今、どうしてもトラペジウムを観てほしい

トラペジウムという作品に出会った。
強烈な出会いだった。
だんだんとこの作品が上映回数が減っていく中で、どうしても、アイドルが好きな人たち、アニメが好きな人たちにこの作品を観てほしいと思った。だから、私は文章を描くのが下手くそだけど、こうでもしないと伝わらないし観てもらえないと思って、いまこのnoteを書いています。noteなんか書くのはじめて！

そもそも私はホロライブの本当に浅い浅いオタクなんだけど、ホロライブ好きのライングループに入れてもらっている。星街すいせいの名前ももちろん知っていて、曲も何度も聴いている（ちなみにソワレが好き）。それでも最近の流行りのアニメに疎い私は、星街すいせいが劇場アニメの主題歌をすることを知らなかった。私よりももっと星街すいせいを好きなオタクたちが、トラペジウムを観に行って、「お願いだからトラペジウムを観に行ってほしい」と言われたことがきっかけで、この映画のことを知った。そのときにライングループでトラペジウムを観たオタクは二人だったけど、特別に好き、という人はいなかった。どちらかというと、嫌いじゃないけど、賛否両論あるのも分かるな、といったような反応だった。

その出会いが、私の人生観を少しだけ狂わせた。
これは観てない人向けのnoteなので、歯がゆいきもちをぐっとこらえて、ネタバレをしないように伝えようと思う。

トラペジウムを今、アイドルオタクやアニメを好きなひとたちに観てほしいというのは、何かを考えてほしいとか、教訓を得てほしいとか、そんな理由じゃない。

トラペジウムを見るための心構えの話。

そもそも、トラペジウムをこれから観る人間に分かってほしいのは、これはアイドルアニメではない。等身大の女子高生たちが、大人になるまでの群青劇だ。
私はアイドルアニメが大好きだ。そんな気持ちでトラペジウムを観に行って、いい意味で裏切られた。でも、同じようにアイドルアニメを期待して悪い意味で裏切られる人間がいることもわかっている。少しでもこの映画のことを良いと思ってほしいから、アイドルアニメだと思ってほしくない。

ちなみに、わたしはトラペジウムの映画を観てから、原作も読んだ。原作を読まなくても十分に楽しめる作品だと思う、というか、1回目は原作を読まないで観てほしい。
ただ、あの尺だからこその展開の足りなさについては、我慢してくれとしか言えない。あとから原作読んだら楽しめるから。

あと、トラペジウムという言葉を調べないでほしい。ツイッター（現・Ｘ）でどなたかが発言されていた、この映画を観終わってからトラペジウムという言葉を調べる幸せを味わってほしい。

そして最後に、この映画は二度観ないと楽しめない。Ｘでは何度も映画を観るなんておかしいよ！という、この映画の名場面をいじったものが流行ってるけど、この映画を複数回みることに関してはなんらおかしくない。というか、二回みないと、前半の時間を100％楽しむことはできないと思う。私は1回目にみたときの前半は、宇宙猫のような顔をしていた。

そんなに楽しむ為に厄介で、面倒くさい映画があるか！と思われるかもしれないけど、そんな手間をかけても楽しんでほしい。

万人受けする映画だとは思っていない。
でも、この映画をみて、登場する女子高生四人たちが、一生懸命日々を過ごしていたこと、大切なものを探していたことを、少しでも多くの人に知ってほしい。
「賛否両論だよね」で片付けてほしくない。

福祉の世界や、心理学、保育の世界、高校の倫理では、エリクソンの発達段階というものを学ぶ。そのなかで、映画の登場人物たちが該当する青年期は、アイデンティティの確立が発達課題とされる。この映画は、その発達課題にぶちあたった娘たちが、悩み、ぶつかり、課題を乗り越えていく物語。

社会人になっても、たくさんの壁にぶちあたって、心が折れて、少し休んでいた時期にこの映画に出会った。夢を探すもの、夢を追い求めるもの、普通の女子高生とはすこし違うけど、普通の女子高生となんら変わりない発達過程を辿るキャラクターたちをみて、初心に返り、「もう少しだけ頑張ろう」と思えた。
この映画の主人公は、たくさんのことで失敗するし、挫折します。とても打算的なキャラクターで、嫌いな人は嫌いだと思います。でも、そこに、どこか人間らしさというか、「自分」を見出してしまう。共感性羞恥みたいなものが、この映画の評価を落とす要因のひとつな気がします。
でも、思い返すと自分の人生だって、失敗ばかりだったけど、なんとか生きてこれたよなって。ここまでは来れたって。
人生観挫折を怖いことだと思っていた自分が、少しだけ、失敗を恐れなくなった、ちっぽけな勇気をもらえた映画。

酔っ払った勢いで書いた駄文ですみません。
でも、上映が終わる前になんとかみんなに観てもらわなきゃ！って思ったんです。お願いだから、面白くなかったでもいいから、トラペジウムを観てくれませんか？ちょっとだけでも、この作品が生きていたことを知ってほしいんです。