、横、下からのアングルで映す動画によって人気になった楽曲だ。振り付けやロパクをすることもなく、音楽に合わせて自分ひとりでカメラのアングルを動かすだけで流行りの動画を撮影できるという手軽さ。

 この曲は本当に革命的だなと思っていて、とにかく使いやすいし、TikTokに投稿するユーザーの自己承認欲求を満たしやすい。どっから見ても可愛いでしょというわかりやすいメッセージと、逆に自虐で使える面白さもある。ダイスの『I wonder』とかも近いのかなと思ったり。お次はimase。

imase がここまでのヒットを生むことができた理由のひとつは、彼のこだわり抜いた楽曲制作スタイルにある。彼が主戦場に選んだのはTikTokで、それはショートで投稿できる気軽さがあるからだと言い、当初は1週間に1度のペースで断続的に投稿していた。
さらに、楽曲のサビ部分から投稿するという手法を一貫して続けている。こうすることで、サビに対するファンの反応を見て、「反応の良い楽曲だけをフル尺でつくる」
その段階で「TikTokでのお墨付きがある」状態となる。というテストマーケティング的な手法を実践しているのだ。

 確かにこれは合理的なやり方だと思う。伝えたい、やりたい音楽をやるためにアーティストになるというよりも、もはやマーケターのような感覚というか。まあでも売れないと面白いことができない現実もあるなとも思う。さいごはtuki.。

ヒットを生むきつかけとなったのは、楽曲の素晴らしさはもちろん、ネーミングの巧妙さにある。それは、tuki(15)というアカウント名。
彼女のアカウントを見てみると「高校一年生 15歳」という自己紹介文があり、動画欄には彼女がアコースティックギターを持っているサムネイルが並んでいる。
TikTokの性質上、おすすめ欄をひたすらスクロールしながら見る人が多く、ほぼ1秒でスキップされてしまうが、彼女の場合は動画1つをとっても、アコースティックギターを持った少女の映像と、「tuki(15)」というアカウント名で瞬時に「音楽をしている15歳の少女」だということがわかる。「オリジナル楽曲とはどんなものなの?」と、スクロールしていた指を止めてしまうだろう。

 この「1秒キャッチ」的なものが縦型、ショート動画ではすごく大切になる。ショート動画時代は時間との戦いで、プラットフォーム側から最も評価されるのがリスナーの「滞在時間」。だから、この最初の1秒のつかみはめちゃくちゃ大事。

この本を読んでみて一番感じたのは、自分にとっての経営者としての比率が年々上がっていく中、プレイヤーとして絶対になくしてはいけないアイデンティティーが僕にとってはこのSNSからヒットを生む意識、知識。最新のSNSに触れることは絶対になくせない。どんなに大きな企業になったとしても、SNSへの感覚だけは自分のアイデンティティーであり、基本姿勢なので、そこは無くさないようにしようと思った。

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