(前編)森井監督の思考からサクラナイツのドラフト指名選手を読み解く
沢崎誠、契約満了
個人的には、沢崎さんはサクラナイツのみならず、Mリーグひいては麻雀界の宝だと思っていたので、かなりショックでした。
Mリーグのマイ3大名場面は、
・2019シーズンファイナル最終日(小林vs魚谷)、
・2021シーズンレギュラー最終日(瑞原vs沢崎のMVP争い)
・2021シーズンファイナル最終日(堀vs近藤)
だと思っているのですが、
最初の2つについては、脇役または主役として、沢崎さんは卓の中で最高のパフォーマンスをして貢献していたと思います。
確かに、昨今の情勢的に、持病を抱えた選手に無理させられないですよね。
とはいえ、すごく寂しいし、Mリーグは大きな宝を失ったと言っていいと思います。
本人が望むかはわかりませんが、サクラナイツとMリーグ機構は、沢崎さんをしっかりと処遇してほしいです。
あと、ドラフト中継してよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。
ドラフト芸人みれないじゃん。。。。
サクラナイツのドラフト戦略
いずれにせよ、サクラナイツはドラフトで1人指名する必要があります。
では、誰を指名するのか。早速twitter上ではいろいろな予想がされているようです。
まぁ、でも結局森井さんの目利き次第なんですよね、という見方も多い気がします。
堀さんの指名もサプライズをもって受け止められましたし、今回も「何か仕掛けてくるんじゃないか」という見方も多いように思います。
ただ、サクラナイツのチーム運営(ドラフト戦略含む)は、外から見ている限りではかなり論理的に行われていると思っており、かつ、堀さん指名時のドラフト戦略に至っては、いろいろな場でしっかりと説明されています。
これ、しっかりと分析すれば、実はドラフト候補を推測できるんじゃないか、それ結構楽しいんじゃないかと思い、今回分析しようと思いました。
というわけで、
前編では、サクラナイツのドラフト戦略に関する情報を整理・分析した後、
後編では、それを踏まえて、ドラフト候補が誰か探ってみたいと思います。
なお、このイントロを書いている時点で、ほぼ分析は終わってるのですが、結果、世間から本命視されていない人が僕の本命になりました。
オッズ50倍くらいの人です。
これまでの情報の整理
森井監督がいろいろな場所に出没しすぎていて、公開情報の整理を完全に行うことは到底無理なのですが、森井監督がチーム運営やドラフト戦略について語っている動画をいくつか見てみました。
倍速&飛ばし飛ばしで見たので、抜け落ちている部分もたくさんあるかと思いますが、以下がその紹介と概要です。
2019年
サクラナイツは全社案件。KADOKAWAの広報効果を期待して、というのもあるし、新たなコンテンツの種としての期待もある。
社員のロイヤリティー(愛社精神?)を引き上げるための案件としても位置付けることができる。
内川さんを中心としたチームにしたかった。実力のみならず、キャラクターも重視したのがその理由。
沢崎さんを指名した理由の1つは、シニア層への訴求。
メディアミックスについては一日の長あり、と認識している。
ロジックとパッションが両立するチームにしていきたい。
監督の仕事の柱の1つは、チームの輪をKADOKAWA内外に広げていくこと。
サクラナイツをビジネスとして成立させるために重要なのは、小さな取組みを積み重ねた結果、全体として利益が出せるようにすること。
強さも大事だが、キャラクターが非常に重要。「その方に対して色んな形で共感なのか、憧れなのか、興味なのか、色んな形の感情を揺さぶる方が入ってくれると嬉しい」。
エモさでいうと水口さんや金さんが(当時の)候補。(+松嶋さん)
Mリーグの視聴層を考えると、20代の選手に頑張ってほしいという思いがある。
伊達さんに注目。マルチな活動をしている選手とKADOKAWAとの親和性は高いと思っている。
(参考データ)2019年実施:Mリーグに関するアンケート調査
少なくとも2019年当時は20代・30代男性がコア層。
Mリーグに対して満足する理由の筆頭は、麻雀のレベルが高いことと解説が丁寧でわかりやすいこと。
選手の認知度・ファン率は萩原さんが圧倒的だが、基本的には女性優位。
Mリーグの選手になるためには、結局トータル(自己)プロデュースが必要。強さが第一だが、その他の要素も絶対に重要。
Mリーグの使命は「広げていくこと」。どうやったらMリーガーになれるか、というのは逆算してもよい時代。
(雑感)内川さんは、森井監督の達成したいことをしっかり理解しているのがよくわかりました。確かに1位指名したくなるほど能力高い。。。イケメンで賢くて言葉を選んで話も出来て、何が欠点なの?というくらい。
2020年
人選は森井監督に一任。
社内のロイヤリティーを上げられた実感がある。
ニュースターをプロデュースしたいという思いは常にある。
2020年は、知名度が低く、これから花開いていく人を指名したかった。
堀さんに関しては、指名前に会った際、話が非常にうまいことと、ファンに対するポジティブな姿勢が見え、Mリーガーになった後発揮できる個性が見えた。
異なる個性の選手を入れたいと思っていた。
コア層のみならず、例えば女性にも楽しんでもらえるような仕掛けづくりが重要。
手触りのないものを信用しない。(=指名前には絶対に会う?)
面白い人が好き。堀さんは生き方も面白いし、麻雀に対する考え方も面白い。また、既存Mリーガーとキャラクターがかぶっていない。
候補プレーヤーは5人くらい。ただ、全員と会っているわけではない。
堀さんにはふてぶてしく勝ってほしい。
もっと若い選手が活躍していい。
(雑感)破天荒なイメージのある堀さんですが、話しているのを聞いてみると、かなり賢いなぁという印象です。ノリでしゃべってないなぁ、という感じ。
2021年
「誰が強い」というのは人によってバラバラ。そのような中で「実績(タイトル)がある」ことは選ぶ際のロジックになる。
5団体全選手の強さを測定する物差しがない以上、強さだけで選手を選ぶのは難しい。企業それぞれの物差しが用いられるのは当然。
サクラナイツの良さはバラバラな個性。
チームコンセプトを決めるつもりはない。
(まつかよ)堀さんはイケメンではない。
(まつかよ)でも、堀さん会話の技術持ってる。モテる。
(近代麻雀の)しぬこさんのコラムとか本当に面白くて・・・・
公開情報から見えるサクラナイツのチーム戦略
サクラナイツのチーム運営は、「これ面白そうだからやってみよう」といったその場の思い付きではなく、非常に論理的に行われているというのが私の印象です。
詳しい分析についても書いてみたのですが、呆れるほど長くなったし、果てしなく退屈なので、この投稿の一番最後にオマケ的に載せようと思います。
分析したチーム戦略からうっすら見える指名選手に満たしてほしい要素としては、以下が挙げられるかと思います。
岡田さんのようにマルチな活躍をしている
チームメンバーとのチーム写真を撮った際に驚きを作れる
麻雀ないしはファンサービスで魅せられる
沢崎さんを失ったサクラナイツの強化ポイント
一見完璧にも思えるチーム運営をしているサクラナイツですが、まだまだ伸びしろはあります。
例えば、フォロワー数。
あれだけ、劇的な優勝をかざり、定期的なコンテンツ提供をしていても、全8チームの中ではまだまだ低いといえます。
フォロワー数=ファン層の広がり、ではありませんが、まだまだ改善余地のある指標の1つといえます。
また、定期的にやってしまう少牌ですら可愛いと思わせてしまう沢崎さんの喪失。
これはシニア層への訴求力低下のみならず、麻雀の成績面だけを見ても結構大きくて、仮に沢崎さんの稼いだポイントがゼロになると考えたら、ライバルチームがサクラナイツが減らした分のポイントをどの程度積み上げるか次第ですが、アベマズとサクラナイツがぶっちぎった2020のレギュラーシーズン以外は、敗退の瀬戸際になりかねない成績です。
したがって、なかなか「優勝したんで、育成枠で新人取ります」にはなりにくいと推測します。
<参考>
2019シーズン:
沢崎さんを除いたチームトータル:マイナス185.9
ボーダーライン(ドリブンズ) :マイナス276.3
2021シーズン:
沢崎さんを除いたチームトータル:マイナス222.7
ボーダーライン(ドリブンズ) :マイナス263.8
森井さんの発信及びチーム運営の分析から導かれる「森井さんが欲しい人材のイメージ」
以上を踏まえて、「森井さんはこういう人ほしそうだなぁ」というのがうっすら見えてきたので、箇条書きでその要素を述べていこうと思います。
麻雀の実力がある。「実力」の測定方法は「タイトルを取得したこと」。
麻雀で魅せられること。スーパープレイだけじゃなくて、沢崎さんのようなスポーツマンシップも含む。
エモさも重要(2019ドラフトの水口さんみたいな)。
Mリーグのコア層である20代・30代男性を特にターゲットにできる若いプロか、沢崎さんに代わってシニア層に訴求できるレジェンドプロ。
他の選手と重複しないキャラクターがあること。
マルチな活躍をしている麻雀プロ。
チーム写真で驚きを作れる人。(これは美男美女が良いという意味ではなく、あくまでチームメンバーとの「差別化要素」が重要。)
「モテる」(異性に、という意味ではなく)。例えば、堀ガールズといった存在があるくらい「熱狂」を作れる堀さんには大きな魅力があり、こういった「熱狂」を作れるファンサービスができるというのは重要な要素(内川さんも気配りができて素晴らしいと聞きます。。)。
メディアミックスに向いた人材。
現時点の人気が高いことは必須要素ではない。
これらの要素があればあるほど選ばれやすい、ということかと予想しています。次回は、具体的な名前は何になるか、という点を考察してみたいと思います。
以下は、オマケ。
(オマケ)サクラナイツのチーム戦略
顧客がモノ・サービスを購入する際、一定の心理段階を経て完結に至るといわれているのですが、サクラナイツの運営陣は、その1つ1つの段階にしっかり手を打っていることがはっきりわかります。
ここでは、ちょっと古臭いのですが、心理段階をおおまかに4つに分けて分析するAIDAというフレームワークに沿ってみていきたいと思います。
AIDAは各心理段階の頭文字をとったものです。
Attention(注意を引く)
どんなモノ・サービスも知ってもらわないと、購入までには行きつきません。
よって、知名度を上げることは極めて重要なのですが、意外に「知ってもらう」って難しいのです。
というのも、
・そもそも現代社会は情報にあふれている
・各種SNSも利用者の興味・関心に応じた投稿でタイムラインを作るようなアルゴリズムが用いられており、新たな分野の情報に触れる機会が少ない。
・たとえ目に触れられたとしても、さっと受け流されることも非常に多い
ということがその理由です。
森井監督はここに非常に気を使って取り組みを進めているように思います。
そして、知ってもらうには視覚的なインパクトが特に有効であるとも言われています。
例えば、ドラフト戦略を見てもそのような点がしっかりと考えられています。
① モデルという側面のファンをたくさん持っている岡田さんを指名
森井さんが麻雀遊戯BARでも語っていたように、マルチな活動をしているプロ雀士というのは、他業界のお客さんを呼べる点で非常に強いです。
何より、こんなきれいな人を並べられて、麻雀してます、って言われたら思わず見てしまいますわ。。。。
なお、私の6歳娘は、Mリーグ全選手の中で、コバゴーとアッキーナが特に好きらしく、2人に結婚してほしいと言ってました。
理由はかっこいいし、かわいいから。
あと鈴木優さんを見て、「ちょっと結婚したいかもー」と言ってました。
パパは?と聞いたら、「パパはちょっと嫌」と。
はぁ、世の中やっぱり顔ですか。
② 同時に沢崎さんを指名し、内川さん・岡田さんとチームを組ませる
皆さんは下の写真を見てどう思うでしょうか。
美男美女と、優しそうなおじいちゃんがなぜか同じユニフォーム着て、写真写っているけど、どういうこと?
要は、このチーム編成、アイキャッチ力が半端ないんですね。
これタイムラインにたまたま出てきたら、「おや?」と思わせることができる(可能性が高い)と思うんです。
③ 更に堀さんを指名。カオス状態に。
その上、ウヒョ助さん曰く「水辺の妖怪」の堀さんを獲得したことによって、さらに視覚的にカオスになりました。
この写真見たら、イケメンとおじいちゃんと足長い美女となんか必死に足伸ばしている薄目のおじさん、というカオスっぷりが伝わってきて、興味を持たざるを得ません。
パイレーツも同じ構図に挑戦しているわけですが、個人的には岡田さんの比較対象となる石橋さんの心中察するくらいで、やはりサクラナイツの方がインパクトがありますよね。。。
あとダーツのように異業界にもチャレンジしており、こういった点は戦略性を感じます。
Interest(興味を持ってもらう)
知ってもらったら、次にいかに「興味を持ってもらうか」が課題です。
例えば、麻雀について何も知らないけど、サクラナイツを知った人がYoutubeの公式チャンネルを見に来ても、麻雀だけの動画だけしかなかったら、なかなか見る気になりません。
その点、サクラナイツは、足長美女と薄目おじさんが45秒踊ったり、楽しそうにウマ娘やったりしています。
これだったら、「あ、ちょっと見てみようかな」というふうに一歩進んでもらうことができますよね。
もちろん麻雀経験者にも響きそうなコンテンツもあり、さすがKADOKAWAと言わざるを得ないです。
何より毎試合日に動画を上げる等、ほんとに手間暇がすごいです。
Desire(欲求を持ってもらう)
関心を持ってもらったら、次は(森井さんの言葉を借りるなら)「サクラナイツがやってることに共感してもらう。憧れを持ってもらう」ことが重要です。要は、ファンになってもらうことです。
サクラナイツのアイデンティティは麻雀プロのチームなので、究極的には麻雀で魅せる(及び付随するファンサービス)ほかありません。
そのポテンシャルがサクラナイツにあるのは、麻雀ファンの誰もが認めるところなのではないでしょうか。
沢崎さんの面白い麻雀と見事なスポーツマンシップは、視聴者全員の心を打ちました。
直近シーズンのファイナル最終日は本当にドキドキしました。
堀さんの表情のあまりのカッコよさに、男ながら惚れそうになりました。
このギャップは堀さんの魅力。
堀ガールズの存在にも圧倒的に納得です。
他にも、森井さんが他の監督に比べて極端に前に出ているというのも、ここに挙げられる取り組みの一つです。
刺激的なサービスがたくさんある中で、サクラナイツのファンとなってもらうためには、共感を持ってもらう、憧れを持ってもらう以外にも、親近感を持ってもらうというのも手段の一つとなります。
この点、森井さんが前に出ることができれば、ファンと触れ合う頭数を、選手4人に加えもう1人増やせるわけで、より有利になります。
他にもYoutubeやTwitterのスペースといった媒体も使っており、もはや感心しかしないです。
森井さんが前に出すぎることを嫌悪する人もいるかもしれません。
ただ、そんな人も森井さんの行動力・一生懸命さは認めざるをえないわけで、「森井さんは嫌いだけど、すごい」となるわけで、
それ即ち、「そんな社員を抱えるKADOKAWAすごい」になるわけです。
サクラナイツの活動の究極的な目的も「KADOKAWAの利益」なわけで、そういった意味では、森井さんの行動は(表現等気を付ける点はたくさんあるものの、)少なくとも方法論としては、負けのない戦です。
Action(購買行動をおこしてもらう)
これはサクラナイツファンクラブ加入の動機づけをどうするかということに尽きます。
ファンクラブ限定のコンテンツの存在は、ファンに「ファンクラブ入ろう」と思わせる十分な動機になります。
これらを頭の中で戦略的に考えることはできても、実行まで移すのはなかなか難しいです。ですが、これらすべてがしっかりと実行されているのには、見事の一言です。
これらを総合すると、以下の3点が新メンバーに求めたい要素でしょうか。
岡田さんのように、マルチな活躍をしていることにより、ファン層拡大に貢献できる
いざタイムラインに出てきた際に一目で関心をひけるように、チーム写真に驚きを作れる。ルックスにインパクトがある(他のチームメンバーとの間にギャップがあることを含む)
麻雀ないしはファンサービスで魅せられる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?