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KokugoNote #41高1国語総合

授業復習ノートです。今回で、蜂飼 耳さんの「待つことの形」はおしまい。

■ 随筆とは、筆者の主観で書かれたもので、構成としては「あれれ?」という疑問と「そういうことか!」という発見から成る。

□ 今回は、この随筆の後半部分の読解と、文章全体を顧(かえり)みて、どういうところに注意すれば良いかを確認する。
教科書抜粋
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⑥ 中原中也の「芸術論覚え書」は、そのタイトルが「詩論(芸術論)ノート」から「詩家論(芸術家論)ノート」へと変わり、さらに現在の形になったとされる、箇条書きの評論だ。よく知られているその冒頭は、次の一行だ。
   「これが手だ」と、「手」といふ名辞を口にする前に感じてゐる手、その手が深く感じられてゐればよい。
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☆ いきなりの引用があった場合は、筆者の主張とかなり重なるところがあるので、注意して読むこと。

 「名辞」とは何か?
→教科書の脚注(きゃくちゅう)を読んでみたら解るが、言葉とそのイメージのこと。

 「深く感じられてゐればよい」というところに注意する!
  この表現は次の⑦段落で「感触」と言い換えられている。

☑ 簡単にいうと、「何を言おうとしているのかというと、何か言葉に言い表せないことがあっても、その気持ちや感覚などは大切なものなのだよ」ということ。


 教科書抜粋
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⑦ ものを書く人間は、言葉を待っている。けれど、ここで言われていることは、やって来る言葉の手前の段階、言葉になる以前の状態のことだ。書き手は、言葉を、待っているにもかかわらず、いっそう大事なことはそれよりも手前の段階にあるのだ。言葉になる手前のところで止まって、そのまま闇へ消えていく
感触もある。出現した一つの言葉はいつも、消えていってしまう感触にも支えられている。
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☑ 重要な文はどこにあるかを確認する。
 → 「~のだ」という強調文
 → 「大事なことは」という強調文
 ※ 重要文にはキーワードが入ってい
るので、同一段落で繰り返されてい
る表現をマークすること。

 ☑「言葉」「手前の段階」「感触」がキーワードになっていることが解る。。

     👈
 このことを⑥段落と照らし合わせてみると、、、
 簡単に言えば、
  
もやもやした思いや言語化できない感覚を忘れないようにしないといけない。 言葉にする前の段階が、「待つ」上で最も大切なことなのだ。
 
 ということになる。


■ 「待つとはどういう行為だろう」「言葉はどこから来るのだろう」という〔あれれ?〕という問いに対して、どのように〔そういうことか!〕と発見したのかをもう一度、整理しておくこと。

【その他】 ①~③の体験談について

① ある展覧会へ出かけたときのこと。多少は混んでいるだろう、と思いながらその場所に着くと、係の人が案内をしている。メガホンを持って、何か繰り返し伝えている。風の中から、ざわざわと聞こえる。現在、四時間待ちとなっております。聞き違えたかと思って、立ち尽くし、耳を傾ける。四時間待ちとなっております。


■ たいていの場合、①段落は話題の提供なので、これからどういう話をするつもりなのかという段落になる。
 繰り返される表現に着目するというのは、いつでも基本なので、ここでは「四時間待ち」がそれに当たるだろう。


② 係の人のそばへ行き、改めて尋ねる。その人は、口に当てていたメガホンを下ろすと、無表情のまま繰り返した。ええ、四時間待ちです。その人は、案内をしているだけなのだ。事実を伝えるだけの役目だ。近くで、冗談じゃないや、と驚きといらだちの言葉を吐き出す人がいたけれど、係の人に向かってではなく、地面へ向かってそうしているのだった。そんな人間の事情とは無関係に、すずめたちは、食べられそうなものを見つけてはついばんでいた。


■ ②段落は、①段落を受けて、より具体的な内容を展開することが多い。ここでも「行列待ちの人」「係の人」とのやりとり、「すずめたち」の描写(びょうしゃ)がある。情景を想像しやすくするためのもの。
 試験問題にしようとするなら、感情の起伏(きふく)が見られるので、問題は作りやすい。

  
③ 係の人は、同じせりふを繰り返すことが面倒そうだった。自分の言葉を浴びて、ここにたどり着いた人たちが一様に驚き、ため息をつき、がっかりするのを見ることに疲れている。そんなふうにも見える。次の予定もあるし、この展覧会を見るために四時間並ぶことはできない。その場を後にした。立ち去り、歩きながら、行列に自分を残してきた気持ちになる。並んでいるうちに、いったい何の列に並んでいるのか分からなくなる、そんな行列がこの世にはある気がして、足元がふらふらしてくる。
 

③段落は、②段落の続きで、この光景を見ている筆者が何を考えたかというもの。
行列・・・何の列に並んでいるのか解らないくらい長く待たされる時があるというきっかけから、「待つとはどういうことか」を考えるようになったという展開。

■ 漢字で読み方が解らない場合は、「漢字読み方検索」というアプリを使うと良いです。とても便利。

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