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BL・夜の踊り子

三夜

ピピピ ピピピ
「ん・・・・・・」
ピ 
「稜也ぁ、時間だよ
りょーー」
あれ?もう起きてるの
布団が冷たい。
カチャ
「稜也?」
居ない・・・・・・?

・・・・・・十六時
何処に行ってるんだろう
僕はアイス珈琲を飲みながら
稜也の帰りを待っていた。
 カシャ ピッ
あ!玄関開いた。
足早に玄関に向かうと
稜也の姿がーー
「ただいま」
僕の肩に手を置き、横を
歩いてゆく稜也。
ふわりと空気が動く。
ーーなんだろう此の
感じ、以前にも同じ事が。
僕は稜也の背中に
問いかけた。
「また逢っていたの、あの子
創【そう】に」
冷蔵庫から林檎を取り出し
かじりつく稜也。
「ああ」と短い返事。
創とは、クラブに近い
ハッテン場でウリ専してる子。
親に絶縁され、独りぼっちの
可哀想な子ーー。
「お金を渡した」
前は、そう言っていた。
お金だけ?其れだけ?
稜也は無言で林檎を
食べている。
嘘が苦手な稜也、なのに
言い訳を考えている。
「どんなふうに抱いたの?
創の鳴き声は良かった?」
駄目だ、自分を止められない!
僕は稜也の手から林檎を
払い落とした。
「前も、其の前も!
抱いたんでしょ!?
何で、何でそこ迄するの!!
ウリ専の子に肩入れして
どうするつもりなの!
愛人にでもする気!!
汚らわしい!」
しまった!汚らわしいなんて
言うつもりはーー
「来い」
腕を捕まれ、引きずられてゆく。
怒ってる。
でも悪いのは稜也
貴方でしょ?
「嫌だ、痛い!離して!」
無理やり着ている物を
脱がされて、バスルームに
放り込まれた。
稜也もいつの間にか
服を脱いでいた。
シャワーのノズルを捻り
稜也は自分のモノを
丹念に洗っている。
「其れをあの子に
挿れたの?」
しゃがみこんで見ている
僕を、稜也は力任せに
立たせるといきなり
挿れてきた。
「イヤ、あっぁん」
イヤだ、こんなのーー
知らずに涙が溢れていた。
其れに気付いたのか
稜也が耳元で囁いた言葉は
 愛してる
ズルいよ、何でそんな事
言うの?
僕以外の男、抱いたのに。
「許してくれとは言わない。
けれど俺の気持ちはいつも
此処に、都羽にある。
其れだけは信じてくれ」

不器用で嘘のつけない稜也の
其れは本心?

続く