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十年後の医学生の手にも

巻末付録1では、
執筆に関する思いの丈を語っています。

そこには
「十年後の医学生の手にも」という
キャッチコピーを掲げています。

updateが前提の医学参考書という属性ですが
十年後も改訂なしで生き残ることを
当初の目標としました。

「医師国家試験の取扱説明書」は
これまでの医師国家試験への対策教材と
アプローチを変えることで
その生存方略を打ち立てています。

つまり、
従来の医師国家試験対策教材は
予備校にせよ、出版物にせよ、
医師国家試験の過去問そのものに対する
研究・分析を主眼としています。

それに対し、
自著は問題を解く側のファクターに
焦点を当てたものです。

覚えるべき知識は有限で
演習すべき過去問の数も有限です。
それでもなお、
合否の差が生まれるのは
解く人間が様々だからだと考えています。

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受験生が毎年1万人という規模の資格試験なので
個別の対応は現実的には困難です。
ただ、起こりやすいエラーの種類や
その対策については有限ですので
そこに着眼したのが「国試のトリセツ」なのです。

そう考えると過去問解説集のように
受験生全員に必要な教材とまではならないまでも
必要としてくれる受験生の手に届いて欲しい
というのが筆者としての切実な願いです。

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今年はCovid-19の影響で中止になりましたが、
自施設のマッチング対象者向けに
直前期の国試対策セミナーを行っていました。

だいたい12月中旬に行うのが慣習でした。
そこで受験生の悩みや不安を
Q&A形式でpick upして
その場にいる将来の仲間と共有する会です。

そこで挙がる受験生の質問に対して
自著の記述のみで回答するという試みですが
おおよそ9割〜9割5分くらいは
12月の受験生に対してもカバーできました。

むしろ、直前期の準備として
受験生をサポートできることが
書籍の主な存在意義だと考えていたので
それが検証できて良かったです。


人間がペーパーテストを解くという
医師国家試験の構造が変化しない限りは
発刊から二年が経った今も、
そして十年後の未来にも
通用するような原則・ルールを
受験生に伝え続けるのが
この本の役割だと自負しています。

さすがに十年も経てば
問題や内容が古びてしまうので
そこまで生き延びれたとしたら
当然、改訂を積極的に考えたいと思います。

それまでは今のままの初版で
どれだけ通用するか、
その真価が問われる毎年です。


書籍「医師国家試験の取扱説明書」を読んで
その成果を発揮してくれた
現・初期研修医たちの声を耳にします。

この本に書かれている内容を
必要としてくれる受験生・医学生が
今後もたくさんいると思うので
その方々に有用な情報提供ができるよう
自著ではありますが、
改めてその存在意義について考察してみました。

これまで御愛読していただいた皆さん、
そして
周りの医学生に勧めてくれた皆さん、
本当に感謝しています。


これからも一人でも多くの
医師国家試験受験生のサポートになれたら。
筆者冥利に尽きます。


2020年10月20日 民谷 健太郎