それっぽい選択肢に引きずられる 【113B6・改】

113B6
医療面接で開放型の質問を用いる利点はどれか。
a 医療面接を短時間で行える
b システムレビューを省略できる
c 主訴以外の情報を網羅的に得られる
d 認知機能障害のある患者でも情報が得られやすい
e 患者が関心を持っている事項を把握しやすくなる

【正解】e

【解説】
開放型→患者の関心を聞くことができる/患者の表現力に依存
閉鎖型→医師の関心を聞くことができる/医師の知識に依存


<選択肢考察>
a 開放型の質問は面接時間の短縮を目的としません。
b システムレビューは開放型と組み合わせることで
 取りこぼした情報を網羅的に拾うことができます。
c 選択肢cは、システムレビューを説明した記述です。
d 認知機能障害のある患者では整合性の取れた情報を得にくくなります。
e 上記の通りです。開放型は患者の関心を聞くことができます。

以下、113B6のアレンジ問題/解説です。
これはtwitterでの「国試デフォルメ」という企画をもとに執筆したものです。
・直近の過去問を微妙にアレンジ
・正答率6-9割の範囲になるよう作問
・本番を想定して平易な問題も配置
・少し迷いが生じるような仕掛け
・既存の知識でカバーできる難易度
というグランドルールを原則として作問しました。


【113B6・改】
医療面接で閉鎖型の質問を用いる利点はどれか。

○システムレビューを省略できる
○主訴以外の情報を網羅的に得られる
○患者が関心を持っている事項を把握しやすくなる
○質問者が関心を持っている事項を把握しやすくなる

200114_113B6改

【正解】
質問者が関心を持っている事項を把握しやすくなる

【解説】
正答率は69.4%でした。

オリジナルの問題の正解率が73.3%であることを踏まえると、
本番の臨場感に近い問題設計ができたのではないでしょうか。
(参考文献:Question Bank/medicmedia)

オリジナルの113B6では、開放型の質問の利点が問われました。
開放型の質問は「患者の関心」を把握しやすくなるという点がメリットです。
OSCEの医療面接等で重要視されるので、馴染みのある方も多いのだと思います。
open(-ended) questionとも呼ばれる質問法です。

正解以外の選択肢で最も多くの票が集まったのが
「主訴以外の情報を網羅的に」という選択肢です。
実に26.2%の方がこの選択肢を選びました。
「主訴以外の情報」「網羅的」というのは
システムレビューを説明するためのキーワードです。
これは、「心理的に、いかにもそれっぽい選択肢に引きずられやすい」
という教訓的な結果だったのではないでしょうか。

不正解の選択肢に対する理解も重要だという格言で解説を締め括ります。

文責) まなびのデザイン 民谷 健太郎


●参考
羊土社「医師国家試験の取扱説明書」民谷健太郎 著
□ p55 #9 選択肢のつくり方を意識する