バイオーグトリニティをようやく読破した話。


物理的なスペースの問題で私は数年前から紙媒体の漫画を買う事を控えていた。
しかしながら人生の3分の1を漫画と共に歩んできた私は、
手元に置いておきたい&役立ちそうなものはスマホで、
目を通したいと思ったものはレンタルで、
そうして漫画を読むことを諦められずにいた。

バイオーグトリニティに出会ったのは、
かれこれ2-3年前、もはや誰だったかも覚えていないが、
当時毎週のようにツタヤで10冊700円レンタルのお世話になっていた私は
ノルマ10冊を達成するためにお薦めはないか?と聞いたところ、このバイオーグトリニティを進められ、大暮維人の絵につられ手を出したのだった。
当時はまだ7巻くらいまでしか出ていなかった気がするが、それはそれは夢中で1週間の間に何度も読み返した。
しかしながら大人になるとは非情で、少し日常が忙しくなるとあっという間に記憶は欠落し、いつしか存在自体も綺麗に忘れ去ってしまうのだ。

そんな私がつい先日、家族のお使いでDVDをレンタルすることになり、レジに行く途中に通り過ぎようとした棚にフッとその名前を見つけた。
一瞬で記憶が引き起こされ、続きが読みたいという一心で、自分が覚えていたストーリーはどこか1巻ずつパラパラとページをめくった。

そんなこんなでようやく完結まで読み終えた感想をなんとなく書き留めておきたくてここに記す事にした。

結論から言うと

うまいこと綺麗にまとめたもんだなあ。と感心しざるを得ない。
散りばめた布石を拾い上げ、なおかつ設定の辻褄が狂わない。原作の舞城王太郎のことはあまり知らないが世界観の作り方がとてもうまい。
そしてそれを絵で表現するのはさすが大暮維人だな、と思った。

しいて言うなら、極子が工作員として優秀すぎひんか?ってくらい。むしろ極子がいなかったら完結してないと思う。
あと愛の絆強すぎな、しかし世の中の童貞には一定数ありえそうな世界だった。
少なからず凡人である私は松蔭っちこそリアルの自分に一番近しいものを感じた。普通に生きてる高校生ってあーゆう感じじゃねーの?私の愛は本物じゃない、って言ってたけど、そんなもん藤井くんと芙三歩ちゃんが異例なんだよ、だからそれでいいんだよ、松蔭っち。と思った、し、
それを拾って世界を明け渡す適役として任命した藤井くんやべーなとも思った。
何十回と人間やってると強靭な精神と揺るがない信念が確立されて達観していくんだなあ。

最後は本当に綺麗におさまって、本当に本当に良かった。
未来はどうなるかもう誰にもわからない、4人の笑顔。青春と見せかけてエログロで頭絡まりそうなループ設定だったけど、最後はまた青春になった。
みんなが普通の高校生に戻ってよかった。

原作の舞城王太郎に興味が沸いたので彼のほかの作品にも目を通していきたいと、よい出会いを繋いでくれたこの漫画に感謝して終わる。



追記、どこが一番好きだったかと問われたら間違いなくマゾバーガーの「マジギレしないでください!」の注意書きです。

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