先に心を開くということ

(読了目安8分)

◎先に心を開くということ


「初対面の人」や、「一度苦手だと思ってしまった人」に対して、自分の心をなかなか開けない人も多いと思います。
自分から心を開いても、期待通りの反応が返ってくるか不安だったり、「だまされたらどうしよう」という不信感があったり、さらに、異性に対してあまりいい思い出がない人だと、異性とのかかわりに積極的になれない人もいます。


昔、マスターが女性に対して心を開けなかったのは、周囲に対して「自分は大人だ」とイキがりたい時期でした。
ホントは周囲の人、特に女性と仲良くしたかったんですが、恥ずかしいのと、なにかに誘って断られたときに、傷つきたくなかったのがその理由です。


ひとことで言えば、「自信のなさ」が、心を閉ざす原因だったのかもしれません。
しかしそれは中学生までで、17歳ぐらいから徐々に女性に対して心を開くようになり、自分の車を手に入れた18歳以降は、女性に対して心を開くことができた気がします。


「女性を口説く」という目先の欲を叶える方法を考えた結果、「心を開く」という積極的な行動が有効だと気がついたわけです。


と言っても、結局は女性を口説くための積極性であって、男性や、口説く対象にならない女性に対しては、基本的に「ヤな男」だったかもしれません。


今はある程度大人になったので、初対面の女性に対してもまず心を開きます。
「開く」というと、演技して明るくふるまうというイメージを持つかもしれませんが、「気負わず、自然体で接する」ということです。


一例として、「はじめまして、私(わたくし)は当店厨房の責任者で御座います。マスターと申します」ということではなく、「あどうも、マスターです」と力を抜いてあいさつする感じです。


あまりにもラフに挨拶してしまうと、人によっては自分の心に踏み込まれるような印象を持つ可能性はあります。
しかしまずマスターが心を開くことで、マスターの後悔がないんです。
みなさんも、相手が心を開いてくれると基本的に安心ですよね?
マスターも同じ気持ちですから、できるだけ先にそれをしちゃうんです。
マスターの行動をわかってもらえないときは、自分の未熟さを反省し、心の中でお詫びするようにしています。


マスター自身も修業中の身、完璧なことはできませんからね。


いずれにしても、心を開くための努力をすると、世の中にはすでにそれを実践しているすごい人がたくさんいることも見えてきて、尊敬できる人が増えてくるんです。
尊敬できる人が増えることは、それはそれでマスターにとってプラスになるわけです。
自分の小ささや無力さ、無知などを知るのが「成長する」ということだからです。

・・・

みなさんは、「相手が先に心を開いてくれたら私も心を開くのに・・・」という考え方について、どう思いますか?
なんだか、駆け引きみたいな考え方ですが、もしこんなことを言っている人がいたら、一生愛にたどりつけないような気がしませんか?
相手から心を開いてもらうのを待つのは、「受身の人生」なんです。


それに、世界中がこの考え方だったら、心を開ける人はゼロになってしまいます。
そんな世界、考えるだけで暗くなりますよね。
ということは、「相手が先に心を開いてくれたら私も心を開くのに・・・」という考え方は、愛ではないんです。


愛ではないですから、いまこの考え方の人は、愛されていないはずです。
そして、愛されたいなら愛する努力をする必要があります。
具体的には上記の逆、つまり「相手が心を開かなくても私は心を開く」という考え方を実践する必要があります。
「私はイヤです、まず相手が心を開いてくれてからです」なんて言っている人は、きっと生涯愛されません。


「相手がどんな人であっても先に心を開ける人」は、たとえば新しい職場に行くとき、「気が合う人がいるといいんだけど」「気が合わなかったら辞めよう」、なんて考える必要はありませんよね。
その場にいる人たちに対してすぐに心を開くことができるからです。
そんな人は当然周囲からかわいがられますから、人間関係はうまくいきますし、仕事は順調に進みます。
「先に心を開ける人は、職場にどんな人がいるかなどと心配しない」ということです。


仕事を始めてしばらくし、「私、あの人とは気が合わないわ」「職場の雰囲気が悪くてどうもやりにくいのよ」「周りの人が私を認めてくれないの」、こんなふうに思っている人は、相手が心を開いてくれるのを待っている人です。


これでは、たとえ職場を変えても状況は変わりません。


自分から心を開かず、職場にいる人たちの善意に頼って仕事を始めると、心を開いてもらえないことを苦にして辞めてしまうわけです。
マスターだったら、初めての職場なら、「どうもマスターです。ぼくは照れ屋でちょっと変わってます。悪意はないんですが、うまく表現できなかったらすみません。ご指導どうぞよろしくお願いします」、なんていう挨拶をしておくかもしれません。


「先に心を開く」ということは、「相手がどうであれ、自分から善意で行動してみましょう」ということです。
初めに書いたように、「相手が先に心を開かないとダメ」という考え方だと、人類には、損得勘定や駆け引きの「暗い未来」が待つことになります。
人類が、「愛のある明るい未来」を望むなら、心は先に開く必要があるんです。
長く愛されたいと願うなら、ぜひ先に心を開く努力をしてください。



◎自分はどっちのタイプ?


心を開けない人には大きく分けて2通りあります。

「どんなときでも心を開けないタイプの人」

「条件次第で心を開けるタイプの人」

です。


まず「どんなときでも心を開けないタイプ」、これは重い症状の人です。
子どものころのトラウマがあまりにも大きすぎたのかもしれませんし、生まれつき脳に異常がある可能性もあります。
虐待された犬が、助けてくれようとする人にまで噛み付いたり、なにをしても震えるだけだったりしますが、極論すればそんな状況の人です。
「愛」以前の問題と言えますので、このタイプの人は、マスターのnote自体が参考にならないかもしれません。
心を開くには、とても長い時間と大きな努力が必要になるタイプです。


次に、「条件次第で心を開けるタイプ」です。
対人関係で、初めは少し距離をおき、様子を見ながら人と関わり、「相手は私に心を開いている」「相手は安全だ」、こう感じたときに心を開けるタイプの人です。
重い症状ではないですが、相手次第、つまり受け身ですから、悪意の演技に騙されてしまうタイプです。
また、「幼い子ども」と関わるときは元気になるタイプの人とも言えます。
幼い子どもはすでに心を開いていますから、自分も心を開けるわけです。
唯一彼氏に対してだけ自分をさらけ出せるのも、このタイプの人です。


マスターの経験上、多くの人は、たとえ条件付きであれ、心を開くことはできます。
あとは、それを「先」にするかどうかです。


◎心を開いて裏切られたら


「先に心を開いてはみたけれど、もし裏切られたらどうするのよ?」と思う人もいるかもしれません。
でもそう考えることがすでに駆け引きですから、先に心を開いたとは言えません。
ですから、裏切られても仕方ないんです。
純粋な子どもは「先に心を開いて裏切られたらどうしよう」なんて考えないことからも、わかると思います。



◎大人の愛は先払い


相手が子どもだと心を開けるのに、大人だと黙り込んだりおびえたりする人は、子どもの純粋さに助けられている人であって、条件付きで心を開いています。
すでに心を開いている子どもと関わる場合、自分も心を解放できるだけなんです。
しかし、大人の世界では、愛は「先払い」ですから、「あの人が心を開いてくれたら私も開く」では、人間関係は不調になります。


◎矛盾


「愛されたい」と願いながら、愛をそそがない人がいます。
今回の話で言えば、「愛されたいけど心は開きたくない」という人です。
つまり、自分から心を開くことなく「愛されたい」と願うだけの、「受身の人生」を送っている人です。
これは矛盾ですから、ストレスになり、本人の心を大きく傷つけることもあります。


「愛されたい」という欲に対してストレスを抱えない方法は2つです。
ひとつは、愛されたいなら、それに応じた努力をすることです。
もうひとつは、応じた努力ができないなら、愛されることを本心からあきらめることです。


10万円でベンツの新車を買おうとするとストレスが溜まりますよね。
本心からあきらめればストレスになりません。
ベンツの新車が欲しいなら1000万円用意し、1000万円用意できないなら、中古の軽自動車にすればいいだけです。
ここを理解できないと、ストレスを溜め、それを発散する人生になっていきます。
「この20年ストレス発散のために使ったお金を計算したら1000万円でした!」なんてことにならないために、ストレスは「溜めない」です。


何度も確認ですが、ストレスは「発散する」ではなく、「溜めない」です。
これが平和や幸せの実現に必要なことです。


◎まとめ


自分がしてもらいたいことを他人にするのが大人です。
そして、その判断が「愛」なら、必ず返ってきます。
「心を開いてもらいたい」と願うなら、先に心を開いてください。
それが「愛する努力」です。
時には苦労しますが、その苦労は、山頂を目指す登山と似た「希望の苦労」です。
あなたの周りに人が集まり、あなたの周りに人が集まれば、愛する努力の意味がわかり、さらに努力を続けることができます。


愛する努力をせずに愛されることは不可能です。
これは人間の歴史や周囲の先人たちが、人生をかけて教えてくれていることです。
愛を欲しがるだけでは、なにが愛なのかわかりませんから、愛されていてもそれを認識できないんです。
愛する努力を続けることで愛とはなにかを学び、愛を発信できるようになったとき、愛されていることを理解できます。
瞬間的な愛のようなものを、生涯愛だと信じて生きていくことはできません。
それは、「空飛ぶサンタクロース」を生涯信じ続けることができないのと同じことです。
「愛のようなもの」を信じて楽な道を選んでしまったら、遅かれ早かれ「空飛ぶサンタクロース」と同じことになります。


1:「相手が先に心を開いてくれるのを待つ」


2:「自分が先に心を開く」


後者が愛です。
愛をそそげば必ず愛は返ってきます。



番外:
GWの4月28日(金)~5月8日(月)、マスターの店の仕事を手伝ってくれるスタッフを募集しています。
宿泊・食事・光熱費・通信費(Wi-Fi)などは全て無料ですが、給料はありません。
お金の代わりに、自然やお客様とのふれあいの中、たくさんの体験をしてもらえると思います。
以下はマスターの店の募集ページです(写真は15年ほど前のものです)。

http://www.tihal.com/wwoof.html

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