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220421木 構う


車の運転が好きなのは、人に注意を払うからかも知れない。いつもに増して、人間観察に力が入る。今朝は、自転車の横に屈んでギアを覗き込んでいる人を見つけ、大丈夫?と思ったり、パンを片手に器用に自転車を操る女性に、急いでるけど美味しい?と訊ねて通り過ぎる自分に気付いた。人が何を思い、何を考え、どんな背景があるのか、子供の頃からずっと想像している。

岡山育ちだが、大阪のおばちゃんみたい、とたまに言われる。人に構うのが好きなようだ。構う、という言葉には、世話を焼く、の他に、からかう、の意味もある。観察、想像、世話、からかう、というのは日常で、兎に角「構う」質なので、今の仕事は天職だと思う。

育ての親の婆ちゃんは、施す人だった。106歳になった今も、実家に帰る度に、ヤクルトでも飲むか、と聞いてくれる。冷蔵庫まで取りに行ってもらうと、その間、心がじんわり温まる。数年前、ショッピングモールのゲームセンターの前にある休憩用のベンチで、買い物が終わるのを待ってもらった。戻ると、婆ちゃんが、近くにいた見知らぬ子供に、お金をあげていた。

物心ついた時から中学に入るまで、婆ちゃんと二人暮らしだったので、与えられることは当たり前だった。婆ちゃんに、ありがとう、と言った記憶はない。やってくれる、やってもらう、という意識が常にあり、世話を焼いてくれる人と思って、思い切り甘えさせてもらった。25歳まで一緒に暮らしたので、だから48歳になった今も、人に、ありがとう、と言うのは、実は少しだけ恥ずかしい。

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