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#15 インベーダーゲームのはなし 昭和54年頃

これは、こまちんが中学三年生の頃のはなし…


昭和53年にタイトーという会社が、スペースインベーダーというアーケードゲームを出します。

これが大きなブームとなり、テーブル型のインベーダーゲームが喫茶店に導入され、その爆発的な人気は、当時、社会現象となります。

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最高得点300点のUFOを撃ち落とすために何発目で当てればいいとか…
名古屋撃ちとか…
裏技でレインボーを出すとか…

ゲームに関して色々な情報も飛び交い学校でもそんな話題で持ちきりでした。

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しかし、所詮、中学生。
一回、100円のゲームをそう何回も打てるわけがありません。

ある日、いつもつるんでいる友人の中の一人がこんなことを言い出します。

『5円玉潰して100円とおんなじ大きさにしてな、真ん中にセロテープ貼ったらいけるらしいで~』

(その頃の自動販売機やゲーム機のコインの投入口は、とてもショボい造りだったんですね。)

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まだまだ無分別が学ランを着ている中学生たち…
杉田かおるが中三で妊娠する話を毎週金曜夜8時からテレビで見るリアル同世代…
それがとても重い罪だとは考えもしない。
(通貨偽造及びその行使は無期または3年以上の懲役…)

放課後、大量の5円玉を持って家業が銭湯の級友宅に集合します。

銭湯の裏庭に集まった5名の中学生、一心不乱に5円玉を潰します。
一人あたり2、30枚も潰したでしょうか…

早速、勇んで隣の校区にあるゲーム喫茶へ…
このゲーム喫茶、テーブル型のインベーダーゲームが十数台並んでいてジュースの自販機があって…
しかも無人…

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おそらくその校区の中学生だろう4、5人が先に来てゲームをしていました。
彼らの使用コインもあきらかに5円玉…

ブッ、ブッ、ブッ、ブッと高く低く地味に鳴り響くインベーダーの侵略音…
キュン、キュンという金属的なミサイル音…
そして、キュルキュルキュルキュルとUFOが飛んでくる音…
すでにその場所は、侵略してくるエイリアンと斗う、戦場と化していました。

こまちんたちは、空いているゲーム機にそそくさと座り100円玉を2枚テーブルの隅に置き、今度は、ポケットからこっそり5円玉を取り出し、勢いを付けてゲーム機のコインボックスへ…
『ガシャン!』
クレジットが0から1へ…
もうそれからは、わき目も振らず一心不乱に『撃つべし!撃つべし!撃つべし!』

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ゲーム喫茶内の全員が、地球の平和を守るため、攻めてくるインベーダーを夢中で倒しまくっていた、そのとき…
突然、笹野高史に似たおじさんが怖い顔をして入って来ます。

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『コラァ~!お前かぁ~っ!!』一人の他校の中学生の前に立つと襟首を捕まえ立たせます。
『うちんとこの機械はなぁ、全部コンピューターで監視してるんやぁ~!だから、誰が5円でやってるかすぐ分かるんやぁ~!』
(おじさん…全員5円でやってるよ…)

『ちょっと、こっちこいっ!!』
おじさん、その中学生の襟首を持ったまま店の外へ連れ出します。
他校の残りの生徒たち、おじさんがくるまではあきらかに友達だったのに、今はまるで他人…
(ドナドナドナド~ナァ~子牛を載せてぇ~ドナドナドナド~ナァ~荷馬車が揺れるぅ…こまちん心の歌)

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この行為は非常に悪いことだと、他校の中学生に身を持って教えってもらったこまちんたち…
『せっかく、うまくいったけど、もうやめよな…』
と、みんなでうなづきあいました。

さりとて、突然やめるのもなんなんで、5円玉が尽きるまで引き続き地球の平和を守り続けたのでした。

(こまちん…初めて悪の道に染まった日…あっ、通報しないでね…)


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