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BL・咲く夜〜さくや〜

4話

此の1週間は、とにかく
忙しかった。
1番古いホテルの内装
全面改装の打ち合わせから
始まって、前々から狙っていた
ホテルの買収。此れは今が
チャンスだった。
そして、タキさんのぎっくり腰!
ハッハッハ、やりましたよ
俺が受付を。
ラブホと言えど、個人情報は
一切外部には漏らせませんから。

「つ、疲れた」
俺はリビングのソファーに
寝転んだ。
と、其処へ風呂上がりで
バスタオルを腰に巻いた
だけの尚樹が現れた。
尚樹は直ぐに俺に気付いて
済みませんと言って自室に
行こうとした。
「待てよ!此処に来い」
俺の中で何かが弾けた。
「あの、こんな格好では
失礼にーー」
「来いと言ってるんだ、
お前の雇い主は誰だ」
俺は何を言っている?!
こんな事、言うつもりは・・・・・・
「はい」
俺は躰を起こし、尚樹に
キスをした。
唇を離し尚樹の顔を見たが
其の表情は何故か悲しげだった。
「お前は、心の中では
俺を馬鹿にしてるんだろ!
毎晩の様にハッテン場行って
少年漁って金で相手させてっ」
畜生、畜生、畜生!!
俺は尚樹の胸を叩きながら
でも、瞳からは涙が溢れていた。
自分でも、どうしようもないと
思ってる。
分かってるんだ、俺は俺を捨てた
親を見返すために此の躰で金を稼ぎ
地位を得るためホテルを買った。
テッペンまで登りつめてゴミみたいな
此の世の中を見下ろしてやろうって。
でも、何かが違う。
其の何かが分からなくて藻掻いてる。
俺が本当に本気で欲しいのは・・・・・・
「尚樹ーー」
俺は涙を服の袖で拭った。
「尚樹、お前が欲しい」

続く