セミナーの本質 2

(読了目安7分)

◎誤解は解けない


前回の投稿で、以下のように書きました。

「自分を理解していない」ということは、実力どおりの評価ではなく、誤った評価ですから、自分に対する「誤解」と言えます。
自分を誤解していると、実力相応の生き方ができず、ストレスを溜めてしまいます。
ですから、人生を心から楽しみたいなら、自分に対する誤解を解く必要があります。
誤解を解くことができれば、夢に対して実力が伴っているかわかりますし、実力が足りないと思えば実力を身につければいいということもわかります。


では、セミナーを受けることによって、自分に対する誤解を解き、本当の自分で生きることができるようになるんでしょうか。


映画やドキュメンタリー番組を見て感動する、本を読んで感動する、演奏会、講演会、美術館で感動する・・・みなさんは、そんな感動のあと、「よし、私も変わろう!・自分を打ち破るんだ!」などの覚悟をしたことはありませんか?
そしてその覚悟は、当時の感動のまま長く続いたでしょうか。
「よし、ダイエットするぞ!禁酒するぞ!」などと自分に誓っても、なかなかできないのと似ていて、一時的なものではありませんでしたか?


セミナーも同様なんです。


自分に対する誤解が解け、ありのままの自分や新しい自分を見つけたつもりでも、その感動や認識、それに伴う決心などが続くのは、短い時間です。
また、セミナー主催者が宣伝するような効果を、明確に感じることができる人は、実際は少数です。
セミナーはその場しのぎの痛み止めの傾向が強く、人の一生を変えるようなものではないからです。


しかし実際に、セミナーで効果が出ることはあるんです。
しかしこれは、全員に必ず約束されたものではなく、「開運グッズ・健康食品・宗教」などと似た効果です。
人数が多ければ、そして投資額が多ければ、確率的にも心理的にも、効果が出ることはあるんです。
あくまでも「一部の人に」です。


少し心配なことがあるので、書いてみますね。
以下に書くのは、「個人(集団)セッション」とか「ヒーリング」「セミナー」「カウンセリング」などで、中でも主に「見えない力」に頼るスピリチュアル系の「自己発見・自己確立・自己啓発」などの集まりについてです。


ここでは「セミナー」で統一します。


セミナーに行くと・・・

「私は宇宙と一体化した」

「神を見た」

「過去の自分と和解した」

「ありのままで愛されていると心から思えた」

「光に包まれた」

「愛を感じた」

「大きな安心感に涙が出た」

などと言う人が出てきます。
自分の中のなにかが変わったんですから、気分はいいと思います。


・・・しかし・・・


厳しいようですが、その「酔い」が覚めたあと、どうなるかなんです。


感動し、神と一体化して、愛を発信できるようになったんでしょうか。
もし愛を発信できないということなら、ただ自分を癒しただけです。
セミナーに参加することによって、壊れそうな心がなんとか壊れずにすむなら、それはとても大切なことです。
しかし、それだけでは愛にたどりつけません。


「感動した・神と一体化した」と感じる人は、お金を払ったからそう感じているのかもしれません。
もし無料だったら、効果は半減した可能性もあります。


たとえば神を見たり、ありのままの自分を認めたりしても、その後の人生は思うように変わりましたか?
そのときの一時的な癒しで、仕事、人間関係などを長い間楽しむことはできましたか?
初めに書いたように、セミナーの効果は、映画や小説で感動して涙を流し、その感動が数日間だけ余韻として残るのと似たようなものではありませんでしたか?


その時は、「これが理想の恋愛、これが理想の結婚生活、これが理想の人生・・・私はこれでいくのよ!」などと決めても、数年後、ほとんどの人がそんな決心を歯がゆく思い出しながら、「彼氏が悪い、夫が悪い、こんなはずじゃなかった」と嘆く自分に気付きます。


長く愛される人になるには、数回のセミナーや映画、小説などでは不可能なんです。
たとえば禁煙や禁酒の決意も、数日間しか続かない人も多くいます。
同じように、セミナーに一度行っても、ほとんどの場合、変化はありません。


もし「セミナーに30万円使えばなんとかなる」と思っているとしたら、まず間違いなく、変わることは不可能です。
「受身」で人は変われません。
また、セミナー主催者から、「変われないのはあなたが自分を許していないから」などと言われ、セミナーを受け続けていたらどうなるでしょうか。
これでは、「あなたが不幸なのは、先祖供養ができていないから」と言われ、先祖供養にお金と時間をつぎこむ宗教の信者と同じになってしまいます。


以前も書いたように、人間は脳の情報を瞬時に書き換えることはできません。
ですから、自分に対する誤解を解き、自分を解放するなら、相応の時間や方法が必要になります。
にもかかわらず、すぐに結果を求めては高額なセミナーに参加し、一喜一憂する人が後を絶ちません。
「お金をかければすぐに結果が出る」などの思い込みは、そこに「商業的な宣伝」があるからです。
自分を変えるのは、実際はとても時間がかかることなんです。


変わることを急ぐ人のために、いろいろな商売がありますが、それらは、痩せるのを急ぐ人のためのダイエットスタジオと同じです。
一時的な効果はあっても、多くの人がリバウンドするように、急いで変わっても元に戻ることがほとんどです。


営利目的のセミナー系企業は、あなたに対して質問を繰り返し、「あなたは自分を癒す必要がある」と言うかもしれません。
しかし「自分癒し」があなたの人生の目的ではないんです。
自分に対する誤解を解き、自分を解放することは大切ですが、本当の目的はその先、「愛をそそぐこと」です。


最後にもう一度確認してみましょう。

みなさんは、自分を癒したいんでしょうか。

違いますよね。
長く愛されたいんですよね。

愛はそそぐことで返ってきますから、長く愛されたいなら長く愛する実力を身につける必要があります。
そして、長く愛する実力を身につけるには、長い時間が必要です。


セミナーでは、自分癒しはできても、その先の、「自分に対する誤解を解くこと」はできません。
その結果、愛をそそぐ段階にたどりつくことができなくなるわけです。



◎セミナーの矛盾


セミナーに参加しても、それは飲酒と似ていて、根本的に人は変われないということは理解できたと思います。
そして、変われないだけならまだいいんですが、実際は、「愛・知恵・夢」からさらに遠ざかる可能性が高くなります。
知恵のある人はセミナーの本質を知っていて、セミナーを受ける人に興味を持たないからです。
セミナーを受ける女性に惚れる男性はそこまでの男性ですから、結婚後になにか起こるたびに、夫婦でセミナーに参加することになります。
これでは宗教と変わりません。
また、参加したセミナーですぐに人と仲良くなっても、フタを開けたらネットワークビジネスの勉強会だったということもあります。
その場合、お金(場合によっては身体も)を浪費して終わりです。
知恵のある人はそんな人に近づくはずがありません。


「セミナーの矛盾」とは、「本来、愛に近づくためのセミナーが、実際は愛から遠ざかることがある」、ということです。


お金を払って愛から遠ざかる場合があるのは、たとえばそのセミナーの主催者が若い女性の場合、顕著かもしれません。
会社がイヤで退職したOLが、「カウンセラーになりたい!」と民間のスピリチュアル系の資格をとったりすることがあります。
「元OL」がちょっと学んだだけの「自己暗示」や「集団催眠」の技術などでは、セミナーを受ける側にとって一時的な痛み止めにはなっても、状況はほとんど変わりません。
マスターは、「セミナー」という名の「女子会」になる場合が多くなるような気がします。


信じていいものは「人間の不完全さ」です。
みなさんも不完全な人間ですが、セミナーの主催者も不完全な人間です。
これを理解することが、自分に対する誤解を解き、長く愛されるためのポイントです。


次回以降は以下の予定です。

◎本当の自分磨き 愛する努力とは
◎セミナー料金
◎料金が高い理由あれこれ
◎お金はあくまでも手段
◎愛を発信できる人にお金は無用
◎愛の対価にお金?
◎主催者は寄付をするのか
◎セミナー主催者はなにをしたいのか
◎人を癒したいなら ―セミナー主催者へ提案―
◎学ぶなら「実践者」から
◎まとめ

・・・

投稿タイトル一覧は以下です。


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