いっぱい食わされた話

決まってアラームより先に起きてしまう時は、
とても楽しみな予定がありワクワクしている時か、とても嫌なことがあって寝付けない時だ。

「この時間に起きたほうがいいかな」
全ての予定を網羅した緻密な計算に基づくアラームより早く起きることができた。
いや、正確には目が覚めただけ。

「どうせ二度寝したくなるんだから」
まだ寝ぼけている頭で昨日の計算を思い出す。
確か、二度寝したくなってもいいように早く設定したんだっけ。
カーテンに差し込む光から逃げるように寝返りを打ち目を閉じた。

「11時には家を出る準備しないとね」
二度寝をするのにアラームをかけなかった自分を恨む。
気づくと時刻は10:40。
遅刻だ。
言い訳がましい性格が今日の予定を確認する。
そもそもなんで買い物に1時間もかけようとしてるんだ?
そういえば、30分で終わる用事に念のためバッファを持たせていたことを思い出した。

「ほら、やっぱりこの時間だった」
急いで準備をして家を出る。
30分遅れ。
さっきの再計算により、これは遅れとは呼ばないことにした。
一安心した僕は歩きながら電車の時間を確認する。
"12:30 目的地到着予定"
何故かこの時間に見覚えがある。
これは昨夜立てた緻密な計画による目的地の到着時間だ。


どうやら僕の行動は全て計算通りだったようだ。
やはり自分のことを一番分かっているのは自分なのかもしれない。

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