味覚障害から学ぶ最高の栄養 2

(読了目安8分)

前回から続きます。

◎最高の栄養


前回マスターが味覚障害の話をしたのは、以下のような事実をみなさんに知ってもらいたかったからです。


「たとえ亜鉛を摂っていても、同時に亜鉛の吸収を妨げてしまう食品を摂ることによって亜鉛不足になり、その結果味覚障害がおこる」


つまり、「栄養を摂っても吸収されなければ意味がない」ということです。


マスターの味覚障害は、摂取する亜鉛量の不足ではなく、摂取した亜鉛が体内に吸収されないことで起こりました。
亜鉛の吸収を妨げたのは、主に「フィチン酸・ポリリン酸」でした。


ではこれを、普段の食事に目を向けて考えてみましょう。
日常生活の中で、摂った栄養の吸収を妨げるもの、それはなんだと思いますか?


それは・・・


そう、「ストレス」なんです。
「寂しさ・不安・心配・怒り」などはみんなストレスです。


話は単純ではありませんが、ストレスを抱えると、胃が痛くなることがあります。
他にも、頭が痛くなったり、だるくなったりして、いろいろトラブルが起きます。
同じものを食べても、ストレスを抱えた状態で食べると、身体が本当に必要とする栄養の吸収率が悪くなることは、簡単に想像できると思います。


味覚障害では、亜鉛の吸収を阻害する原因を排除することで、味覚が戻りました。
「フィチン酸」や「ポリリン酸」を排除することが「亜鉛を摂る」ということになるわけです。
これを大きく解釈すると、体調不良などの改善のために栄養を摂りたいなら、吸収を阻害する原因である「ストレス」を排除することで効率よく栄養を摂ることができる、つまり、「ストレス」を排除することが「栄養を摂る」ということになるわけです。


「〇〇は身体にいい」など、様々な栄養を意識して摂っている人も少なくありません。
しかし栄養を摂っても、その吸収が妨げられてしまったら、意味がないんです。


まとめると、

「いくら栄養を摂っても吸収できないんじゃ話にならない」


「体調が悪いからと言って栄養学や高機能食品ばかりに目を向けるのではなく、まずはストレスを解消しましょう。そうすることで、食品の栄養素が順調に吸収され、健康に近づきます」


「高機能食品を食べていてもストレスがあったら効果は半減します」


などということです。


「ストレスを解消するための食品はないんですか?」と思うかもしれませんが、「ストレスを解消する食品」はありません。
「お酒」や「おいしいもの」はその場のストレスをごまかし、不安を先延ばしするだけで、とくに「お酒」はそのものがトラブルを起こし、次のストレスの原因になってしまうこともあります。
「おいしいもの」もお酒と同じで、ストレスを解消することはできず、「太ってしまった・食べてしまった・・・」など、次のストレスの原因になります。
これらはストレスを「マヒ」させるものですから、ストレスを抱えている限り、次から次に必要になり、悪循環になってしまいます。
また、お酒やスイーツ以外に、「健康食品・完全食」と言われる食品がありますが、それらを食べても、ストレスは解消できません。
「健康食品を食べたら別れの悲しみがスッキリと消えた」なんていうことはないんです。


このようなことがわかると、以下のような話も今までとは違って感じませんか?
今までに書いてきたことですが、それぞれもう一度思いをめぐらせてみてください。


★ほぼ最高の食品を食べているであろう皇族でもズバ抜けて健康でもない理由
最高の栄養を摂っているはずの皇族は、ストレスによってその栄養を活かしきれていないかもしれません。



★文字も読めないネパールの山奥の村人が、ほとんど米と菜っ葉だけでも強靭な理由
いつも働き、笑っている人たちは、限られた食材から多くの栄養を吸収できる力があるのかもしれません。
マスターの父が山奥に移り住んだ時、日本で学んだ栄養学とは程遠い食事情に悩んだことがありました、「こんなもの食べてたら身体が弱くなるんじゃないか」と。
しかしネパールに住んで住民と同じ食事をしながら25年以上経ち、80歳を過ぎても、山道を歩く生活ができています。
※よかったら「父 人生を楽しんでいる人」マガジンを読んでみてください、食事の写真もあります。


★難病のマスターが1ヶ月で4キロ痩せるような忙しい仕事をしても倒れない理由
食事ができなくても、寝起きが不規則でも、ストレスなく働くことで、肉体は維持できるのかもしれません。


★失恋や死別などのショックは健康食で和らぐことがない
最愛の人が命を落としたとき、周囲の人たちの悲しみを癒せる食品はあるでしょうか。
普段、充分な睡眠と健康食をとり、適度な運動をしていても、人は大きな精神的ショックを味わうと、しばらくは立ち直れません。
むしろ健康食さえのどを通らなくなりますから、健康食ではどうにもなりません。
人生を楽しめているときは不眠不休、食事が不規則でも気分がいいこともよくあります。


★メタボの医者・管理栄養士がいる理由
「コーラとケンタッキーフライドチキンが大好きだ」と公言している栄養学の指導的立場の女性がいるらしいんです(講演会や著書も多数あるようです)。
プロでさえ栄養学を信じていないのかもしれない、むしろプロだから信じていないのかもしれません。


★患者が病院食を食べない理由

「私が献立を考えても患者は食べませんよ」、これはある管理栄養士の言葉でした。
「買い食い」をしてしまう、または「まずい」と言って残してしまうことが多いようなんです。
マスターも入院中は買い食いをしました。
そういう人は、「食べたい物を食べる」というストレスを減らす手段を使って、健康に近づこうとしているのかもしれません。


★健康や人生にとって本当に大切なものはなんなのか

完璧な栄養と言われるのものを食べるよりも、おいしく食べることの方が大切かもしれません。


★不規則な食生活だと不健康になるのか
一生不規則な食生活をするよりは、規則正しい方が健康的だとマスターも思います。
しかし忙しい仕事をしているときや、子育て中は規則正しい食生活はできません。
もし規則正しくないと健康を保てないなら、睡眠も運動も食事も不規則な生活の中、休まずに子供を育て続けるお母さんはみんな病人になってしまいます。
しかし実際は多くの人が元気に頑張っています。
また、夜勤がある人もみんな病人になるはずですが、楽しく生活している人もいます。
ただ、「規則正しくしないと健康を害する」と本気で思い込んでしまうと、子育てや仕事で健康を害する可能性はあるかもしれません。


★うちの野菜が一番おいしいと言う農家が無数にいる理由
たとえば10軒の農家がみんな味比べをしたわけでもないのに、「うちの大根は一番おいしい」と言うことがあります。
10本の大根がみんな一番おいしいことになりますが、一番はひとつですから、全部一番というのは、実際はありえない話です。
これは、一番おいしいと信じることでおいしく食べ、おいしく食べることで、健康を維持しているということかもしれません。
野菜の味は、人間の思い込みがとても強く関与していると言えます。


★ストレスを癒せる食品はあるのか

人がストレス解消のために食べれば、ストレスがあるほど太ってしまい、それが次のストレスを生み出します。
また、お酒という「薬物」なら癒してくれるかもしれませんが、それは一時的であり、根本的な解決にはならず、さらに自らの健康も害します。
ですからストレスは、「癒す(解消する)」よりも「溜めない」ことの方がより重要です。
ストレスを癒せる食品はあるか考えたとき、「一時しのぎ」になる食品はあるかもしれませんが、基本的に食品に頼ってストレスを癒すことはできません。
「これを食べれば健康になれる」という考え方よりも、「私はこの環境で健康になる」という考え方の方が大人の思考です。


◎まとめ

上記のようにいろいろと思いをめぐらせると、「最高の栄養」とは、コラーゲンでもなく、ポリフェノールでもなく、酵素でもなく、にんにくでもないことが見えてきます。


食に対する人類の知識や認知は、いつまで経っても完璧にはなりません。
試行錯誤しながら確実に本質に近づいているのは間違いないと思いますが、人類が食事をしている限り、結局のところ食に関する迷信もなくなりません。
(「食品の迷信」、などで検索するとおもしろいです)


栄養学や企業が宣伝する栄養素も大切かもしれませんが、それ以前にまず、栄養の吸収を妨げる要因となる「ストレス」を溜めないことを優先する必要がありそうです。
そうしないと、その食品が持つ本来の力を発揮できませんからね。
「最高の栄養」が「最高の栄養」であるためには、「心の安定」が必要なわけです。


ということで、もうわかりましたよね。
「最高の栄養」とは「心の安定」です。


栄養に関して勉強し、細かいことを気にするのもいいですが、それよりもまず、自分がストレスを抱えていないか考えてみてください。
ストレスを溜めない生き方をしなければ、それらの「細かいこと」は活かされません。
「最高の栄養」とは、誰かが開発するものでもなく、管理栄養士が薦めるものでもなく、古来からの秘伝の食品でもなく、偶然発見されるものでもなく、芸能人が愛用しているものでもなく・・・「安定した心」です。
最高の栄養は、常にあなたの中にあるということです。


補足:
※ストレスがなければなにを食べてもいいということではありません
※闘病中の人にとっては、それを治すための食事管理が必要です
※食事をしない人もいます(「ブリザリアン」で検索してみてください)
※栄養に関しては、「料理に愛を」マガジンもどうぞ

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