見出し画像

マシュマロ返し「偉いって何ですか」

マシュマロに投稿された質問に答えるコーナーです。

Question

偉いって何だと思いますか。
地位的なことではなくて、行動とかに対する「偉い」の話です。


Answer

質問ありがとうございます。
普段あまり考えたことがない概念なので
いろいろと思索することができました。

個人的には質問者の方の背景や
質問の意図が気になります。

どうして「偉い」に気持ちが向いているのか。
何か思うところのあるエピソードがあったのか。
そのあたりを知れれば
もっと適切に回答できるかもしれません。

質問返しが出来ないので
一般論と私なりの解釈を述べたいと思います。


定義/解釈

辞書で調べると「偉い」の意味は
次のようになっています。

えら‐い【偉い・豪い】

1 《形》他(の水準)を抜いて、まさっている。


2   [偉] 品行や経歴や才能が立派だ。すぐれた。 
         「カントより―哲学者」

3   [偉] 地位や身分が高い。 
            「―方のお越し」

4   [豪・偉] 程度がはなはだしい。
(Oxford Languagesより)


この定義を踏まえて解釈してみると、
偉いという言葉を使うときには
「比較」が前提にあるようです。

1は記述の通りで
何らかの水準よりも優っている場合に、

2は成し遂げた業績の類が
特筆するほど優れている場合に、

3は地位や身分が高い場合に、

というように、
何かと何かを比較することを前提とする
概念・用語だということを
改めて知ることができました。

自分に当てはめてみたときの「偉い」

さて、日常で私が「偉い」という言葉を
わざわざ選択する場面を考えてみると
医学生や初期研修医に対して、
「お、えらい!」と言う場面しか
思い付きません。

これも真剣に使っているというよりは
ノリというか、軽い雰囲気のときに
軽く誉める程度のニュアンスで使います。

目上の方や地位・身分の高い方に
「偉いですね」とも言いません。
何らかの文脈で
「偉そう」は使うかもしれませんが
日常ではあまり使わない言葉だと気付きました。

大人が子どもに対して
誉めて伸ばそうとするときに
「偉い」という言葉を使うかもしれませんが、
前述の定義の通り、
(自分の方が)優れているという前提で
(相手に対して)「偉い」という言葉を発するなら
とても使いにくい言葉以外の何者でもありません。

やはり相手に「偉い」という言葉をかけるときは
相手の属性が初学者という条件が
付きまとうのでは?と思います。

比較を前提とする「偉い」という概念

定義を考えたときの気付きとして
「比較を前提する」というものがありました。

自分にとって比較は
仕事や必要に迫られた場面では
もちろん行うアクションではあるものの、
プライベートでは意図的に切り離して
なるべく遠ざけているように思えます。

人の悩み事の大半が人間関係と言います。
その人間関係がもたらす災いの中でも
「人と比較する」ということは
結構なウエイトを占める原因になると
個人的には考えています。

妬み・僻み
羨望・劣等感・優越感
マウンティング
などなど

いずれも人間の心理的安堵に関わるもので
大概が自分と他人を比較したときに生じる、
という点で共通しています。

その善し悪しは別として、
自分にとっては悩みの種になるので
不要な場面での他者との比較は
なるべく避けるように心がけています。

したがって、
私の日常生活においては
「偉い」という概念が
ほぼ存在しないので、
今回の質問のように
「偉いって何ですか?」と問われたときには
うまく答えられないのだと思います。


遠い将来の話であれば、
何か大きなことを成し遂げたときに
それが一般論として偉業と見なされるなら
「偉い」という言葉を意識するのかもしれません。

そんな日が来たら
もっと上手に「偉い」を語れると思うので
そのときまで首を長くしてお待ちください。笑

一連の考察を通じて、
「他者との比較が前提である」ということに気付けて
いい発見ができたと思いました。

質問者の方には感謝したいです。