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内田橋さんぽ

12月某日、名古屋から少し離れた内田橋へ降り立った。
この辺りには伊勢湾から流れてくる支流が何本かあって、昔は渡し舟があったり大きな橋があったりしたので「なんとか橋」という地名が多いんだって。

あんまり綺麗とは言い難い川沿いをてくてく歩いて行くと、古びた商店街にたどり着いた。

うむ、よい感じに鄙びている。近くにトヨタ系の工業地帯がある関係で、かつては人通りも多く賑わっていたんですよ、と喫茶店のママさんが教えてくれた。
今は歩く人もまばらだった。ましてや写真を撮りに来る物好きなどほとんど皆無らしく、歩いていたおじいさんにじっと見られていた。

重く閉ざされた内田橋ストアー。外観の豆タイルが素晴らしい。

眼鏡屋さんのユニークな看板。目が右に寄りがちなところがなんとも言えない。

一見するともはや何もない商店街に思えるのだが、実はこの界隈には喫茶店が密集している。徒歩で廻れる圏内に十軒以上、昔はきっともっとたくさんあったのだから相変わらず東海圏の喫茶店パワーには恐れ入る。
そして今回のさんぽの目的は、この喫茶店巡り。
以下、写真と共にご紹介していきます。

ストライプな屋根が可愛らしい。軒先のレンガ、四角い窓にかかるカーテンとぼんやり見えるランプがよい。
レンガといえば、お隣も立派なレンガタイル。お店の屋号もなかなか。

ほかほか暖かい店内で、すみれ色のクリームソーダ。
柔らかなヴァイオレットに光が差し込んで、大変に美しい。
「SNS映え」っていうとなんだか悪いことのように捉えられる世の中だけど、きっかけがSNS映えだっていいんじゃないかな。綺麗なクリームソーダに感動したら、それをストレートにマスターに伝えてみて欲しいなぁと思う。
少なくともわたしが今まで巡った喫茶店で出会った方々は、サイフォンで淹れるコーヒーを珍しいと思ったりアンティークの内装を愛おしく思うわたしを受け入れてくれたし、写真やブログの掲載についても快くOKしてくれた。
勿論NGなお店もあると思うし周りの方々の気持ちも考えないといけないんだけど、好きなものを好きという、それを誰かに伝えたい気持ちも大事にしていいと思う。
要は、自分と周りとのバランスなのかな。

こんなに可愛いランプは初めて。惚れ惚れしちゃうね。

天井もホットケーキもママさんも、全てが素敵だった喫茶セブン。でも一番ときめいたのはこのライタースタンドだな。

https://oldkissa.me/coffeeseven/

この日はお休みだった。とてもキュンとくる店構えのお店たち。

何軒かのお店で牛丼がメニューに載っていてびっくり。岐阜では牛丼がある喫茶店ってあんまり見かけないな。

牛丼も捨て難かったけど、鉄板ナポリタンに決めました。
このナポリタン、たまごがとにかくフワッフワ。鉄板ナポリタンのたまごって、大抵は半熟のまま提供されて余熱で火が通ってペラペラかりかりな感じに仕上がると思うんですけど、ここのは本当にフワッフワ(大事だから2回言った)。スクランブルエッグみたいで、美味しいやつ。

あぁ満足。
余談ですが、ナポリタンのソーセージは赤ソーセージでした。昔ながらのやつ。

住宅街をふらふら歩いて行くと、小さな公園にたどり着いた。黄金色のイチョウと、満開の寒椿。

いい光だった。冬だけど、穏やかな暖かさ。

ふわふわの、綿飴の子どもみたいな空模様だった。

内田橋、いいところだったな。また行きたいね。


Fin.

喫茶店に行ってきます〜