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アジア紀行~インドネシア・タナトラジャ~サバイバル家族旅行note⑨~
岩窟墓巡り
昨日の葬儀の興奮が覚めやらぬまま朝を迎える。今日は死者を埋葬しているという岩窟墓に案内してもらう予定になっている。タナトラジャは「死」の文化だ。「死」が「生」と切れずに結びついている。
妻と子供たちの体調はかなり回復して、3日続いた下痢もほぼおさまったようだ。ついに私だけはなんともなかった。もちろんこの先のことはわからないが・・・。
今日GENTOが連れて行ってくれるところは、RANTEPAOの北東にある村だ。妻と子供たちは大事をとって、午前中はLEBONNA残って近くで遊んでいるという。
9時出発。GENTOが車に給油してから行くというので、RANTEPAOのガソリンスタンドに立ち寄る。価格が気になったので表示を見ると、Rp.385/Lだった。20リットル入れてRp.7,700。日本円に換算すると700円ほどだ。かなり安い。インドネシアは、中東を除くアジアで唯一の OPEC 加盟産油国である。自国で石油がとれるなら、安いのは当然だろう。もっとも現在では、消費量が生産量を上回るようになっている。
さあ、準備もできたし、最初の目的地MARANTEに向かおう。
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MARANTE
RANTEPAOから昨日葬儀を見に行った道を少したどり、右にそれる。しばらく進むと学校があった。GENTOが中学校だという。この辺りがMARANTEのようだ。その向かい側、川沿いの岩壁に目指す墓がある。
墓の手前で少年たちと出会う。学校は?
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石灰岩質の岩壁が、覆いかぶさるようにそびえている。上からポタポタと水のしずくが落ちてくる。岩壁には自然の洞穴がいくつもある。棺を納めるために、四角く穿ったものもある。
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岩窟墓の前には「タウタウ」と呼ばれる人形が並んでいる。「タウタウ」は亡くなった人の生前の姿をかたどった木彫りの人形で、死者の魂が宿るという。手を前に伸ばしているのは、天からの恵みを受けるためだそうだ。
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洞窟の墓や朽ちた棺には、死者の骨がさらされているものもある。白いドクロが虚ろな目でこちらを見ているようで、鳥肌が立つ。
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NANGGALA
MARANTEには30分ほど滞在。次はさらに東のほうにあるNANGGALAという小さな村に向かう。
NANGGALAには大きなトンコナンハウスが一棟あり、その向かい側に14棟もの米倉(アラン)が建っていた。これだけの米倉が並ぶのは珍しいということだ。
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奥に竹藪があり、しきりに鳥が鳴くような声がする。GENTOに何という鳥かとたずねるが、よくわからない。そばに寄って見上げると、黒いものがいっぱい枝にぶら下がっている。オオコウモリだ。ジャワ島のボゴール植物園で見たことがあったが、昼間なのにとても騒がしい。
BOLU~RANTEPAO
NANGGALAにしばらく滞在したあと、もと来た道をRANTEPAOに戻る。途中、BOLUの市場に立ち寄る。この市場では、定期的に水牛マーケットが開催されるが、明日がその日にあたるという。GENTOが、明日もう一度来ようと提案してくれる。市場を見てまわる。いつもながら、市場はおもしろい。
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明日のマーケットがどんな様子になるのか楽しみだ。
GENTOが、お腹を押さえて顔をしかめるので、痛いのかと心配したら、実はお腹がすいたということだった。朝はゆで卵とコーヒーだけだったらしい。
BOLUからRANTEPAOまでは2kmほどで、車ならすぐだ。RANTEPAOで昼ご飯を食べることにする。
入ったのは、GENTOがよく知っているレストランのようだ。テーブルにつくと、水を入れたボールが出る。飲み水ではなく、これで指を洗う。注文はGENTOに任せる。
骨付きの鶏肉とゆで卵のフライ、芋の揚げ物もある。チリソースで食べる。ほかにスープとご飯。GENTOはスープとご飯をおかわりする。よっぽど空腹だったのだろう。
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食後にコーヒーを注文する。トラジャはコーヒーの産地として有名だ。この店で飲んだコーヒーは、まるでインスタントコーヒーを作るような要領だった。スプーン2杯ほどの粉コーヒーに砂糖を適量入れて、上から熱湯を注いでまぜるだけだ。それでもここで飲むと美味しく感じてしまう。
昼食代は、すべて合わせてRp.3,800だった。驚くほど安い。
KETE KESU
午前中だけの予定だったが、もう1ヶ所、RANTEPAOの南にあるKETE KESUに向かう。
途中でGENTOが車をとめて、宿にいる子供たちにと言って、バナナとパンを買ってくれる。以前彼が私に言った「Your problem is my problem.」という言葉を思い出す。
KETE KESUは、朝に行ったMARANTEと同じように、トンコナンと岩窟墓があった。ここで珍しく4人の日本人と出会う。GENTOがそのうちの一人を見て、「彼はトラジャ・コーヒーのボスだ。」という。2年前にフォトジャーナリストの野沢正英氏を案内して、トラジャ・コーヒーのオフィスを訪れたらしい。途中ですれ違ったので、軽く挨拶を交わす。
山腹には朽ち果てた棺がそこここに置かれている。棺は舟形のものが多い。これもトンコナンと同様、もと海洋民族であったトラジャ族の特徴だ。
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GENTOが棺の中をのぞき込む。この棺がいかに大きなものかがよくわかる。遺体は風葬され、やがて骨だけがさらされる。
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ひとしきり見学したあと、トンコナン・ハウスのある村に引き返すと、髭面の男性が、建物の中を案内してくれる。中は小さな博物館のようになっていて、民族学的なものや古い生活道具などが並べられていた。
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男性は少し英語が話せて、これは彼のコレクションだという。日本から来たと言うと、福岡で博覧会があったときに、現地でトラジャハウスを2棟建てたと自慢げに話す。1月から3月まで滞在したが、とても寒かったそうだ。
帰りがけに、ノートにサインを求められ、Rp.1,000要求された。
午前中だけの予定が大幅オーバーになって、宿に戻る。午後は家族いっしょに出かけられたらいいな。
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