見出し画像

BL・夜の踊り子

二夜

稜也と僕が働いているのは
[ダミー]というクラブ。
収容数五十、従業員三十人の
歓楽街トップを誇っている店。
其処で、ポールダンサーとして
毎夜踊っている。
因みにポールダンサーとは
天井から舞台に固定されている
一本のポールを使い、時に激しく
時に妖艶に踊って魅せる踊り子の事。
此のクラブでは、ホールの中央に
楕円形の舞台があって端と中央部に
ポールが一本づつ立っていて、二人の
ダンサーが絡みながら踊る仕組みと
なっている。
つまり稜也と僕が、ね。
クラブ[ダミー]は女人禁制
ゲイの天国を唱っています!

さぁて、そろそろ
出番ーーDJの掛け声と共に
ラテンの曲が流れライトが
舞台を照らす。
ショーの始まり!

ショーも中盤になると
客の黄色い?声が飛び舞台の
周りに我先と集まり出す。
そしてチップをパンツに挟み込む。
隙あらば触ろうとする客も。
嗚呼パンツってショーの衣装、
派手な柄のTバック。
後ろは多少触られるけど
前は死守!此れ鉄則。
さぁて、ラストは稜也と
熱いキスーーと見せかけて
客の悲鳴?と共にサヨウナラ。

「はぁー今夜も
働いたぁ!疲れた」
控え室に戻って、僕は
二リットル入りのミネラル
ウォーターをマグカップに注ぎ
息をつかず飲み干した。
稜也が手を出したのでペット
ボトルを渡すと其のまま
ゴクゴクと飲みだし、更に
頭から顔にかけ出した。
「二時間は流石に
キツイな」
「稜也はアクロバティック
だから尚更でしょ」
ん?稜也の瞳に何か映った。
「お疲れ様、稜也
都羽ちゃん」
オーナー!
一見オネエに見える
優男が此の城を築いた
歓楽街一のやり手だ。
「んもう都羽ちゃん、
エロかったわよ〜最高!」
「有り難うございます」
僕は頭を下げた。ついでに
そっぽ向いてる稜也の耳を
引っ張った。
「痛いって都羽!分かって
いるからっ」
稜也はため息をついた。
「今夜も有り難うございます
オーナー様」
うわー、棒読み。
「はいはい、稜也も!
お疲れ様」
此の二人、何とか
ならないのかなぁ・・・・・・
「はぁい都羽ちゃん
今日のお給金」
頭を下げ茶封筒を受け取った。
此の仕事の良いところは
日給制、しかも二時間で二万円。
去年迄は一時間半で一万五千円だったけれど
オーナーの気まぐれで二時間になり
給料も上がったのだ。
ダンサーの募集に八十人来る訳だよ。
稜也もお給金を頂き、オーナーを
見送ってから帰り支度を始めた。
そうだ、チップ幾ら有るんだろう?
チップは全額ダンサーのもの。
うわ!諭吉さんが五人も。
千円札が二十六・・・・・
金銭感覚マヒしそう。
「都羽?」
稜也が自分の頬を指さした。
僕は其の頬に軽くキス。
そして稜也は僕のおでこにキス。

四年間、一夜も欠かした事の無い
二人だけの秘め事。
喧嘩をした日もキスで仲直りーー

続く