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斎王からの伝言【創作】14

14 オフ会

 2016年10月7日から10日まで野花菖蒲会Skype会議を経てとうとうオフ会を開催する事になった。開催場所は仙台のビジネスホテル。
 3人とも忙しく活動していたため時間が取れず『斎王からの伝言』のストーリーに加えるべく各々が調べていた事をじっくり語り合うためだ。

 エマは農業ヘルパーで働き始めてから2年の月日が経過していた。北海道2回、愛媛県、京都府と回り今現在は埼玉に戻って来ている。独学でCADの勉強をしながら派遣で単発のアルバイトをしている。大規模の流通を体験し、大量生産、薄利多売がいかに人間の精神を歪めているかを目の当たりにした。国全体の食をどうするかを課題としている。
 
 ミキは能楽師として修行しながら、新たな女性社会の体制を創造するべくヌーソロジーについて学び、現代能楽として創作出来ないか模索している。
 
 コウはコールセンターを渡り歩きながら絵の技術を向上させるために美術解剖学を独学で勉強している。
3人共なぜか残り時間が少ないようなそんな危機感を持っていた。3泊4日という時間を作るのは至難の業だったが、焦りから都合をつけたのだった。

 コウとミキは仙台駅のステンドグラス前で初めて実際に顔を合わせた。ぎこちなく、でも顔も声も知っているのだから懐かしい気持ちが沸き上がり顔を赤らめてからお互いすぐ笑顔になった。
コウ「仙台に来てくれてありがとう。」
ミキ「うん。やっと会えたね。」
コウ「疲れてるでしょ。まずはホテルまで案内するね。」
 10月8日9日10日と連休のため、ミキは7日夜18時頃仙台に来て、エマは高速バスの都合上8日の朝5時30分に着く予定だ。
 ホテルは仙台駅周辺のビジネスホテルでミキは3泊4日21000円。エマは2泊3日14000円。交通費込みで予算は一人約二万円。コウは地元なので三人分の食費と諸経費や設定した金額より足が出る宿泊費や交通費を負担する。8日9日10日の昼間分はお弁当か外食で1000×3×3で9000円。8日エマとの朝ご飯分が1000×2で2000円。後は朝夜の食事がホテルで出される。問題はミキの交通費で、コウとエマは貧乏旅行に慣れているがミキは新幹線以外乗った事が無かった。JRのW切符で往復3000円だが新幹線のW切符だと往復5000円する。この選択は個人負担としてミキに一存し彼女は新幹線を選んだ。
コウ「ここだよ。マンションみたい。」
ビジネスホテルは仙台駅から徒歩15分の場所にある。19時30分までが夕食の対応時間だったため、地下鉄南北線に乗り勾当台公園で降りると徒歩3分で着いた。
ミキ「趣があるね。」
ビジネスホテルの壁はレンガ色をしていて、趣があるとは言いようで古くさい感じだ。朝夕と食事が付いて一泊で7000円は手頃で良い。
コウ「ここで解散ね。明日エマさんと合流して10時頃こっちに来るね。チェックインしたら夕食出るよ。」
ミキ「ありがとう。」
コウの家は地下鉄沿線なので通うのに問題はない。颯爽と帰って行った。
エマは人づきあいが苦手で苦痛になるといけないと部屋はシングルを取ってある。
ミキは1Fの食堂で食事をとり早々に部屋に戻った。明日の話し合いで使う資料を整理するためだ。準備が遅くまでかかっても明日はエマさんが10時にチェックインするため、朝ご飯は8時30分頃にすればいいなと考えていた。

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