2020年11月現在、もしかしたら、今、世界で一番 「ZOOM を使ってライブ配信する」ということを考えているのは私かもしれない。
まえがき
2020年11月現在、もしかしたら、今、世界で一番 「ZOOM を使ってライブ配信する」ということを考えているのは私かもしれない。という話とプラスアルファ。
急な世情の変化が起きた2020年春先には多くのテレビ局や YouTube 番組において、その場凌ぎとしてリモート会議システムを使って番組を成立させていたが、今では一定の配慮をしてのロケやスタジオ撮影が行われるようになり、リモート会議システムはリモート会議システムとしての本来の役割に戻っていった。
そもそも、リモート会議システムの場合、参加者全てのPC環境が違うため映像と音声の品質統一が難しく、放送として活用にするには適していない。会議だから許される品質というのがリモート会議システムである。
弱小 YouTube チャンネルのコマラボは、基本的には将棋イベント(ねこまど将棋チャンネル トークライブ)の生放送をメインの番組としていたが、オフラインイベントの減少により出番を失うことになる。出番が来るまで放っておいてもよかったのだが、2020年からのリブランディング (ねこまど将棋チャンネル→コマラボ)を定着させるためには何かをする必要があった。
そこで始めたのが Zoom を使ったイベント配信、ゲームレビューであり、連珠の解説放送だった。
ZOOM は独特の仕様で、加えて春先と11月現在のバージョンでは少し違うところもある。これからも変わっていくだろう。ひとまず、現時点における検証をしておくことを目的として、連珠の放送から得た経験をここに記しておく。
そもそも ZOOM をどう使っているのか?
ZOOM は全画面表示がとても使いにくい。そのため、いわゆるブラウザ表示のように使っている。そうすると側の部分をトリミングしたくなる。もちろん、トリミングしなくても良いのだけれど、このあたりはデザインの美意識である。チャットウィンドウやコントロールパネルも不要なのでトリミングし、本来使うべき部分だけを残す。そうすると変な縦横比になる。
なお、ZOOM の標準機能での YouTube 配信は、右下に ZOOM ロゴがはいってしまい残念なデザインなので、よっぽどのことがないかぎり使わないようにしている。
映像におけるデザインというのは非常に大切であり、ディティールにこだわるかどうかで全体の品質が違ってくる。私はデザイナーではないので最低限のところまでしか追い込めないが、何もしないようりはやったほうが良いのである。それが映像への礼儀というものだ。
ワンオペなのでオペレーションを省略できるかどうかが大きな鍵となる
何かのイベントを Live 配信しようとするときには、
① ビデオ
② 音声
③ 配信
の3つの機能が必要で、ビデオカメラのマイクを使うのであれば①と②はセットにしてしまうこともある。
ビデオカメラが複数あればスイッチングしなければならない。写真やスライドを使いたい場合は、そのタイミングでインサートしなければならない。このような作業は配信の役割となる。
単一画面、単一カメラであれば、配信はスタートと終わりだけボタンを押せばいい。
あとは視聴者からのコメントに対応するのはキャストが行うのか、運営側でコメント返信するのかの切り分けが必要となる。
ZOOM を使った場合、各人の品質は異なるものの映像の構成と音声のミキシングは ZOOM が行うことになる。特に音声の大きさの調整については、 ZOOM に任せられるため作業をひとつ軽減できる。
画面構成の変化に気を付ける
ZOOM の特徴として分かっておきたいこととしては、
① ビデオ参加人数によって画面構成が変わる
② 画面の共有を行ったとき、共有の仕方によって画面構成が変わる
③ 画面共有の際のビデオ表示は上表示と右表示の2種類ある
という3点となる。
単一構成だけで番組が終了するのであれば最初の構成画面だけ作成しておけばよいが、複数のシーンを使いこなしたい場合には上記の特徴を分かっておく必要がある。
ZOOM の良い点は参加者の出入りが多くても基本構成画面が変わらないということである。
なお、急にテロップ入れてとか言い出すキャストをたまに見かけるが、番組制作の仕組みを分かっていないのだろう。テロップというのは前もって作っておかなければ、サイズ感・デザインの調整ができない。
次からは連珠解説からの検証について記載していく。
ボードゲームの画面構成を考える
連珠第58期名人戦第4局を例に説明をする。
まず一番上の画面は、中央に Renju Portal (Webサイト) のブラウザを共有しており、右列にキャストのビデオが並んでいる。この ZOOM 画面だけを XSplit(配信ソフト) に入れ込んで配信することもできる。
しかし、見ていただくと分かる通り空白が多く情報も少ない。このままだと味気ない上に説明不足なので最低限の情報として右上、右下にテキストを入れている。この時は別チャンネルで配信している盤面映像を左下に配置している。左上には番組ロゴ。それでも、まだ空白は多い。何らかの情報、あるいはスポンサーバナーなどを入れたいところだ。
なお、画面共有を止めてビデオだけにした構成が右下となる。左下には盤面映像が上から乗っかっているのだが、これはこのタイミングにおいて配信は無人で行っており配信ソフトを操作できないためである。(対局映像の配信場所に移動していた)
逆に言うと、ビデオオンリーになることも想定して最低限の映像被りとなるように大きさを調整している。
もう一つの工夫としては、全体背景をZOOM の背景(100%ブラックではなく、ダークグレー #181A18 )に揃えることで画面構成がシームレスに見えるということである。これにより、あたかも ZOOM だけを使っているように見える。
シームレスにしない例を真ん中下に例示している。これはこれで、この特徴を分かった上での画面構成にしている。
ボードゲームの盤面映像はどうあるべきか
ボードゲームと言えば、やはり完全俯瞰映像だろう。業界での通称 天カメを使う。お天気カメラではない。天井カメラである。
将棋や囲碁でおなじみの映像であり、昨今ではコンピューターによる評価値を端に加えて配置することも多くなっている。評価値に対しては賛否あるものの、全く分からない人に対しても映像だけで一定の説明がなされるという点においては悪くないだろうと考えている。本当の玄人は映像も不要で棋譜だけ見れば十分だ。映像というのは、やはり、多くのいろいろな人を想定したものであるべきであり、特に無料放送ならマジョリティである非業界人を意識すべきだろう。
では、何を表示させるべきだろうか。
私は棋譜コメントを入れたいといつも思っている。
将棋の人であれば携帯棋譜中継の棋譜コメントと言えばわかってもらえるだろう。棋士あるいは中継記者による短い解説である。
今回の連珠名人戦の中継においては、連珠界から要望もなく(私は解説コメントを入れられるほど棋力が無い)、コンピューター解析に対しても否定的な人が多かったため、結局はとてもシンプルな生映像になっている。
ZOOM だからこそ参集できるメリット
ZOOM に限らずリモート会議システムの大きな利点は、インターネットさえあれば場所は問わないということである。
特にキャスト、配信者において、リモート作業は大きなメリットである。
キャストがスポット的にスマホを使っての参加するなどの飛び道具を持っていると、バラエティな番組構成を考えることができる。
数か月前には ZOOM を用いてのゲーム実況動画等が増えるかと思っていたのだが、11月において増えているような気配は無かった。複数人ゲーム実況は、現在ではリアルに集合して行うようになっている。
故に、ZOOM を使ってライブ配信を考えているのは、ほぼコマラボだけ。
今後の情勢はどうなるのか分からないが、一度苦労して、また元に戻った場合、人というのは同じ苦労をしたくないと思うのかもしれない。何が何でもリモートは使わないという人がでてきてもおかしくない。
Reshape myself and yourself
そもそも YouTube は作りこまれた動画がメインで、ライブの場合でも一人ライブが多い。複数人ライブを行っているのは企業系、有力 YouTuber だけだろう。そして、複数人番組はリアルに回帰している。
コマラボは元々、傍流の非主流派である。
だからこそ変化に対応しやすいという側面もある。
環境の変化に取り残されることなく、小舟で荒波の搔き分けるフットワークの軽さが私たちの利点であり、変わり続けることを邪魔する荷物が無い。常に変容し (Reshape)、楽しんでいくのがコマラボである。私たちのコンテンツを楽しんでもらえれば、きっと視聴者も変容 (Reshape) していくことだろう。
いろいろな変容を踏まえ、次なる私たちの標語は「Expericene More with KomaLab」とする。日本語にすると「もっと大きな経験を、コマラボと共に」という感じだろうか。
私たちの基本通貨は Experience(経験)だと考えている。まずは多くの人に大きな経験を提供したい。モノとして所有できないもの、それが経験である。時代は所有から共有の時代に移り変わってきている。何かの経験を共有したり、あるいは産み出したりするプラットフォームとしてコマラボは存在していきたい。
そして、願わくば、もしかしたら Experience (経験) が Cash (現金) を運んでくることもあるかもしれない。現実世界ではお金が強いし、私だって嫌いじゃない。(まずは私と MCMaruyama のタダ働き&持ち出しという状態を脱してギャラが入ってくることが必要だ)
ZOOM を使ってライブ配信するには、参画してくれる仲間が必要。
これからも仲間を増やして、多くの経験値を稼いでレベルアップしていこう。メンバーは常に募集中。下僕メン募。
(@totheworld)
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