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ビリヤニの基礎 その2 〜 実際はテキトーでもいけるポイントたち

前回最重要ポイントとして「鍋の温度」「肉の量」「塩の量」の3点について触れました。これらを外さないだけで、適当なレシピに従って炊けばそのビリヤニは「美味しい」の範疇に入ってくると思います。炊飯器や炊飯土鍋に従えば、鍋の温度管理はほぼほぼクリヤーです。

しかし、レシピを見るだけではやっぱりなかなか感覚が掴めずに、つい二の足を踏んでしまうこともあろうかと思います。今回はそんな方の背中を押す想いを込めて、「失敗しないとそりゃ嬉しいけど失敗しても意外にテキトーで大丈夫」なポイントたちとリカバリ手法について触れます。

ポイント1. 辛すぎる

市販のビリヤニミックスなどでもよくあるポイントです。最初から辛すぎないように調整するに越したことはないので、慣れるまでは辛味は米を合わせる最後ギリギリで調整するようにしましょう。早い段階で加える生の唐辛子はししとうで代用すると、ちゃんと青味が残ります。

辛いのが苦手な場合は、唐辛子や胡椒(特に挽いてあるもの)は思い切って全部抜いてしまいましょう。市販のビリヤニミックスは辛味リスクが高いので、手に入りやすいスパイスだけで自作した方が良いです。数を揃える必要はありません。

ですが、炊きあがって試食して「あぁ、辛いなぁ」となってしまった場合でも、よほどでない限りは各種のトッピングやライタ(ヨーグルト)でかなり緩和が可能です。特にフライドオニオンやナッツ類やドライフルーツ類は効きますので、少し多めに混ぜてあげると良いでしょう。

ポイント2. 鍋がコゲちゃった

よくあります。日本人はおこげ文化に親しんでいるとはいえ、鍋底がゴリっとすると残念感が滲みます。鍋をしっかり温めることが大事なのに、火をい入れすぎるとコゲてしまうのは悩ましいですが、鍋全体がしっかり温まったら火は弱火にします。必要な温度は100度近辺ですので、それをキープする最低限の加熱をイメージしましょう。

しかし、実際は多少のコゲが出たとしても全体はおいしく仕上がります。鍋がヌルくて生炊きになるくらいなら、コゲが出ても鍋が温まってしっかり炊けた方が美味しいです。旨味分と塩がしっかり効いていれば、コゲてない上の方は美味しい状態になっているはずです。焦げた底の部分は鍋の素材に応じて、重曹やお酢で柔らかくして対処しましょう。

ポイント3. 玉ねぎがコゲちゃった

フライドオニオンは、その手間も含めて敷居を高くしがちな面があります。市販品を買う手もありますがちょっと高かったりもするので、生の玉ねぎから作るケースもしばしばあるかと思います。自分で作った方が味もよく、油の酸化の懸念もありません。

その際に、慣れていないと火から下ろすタイミングが遅くなり、焦げて苦くなることがあります。また玉ねぎスライスの厚みがあると、真ん中は白いのに端っこは焦げてるような状態になったりもします。一つつまんでぱくっと食べて見て、あまりに苦くて我慢できない場合は諦めますが、ちょっと苦いくらいは無視して大丈夫です。むしろちょっと香ばしくて美味しくなるかもしれません。

慣れてくると理想のゴールデンブラウンも目指せますが、大切なのは玉ねぎの旨味、とりわけフライドオニオンは甘みが大事な要素になります。その要素さえ感じることができるのであれば、多少の焦げは無視して全く問題ありません。

ポイント4. 水加減を間違えた

お米の計量がざっくりだったり、食材から思ったより水が出てしまったり、といったケースはよくあると思います。もっとも大切なのは、米が十分な水分・蒸気の中で10〜20分程度は加熱状態にあることで、その上で水分量が最終的に調整されれば仕上がりは食べられるものになります(その際「米が水分に浸った状態」は10分程度までにします)。

ですので、仮に炊き上がりが硬いなと思ったら少し熱湯をさしてもう少し蒸したり、もしくは水分過多の場合は蓋をとって水分を飛ばすなどすれば、実は調整はそんなに難しくありません。

炊きたては、基本的にはソースに触れた下の方は水分が多めで、白い上の方がぱらっとしています。ですので、上のぱらっとした米をよけてから下の方を取り出して空気に晒して湯気を抜き、そこに上の方をふり混ぜるようにして水分の中和を目指します。

そこからさらに時間を置けば、炊きたて感はなくなりますがさらに水分は抜け、またお米の間で均一に水分が馴染みますのでベシャっとした感じではなくなります。また、多少米が柔らかかったとしても生炊きでなく味がしっかりついていれば、食べた時には美味しいと感じられると思います。

ポイント5. 米が折れた

バスマティ米はその形状からとても折れやすいです。特に給水を長めに取ると崩れやすく、また炊けた後もそっと混ぜないとボキボキと折れていきます。

折れないようにするには、米への負荷をできるだけ避けましょう。洗米も、インドやパキスタンのお米なので、埃を洗い流したり小石がないことを担保する程度で、日本のお米のように「研ぐ」必要は皆無です。

ただし、それでも多少は折れます。気にするのはやめましょう。仮にボキボキに折れていたとしても、見栄えは悪いですが他のポイントがおさえられていれば美味しいはずです。ビリヤニの米は折れても、心が折れる必要はありません。


というわけで、これらのポイントは「失敗したって美味しい」のでわざわざ並べる必要もないのですが、「意外に神経質にならなくて良さそうな感じ」が伝わると良いと思って書きました。

他にも心配になりがちなポイントとして「スパイスの正解がわからない」とか「どれくらい火を入れれば終わりか判断できない」といったものもありますが、この辺は絶対的な正解はないエリアですし、極端なことをしなければちゃんと美味しくなりますので、実はあまり失敗ができません。

次はビリヤニの基本的な構成要素について、少し書こうと思います。

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