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TRPGのオンラインコンベンションを主催してみたい人へ

1.はじめに

この記事を書いている私はオンラインコンベンションを初めて企画し、手探りの中で閉会式を終わらせるところまで這々の体で辿り着いた拙い主催者です。また、開催したコンベンションも普通のTRPGコンベンションと違ってPC版ブラウザゲーム「刀剣乱舞」のなりきり卓オンリーコンベンションです。コンベンションの参加仕様は、GM応募ののちPL応募を行い、抽選による卓分けを行った状態で開催日を迎える事前卓分け制です。この記事も事前卓分け制のコンベンションであることを前提に書いていきます。
何度か普通のコンベンションとして大阪を中心に開催しており、Twitterに告知アカウントをかねてより設置してましたので「全く初めてコンベンションを開催する人」には参考にならない点も多いかもしれません。しかしながら、昨今の外出自粛やイベント中止などの影響からオンラインコンベンションを開催してみたいという方もいるのではないかと思い、何かの参考になればと体験談をまとめておこうと思います。
オンラインコンベンションで楽しい一日を過ごせる方が少しでも増えますよう、願っています。

2.なぜオンラインコンベンションを開こうとしたのか

2020年3月末のことです。この頃は色んなイベントごとが中止や延期になり、多くの人の楽しい予定が潰れてしまうという悲しい事態が頻発していました。
かく言う私も大好きな観劇が出来なくなり、友人たちと出かける予定も自粛の名の下なくなり……という中で、とうとう5月に予定されていた夏コミの中止が決定してしまいました。私はこの年の夏コミに久しぶりにサークル参加する予定で、それに合わせて新刊も作っていましたが通販に限定して頒布したのではきっと頒布数が伸びないであろうことが分かっていたので製作を中断しました。
楽しいことが全部無くなっていく。仕方ないよ、人命が第一だもの。
当然のことではありますが、でも納得できない。イベントが中止されることは仕方のないことであっても、「楽しいこと」の全てを取り上げられることは全然仕方なくない!!!

楽しいことをやりたい!!!

……という、数々のイベントの中止・延期がフラストレーションとなり、堪りかねた私は「楽しいこと」を生み出す方向を見つめ始めました。

まず一番に考えたのは、「コミケが中止されたということは、その日の予定が空いてしまった人が大量にいるはずだ」ということです。私が参加するはずだった5月3日は、ちょうど非電源ゲーム(TRPG)と刀剣乱舞のジャンルの日。大量のTRPGerと審神者の予定が潰れたはずだ、そう考えました。

あれ、これとうらぶ卓のオンリーコンベンションできるのでは?

ということで、以前から作ってありましたとうらぶなりきり卓オンリーコンベンションのTwitterアカウントでオンラインコンベンションの開催を告知しました。
準備期間は約1ヶ月です。GMに至っては、3月の末から4月の18日までに卓の概要を作ったうえで応募……ということなので、かなり準備期間が短かったと思います。そんな中でも15卓の応募をいただき、「2卓あれば十分立派なコンベンション。1卓は私が立てたらいいから、あと一人くらい応募してくれる人はいるだろう」と思っていた私にとってみれば想定外の盛況ぶりでした。

3.準備したもの

・Discordサーバー
・告知サイト
・Twitterアカウント
・Googleフォーム(要Googleアカウント)
・ツイキャスライブアプリ(配信用。ビュワーではないほう)

準備物その1「Discordサーバー(最初に作成)」
今回はオンラインコンベンションということで、通話ツールとキャラシ作成等のやりとりをGMPL間で行うことのできる掲示板機能が必要であると考えその二つを併せ持っていてTRPGerも多く使っているということでDiscordを選びました。

写真 2020-05-04 1 07 33

Discordのチャンネル一覧です。Discordの設定や権限・ロールあたりの話は検索すれば詳細な記事が沢山出てくると思うので割愛します。(聞きたい、というリクエストが多ければ追記します)
上から順番に簡単に説明していきます。


・入退場門
サーバーに人が加入した時に通知されるチャンネルです。サーバーを作ると最初に「一般」や「general」と表示されるチャンネルです。そのままそこで会話を始めることもできますが、入室直後にいきなり雑談に割り込んでしまったり挨拶を求められるようなことになると気後れしてしまう人もいるのではないかと思い、このチャンネルは書き込み不可の出入り口として扱うことにしました。


・最初に読んでください
このチャンネルも管理人の私以外は閲覧専用で書き込みができません。

写真 2020-05-04 1 16 28

大体こんな感じのことを書き込んでありました。


・お知らせ
卓分けの結果、PLの当落発表に使いました。その他開会式や閉会式の直前のお知らせを書き込んだくらいで、あまり活用はされませんでした。閲覧専用です。


・ゲームマスター希望の方へ
GM応募フォームと応募時の注意事項を書き込んだチャンネルです。閲覧専用で、このチャンネルにしか応募フォームが無いことで全ての参加者をDiscordで紐付けすることができました。


・プレイヤー希望の方へ
ゲームマスター希望の方へのチャンネルと同様です。


・ゲームマスター専用質問・変更連絡
管理人とGM応募者にしか閲覧、書き込みが出来ないチャンネルです。GMからの要望や質問に受け答えするためにあります。Discordの権限付与や応募した内容に変更が出た場合はここで連絡を取り合いました。

・雑談
誰でも閲覧、書き込みができるチャンネルです。挨拶があれば管理人の私が返事をする、というのが初期の頃の使われ方でした。コンベンション終了後は感想やお礼が書き込まれたりしました。

・意見・要望・質問
応募の仕様や日程など、不明なことについて話し合えるチャンネルとして設置しました。誰でも閲覧、書き込みができるチャンネルです。あまり動きはありませんでしたが、ここからセッションツール、通話ツールの体験会を行ってもいいですか?という申し出を受け、お願いしたところかなり反響があったので、設置して本当に良かったです。

・頒布物告知
最後に追加したチャンネルです。Discordの参加者が頒布している同人誌の宣伝告知ができるようにと設置しました。誰でも閲覧、書き込みができるチャンネルです。

・オンラインツール体験会
上記にあるセッションツールや通話ツールの体験会を行ってもらう際に用意しました。誰でも閲覧、書き込みができるチャンネルです。

この下に、GM応募者ごとのカテゴリーを設けて「概要チャンネル」「質問・雑談チャンネル」「通話チャンネル」を設置しました。
概要は卓の概要と告知サイトの概要ページのURLを貼り、「質問・雑談チャンネル」は誰でも自由にGMに卓に関する質問ができるように設置しました。(実際に使われ始めたのは卓分けが終了し、PLが決定した後でした)
通話チャンネルは当日の通話ツールを使用する卓のために設置してあります。
これらのGMカテゴリーは卓分け後にメンバーにのみ閲覧、書き込みができるようにしました。

準備物その2「告知サイト(Discordサーバーの次に作成)」
私の場合はあらかじめ過去のコンベンションを開催した時にこんな告知サイトを作ってありました。
webnodeで作成しました。テンプレートが使いやすく、見やすいサイトが簡単に作れるのでこういったコンベンションの告知サイトを作るときに重宝しています。
オンラインコンベンションの告知をTwitterアカウントで公開する前に、告知サイトに概要を書き込んで誰でも日時や応募日程、注意事項が確認できるようにしておきました。
オンライン、オフラインに限らずコンベンションは告知サイトの情報が一番正確であることが重要だと私は考えています。
Twitterでは情報が流れてしまいがちなうえに、180字という制限があるので情報の全てを一度に知ってもらうことができません。「開催日は?」「GM応募期間はいつまで?」「参加するときの注意事項は?」こういった疑問をまず最初に正確に素早く確認できる場所として告知サイトはあった方がいいと思います。
問題は、単発のコンベンションだとそのためだけにサイトを作るのがちょっと面倒くさいことですね……。しかしそれでもあった方がいいと私は思います。

写真 2020-05-03 15 39 20

告知サイトの一番最初に表示されるページです。
一番目立つ場所に、
・開催日程
・必須環境(インターネットやパソコン等)
・コンベンションの開始時間
・参加費の有無(有料であればその金額も)
・GM応募期間とPL応募期間
あたりがあると分かりやすいかと思います。通常のコンベンションですと、それに加えて開催場所も記載したりします。私の場合は「こちら」の先にオンライン開催概要のページを付けて、そこでGM応募期間やPL応募期間、開催場所がDiscordサーバーであることの記載を行いました。

写真 2020-05-03 15 59 58

次のページです。
今回は参加者が全員Discordサーバーに参加していることを条件としました。理由の詳細は卓分けの項目で説明予定です。
今後の予定を記述するうえで大事なことは、開催当日までいつ、何が行われるのかをなるべく詳細に書き込むことです。
Twitterだけで応募期間を告知することは「見てなかった」「知らなかった」「覚えてなかった」を招き混乱の元となりますので絶対にやめた方がいいでしょう。
ちなみにDiscordサーバーへの招待コードをページの最後に設定しているのは、参加者が注意事項を読まずにサーバーに参加してしまうことを避けるためです。
このあとページにはDiscordの運用方法や注意事項、開催日当日の時程などが続きます。他にもGM応募者の卓概要を掲載したページがありますが、これについては後述の「GMの募集」の項目に詳細を記述しようと思います。

おさらいです。
告知サイトに記載すべきもの
・開催日程
・必須環境(インターネットやパソコン等)
・コンベンションの開始時間
・参加費の有無(有料であればその金額も)
・当日までの予定(主にGM応募期間とPL応募期間)
・当日の時程
・注意事項
・応募卓の情報


準備物その3「Twitterアカウント(告知サイトが整ってから)」
最も拡散力があります。告知サイトだけでは能動的に検索してもらえなければ開催しても見つけてもらうことができませんが、TRPGerも審神者も多く利用しているTwitterではリツイートによって知らなかった人にも情報が届きやすくなります。
また、応募期間の開始や締めきりなど時期に応じたお知らせができるのもTwitterの強みです。逆に開催日程や注意事項など、その都度ツイートしてしまいますと重要な情報が散逸し伝えたい情報が見逃される危険が高くなりますので、Twitterアカウントでコンベンションの開催を告知する時は、やはり告知サイトを整えてからの方が混乱が避けられるのでいいでしょう。

私がTwitterアカウントで主に行っているのは以下のとおりです。
・開催日、応募期間の告知(応募期間終了まで一日2回ほど)
・新規卓情報と訂正情報のツイート(一日2回ほど数日)
・応募期間終了のお知らせ(終了時刻後1回)
・GM応募者の卓情報のリツイート(見つけ次第その都度)
・当日の実況のリツイート(見つけ次第その都度)

まず、「開催日、応募期間の告知」についてですがTwitterアカウントのメインのお仕事のひとつです。参加者を広く集めたい時はツイートを意識的に多くします。が、あまり多くツイートすると見ている側としてはどうでしょう?「必死そうでこわい」といったマイナスの印象を抱くかもしれません。あと単純に鬱陶しくてミュートしたりブロックしたりしてしまうとか。
コンベンションは沢山人が集まって賑わった方がいい!とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、先にどこかで述べたとおり私は「2卓立てば立派なコンベンション」と思っておりますので、参加者が少なくても何も気にする必要はないと思っています。
ほどほどに鬱陶しくならない程度に、でも毎日告知ツイートを流していました。

次に「新規卓情報と訂正情報のツイート」です。GM応募期間中は五月雨式に応募が届きます。応募期間が終わってから全部まとめて更新するのではなく、応募フォームに申し込まれた分をその日の夜にまとめて告知サイトに掲載した後Twitterアカウントにて新規応募卓のお知らせを行います。毎日ツイートするなら、開催日の告知ばかりよりも、わくわくするようなシナリオの概要を告知される方が見ている方も楽しいでしょうから、GMの情報はまとめての告知より一日ごとに新情報を追加し公開しています。
せっかく早めに卓概要を提出してくれたGMさんの卓はなるべく長期間人の目に触れるかたちにしておきたいなというのも理由のひとつです。
また、既に公開済みの応募卓情報に訂正や追加が加わったときにTwitterアカウントでそのことをお知らせします。こちらのミスで告知サイトの内容を修正する際なども、修正後にTwitterアカウントにて訂正の報告とお詫びをしました。

「応募期間終了のお知らせ」は、GM応募やPL応募が終わった後なるべく早めに終了したことを告知します。「GM応募が終了して、次はPL応募が始まる」「PL応募が終了して、次は卓分けが始まる」こういったことも、告知サイトに書いてはいますがいちいち覚えている参加者はそんなに多くないです。何も言わずにいると「何もお知らせがないけど本当に開催されるの?」と要らぬ不安を抱かせてしまったり、「応募したことを忘れて別の予定を入れてしまった」などのトラブルを招いたりするリスクを考慮してフェーズ終了ごとにお知らせツイートを挟んでいます。

「GM応募者による卓情報のリツイート」について。有り難いことに、GM応募をされた方が自身のTwitterアカウントで「こんな卓でGM応募しましたよ」と告知ツイートをしてくれる時があります。すかさずリツイートします。なんならいいねも付けます。GMさんも自分の卓が立った方が嬉しいでしょうし、主催者も立卓は多いほうが嬉しいです。お互いWin-Winなのですから惜しまずリツイートして盛り上げましょう。GMさんが告知ツイートをしているのに主催アカウントが反応しないなどという梯子外しはもってのほかです。
ただし、GMさんが告知ツイートしていることにちゃんと気付く必要があります。フォローの少ないアカウントであればGMさんをフォローしてタイムラインから見つけることも簡単ですが、フォロー人数が多いとそうもいきません。コンベンションを告知すると同時期からコンベンション名やそれにちなんだ略称のハッシュタグを付けておくことをお勧めします。最初は自身の告知アカウントしかそのハッシュタグを使う人がおらず虚しくなってきますが、GM応募が始まるとGMさんが告知ツイートにタグを使ってつぶやいてくれます。こちらもツイートを見つけやすくなるので諦めずにハッシュタグを使い続けましょう。

「当日の実況のリツイート」は当日の参加者のツイートをリツイートすることです。こちらも先にハッシュタグを作っておくと、当日卓中に起きたおもしろ事件や興味深い展開を呟いてくれる方が増えます。普通のコンベンションではそんなに数はなかったのですが、今回オンラインコンベンションだとTwitterを開きやすい環境のためかハッシュタグを付けて実況してくれる参加者の方がとても多かったです。
これをリツイートする目的は、楽しそうな雰囲気や面白い出来事が起きていることを知ってもらって「次があれば参加したい」と思ってもらえるように仕向けることです。継続してコンベンションを運営・開催していきたいと考えている場合は広告の意味も込めて行うとよいかと思います。

また、私が告知アカウントで絶対にやらないと決めていることが「主催者の日常や趣味の話をツイートすること」です。
私は別に自身の趣味アカウントを持っているので、告知アカウントはあくまでコンベンションに関することのみを呟いています。
日常に関すること、趣味に関すること、拡散希望のリツイートなどは一切行いません。そうしないといつか線引きできずに政治への不満やジェンダー論など主義主張が人それぞれある話題に触れてしまいかねないと思ったからです。楽しい場を提供するはずの告知アカウントでそういった主義主張の話が果たして役に立つかというと、私はそうは思いません。単純に情報告知用のアカウントなのに別のことをツイートしたのではせっかくの情報が埋もれてしまうというデメリットも危惧しています。

おさらいです。
Twitterアカウントのお仕事
・なるべく初期段階でコンベンション名にちなんだハッシュタグを付ける
・開催日やそれまでの日程、応募期間をツイートする
・卓情報をツイートする
・卓実況をリツイートする
・個人的な話題のツイートはほどほどに

準備物その4「Googleフォーム(GM応募期間までに準備)」
GM応募とPL応募の応募フォームとして使っています。それぞれ記載していることを並べてみますと、


GM応募フォーム
・名前(HN可。難読のものにはふりがなを()書きで追記してもらう)*
・メールアドレス*
・Twitterアカウント
・応募システム名*
・セッションスタイル(ボイセ、テキセ、ボイテキ等)*
・使用ツール(オンラインセッションツールや通話ツールの名前等)*
・シナリオタイトル*
・参加可能人数*
・シナリオトレーラー
・レギュレーションやハンドアウト
・備考、補足欄
・GMより一言


PL応募フォーム
・名前(HN可。難読のものにはふりがなを()書きで追記してもらう)*
・メールアドレス*
・Twitterアカウント(任意)*
・卓の希望を第一希望*~第三希望まで(応募卓をラジオボタンで選択する形式。第二、第三希望の選択は任意。「どの卓でもかまわない」という選択肢も有り

と、GM応募フォームの方が圧倒的に記入することが多いです。ただし、ハンドアウトの無いシナリオやシステムもあれば*印の付いているもの以外は任意記述なので、びっしり書き込まなくても応募はできます。(内容がほとんど分からない状態でPLが集まるかは別の話です)
今回はDiscordのアカウントとの紐付けを行ったので、そちらで参加者を把握する場合はメールアドレスやTwitterアカウントを記入してもらうかわりにDiscordサーバー内で名前の横に表示されるハッシュタグに続く数字四桁を教えてもらうのも一つの方法です。
ただし、GMの連絡先は複数把握しておいた方が良いかと思います。
GoogleフォームからはそのままGoogleスプレッド(Excel表のような形式でフォームのデータをまとめたもの)が作成できるので、卓分けの際にはこちらを利用しています。

準備物その5「ツイキャスライブアプリ(当日の開会式までに準備)」
開会式と閉会式の配信のために準備しました。オンラインコンベンションの場合、特に開会式をやらなくても注意事項はDiscord等で呼びかければいいだけなので意味が無さそうに見えますが、「みんなで集まって卓を遊んでいる」というコンベンションならではの雰囲気や意識作りの一助になっているのかもしれません。
むしろ役に立ったと思ったのは閉会式の配信で、コメントで色んな方の卓の感想や結末を聞くことができました。そのコメントを拾って会話を広げることで閉会式が賑やかになりました。普通のコンベンションでは代表してGMの方から卓の話を聞くことはあっても、一度に大勢のPL参加者の話を聞く機会はまず無かったのでオンラインコンベンションならではの閉会式ができたのではないかと考えています。
本当はGMの方と繋げて生の声で卓の顛末などを聞くラジオ配信を考えていたのですが、そちらの方は卓の数が多かったため断念しました。


今回の話はここまで。
次回はGM応募やPL応募のやり方、卓分け後の動きなどについて話せたらと思います。
何か質問や詳細が気になることがあれば、お声かけいただければ追記するかもしれません。

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