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KokugoNote #5高1国語総合 

今日のおさらいです。『平家物語』「祇園精舎」
『平家物語』冒頭文は中学の頃に丸暗記をした人も多かったと思いますが、まず、形式の確認をしましょう。特徴的なことは「対句(ついく)」「和漢混淆文(わかんこんこうぶん)」でした。

A「祇園精舎の〜諸行無常の響きあり。」と「沙羅双樹の〜盛者必衰の理をあらはす。」
B「驕れる者も〜春の夜の夢のごとし。」と「猛き者も〜風の前の塵に同じ。」
C「遠く異朝をとぶらへば〜」と「近く本朝をたずぬれば〜」
という対句表現は漢詩などでよく見た形式ですね。
    ※先日のセンター試験の国語・漢文は、対句表現が顕著に表れているので確かめて   
     みてください。河合塾など大手予備校のサイトから見ることができます。

平家一門の滅亡の経緯を辿(たど)った、清盛の一代記『平家物語』は、武士という男性中心の物語なので、やはり女性文学の「ひらがな」ではなく、男性文学の「漢文」になったという訳です。

さて、これから学んでいくことですが、『平家物語』では、音便(おんびん)や擬音語や擬態語が多用されます。これらは「語るための文学」として位置づけられたことを表しています。例えば、平安貴族の文学であれば、「けふ、学校にて、パンを食ひたりけり。」となるところを、鎌倉武士の文学では、「きょう、学校で、パンぞ食つたりける。」と、「ぞ」で強調しつつ、促音便に変えて発音しやすいように表記されるのです。
その理由として、ひとつは、盲目の琵琶法師が琵琶(びわ)を鳴らしながら、この物語を語って生計を立てていたためであり、(民衆の娯楽であるとともに仏教の布教に役立った!)
もうひとつは、鎌倉武士は戦で命を取り合いをしているので、丁寧な表現をしている暇はない、ということが考えられます。落ち着いて読まれる文学と、語りを聴くための文学とはやはり大きく異なるのです。

さて、形式の次は内容です。
先ほど少し触れましたが、この物語は、命を奪い合う武士の物語です。殺生は仏教の中でも禁忌(きんき)とされていることで、むやみに殺害することなどあってはならないことなのですが、武士という仕事は主君のために命を投げ打って戦う罪深い生業(なりわい)です。この罪深さをどのように解消できるのだろうか?このことは物語を通底する大きなテーマとなっています。その救いとなるものが、冒頭の句にある「諸行無常」と「因果応報」という仏教的価値観なのです。

「諸行無常」とは、あらゆる行いはずっと続くものではなく、生々流転するものなのだ、という価値観のことです。今は調子が良くてもそうでない時が来るし、今はダメな時でも報われる時が来るものだという考え方ですね。それが今日明日の問題だったり、1ヶ月程度、いや1年くらいのサイクルの話だったらまだ救いがありますが、仏教の価値観は現世は諦めて来世でがんばろうぜ!のようなスケールなのです。
今シーズンは調子が悪いから、、、みたいにプロ野球選手でもあるまいし、何を言っているのだと腹も立ちますが、仏教の教えはそれに対してこう言うのです。
いやいや今うまく言っていないのは、君が前世で好き勝手なことばかりしてきたからだよ、次のシーズンもそれでいいの?今シーズンは仏様にお祈りして皆のために貢献して功徳(くどく)を積むのが、次のシーズンに繋がることをまだ学んでいないの?これが「因果応報」ですね。ハッ!そうだったのか!俺はなんという過ちを犯していたのか!OK、これから毎日、反省しながら、刀を捨ててお経を読んで生きていきまーす!と考え、仏教への信仰心が強くなったそうだという展開を期待しているのです。

いやいや、もちろん、そううまくは行きません!なぜなら、武士という人たちはそれなりに覚悟をしてきた人たちだからです。戦のたびにビビってしまって敵を殺せないというのであれば、武士が務まりません。このように、仏教の教えと、武士たちの行いがぶつかり合う作品が『平家物語』なのです。「敦盛」の文章を読めばそのことがよく解るようになると思います。

次回は、文法を中心にまとめていくことにしましょう。
もちろん先生が説明する項目など板書されたものをキレイにノートに写していく必要は全くありません。ノートというものは、自分の知らなかったことや、間違って捉(とら)えていたこと、だけを書くものです。書き写すだけで頭が良くなっていくことなどあり得ないのです。教科書の太字に蛍光ペンでマークして、勉強した気持ちになっているようなものです。

自分にとって未知だったもの、何度も憶え違いをしていたものなどを書き込むのがノートです。この原則を守らないと、学問の神様に嫌われてしまい、いつまで経っても頭が良くなりません。それはどの科目についても言えることです。解っていることは一切、書かない!何もかも書いている時間などありません。割り切ってください。今、解っていることは、明日も解っているのだと、自分を信じることが大切です。

次回の文法事項の整理は、グループワークで展開したいと思います。
今回の文章で出てきた文法事項、
①動詞の基本形の仕方
②動詞の活用の種類、変格活用の学び方
③動詞の活用の種類、四段・上二段・下二段の見分け方
④未然形に接続する助動詞の学び方
⑤連用形に接続する助動詞の学び方
⑥終止形に接続する助動詞の学び方
⑦連体形に接続する助動詞の学び方
⑧形容詞・形容動詞の学び方
⑨音便についての説明
⑩内容整理
をグループでまずQ&Aを作り、まとめていく、というものです。
文法書やWeb、アプリなどを使って、整理してください。解らない人に説明できるように、イラストや語呂合わせなど、工夫をしてください。
持ち物は筆記用具と教科書、メモ帳(ノート)、スマホです。まとめる用紙は、各グループにA3サイズ3枚を渡します。グループ分けは当日、アプリで行おうと思っています。スムーズな進行に協力してください。
では、また!

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