「予測通りにならない」と予測する

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今回は、「予測外のことが起こってもあわてないコツ」についてです。
先のことを予測し、さらには、「予測通りにはならない」と予測しておけば、予測通りのことが起こっても起こらなくても動揺が少なく、ストレスは軽減します。
車の運転を例に書いてみます。


◎予測外のことが起こると


交通社会に出たばかりの初心者がうまく運転できない理由は、「運転技術がないから」だけではなく、むしろ「予測力がないから」です。
次に起こることを予測していないため慌ててしまい、慌てることで判断力が鈍り、その結果普段はできることができなくなり、悪循環に入っていくわけです。


予測外のことが起ると、人は慌ててしまうんです。


たとえばあなたが車の運転の初心者で、カーブの先になにかあることを予測しないままカーブを曲がると、「危険な場所に車が停まっていた」「人が横断していた」「対向車線を大きな車が走ってきていた」などの場面が出てきます。
そのとき、予測していれば冷静に対応できるのに、予測していないと急ハンドルを切ってしまったり、急ブレーキをかけたりしてしまいます。
そんな状況に動揺することで次の判断が冷静にできなくなり、悪循環に入るわけです。


ハンドルを切ってよけたら、よけた先に歩行者がいることもありえますし、急ブレーキを踏んだら、後ろの車があなたに追突してしまうかもしれません。
後ろの車も、あなたが急ブレーキを踏むと予測していない場合もあるからです。
(自動ブレーキつきの車なら回避できるかもしれません)


そして人は、動揺すると「不快」になり、不快の理由を相手のせいだと思い、相手に対してイライラすることがほとんどです。
車の運転でイライラする典型的な例としては、予測していれば回避できたにもかかわらず、「相手が飛び出してきた!」とクラクションを鳴らしたり、怒ったりします。
もちろん相手に対しての感情が、「イライラ」ではなく、「動揺」という形で現れる人も多くいます。
傾向として、「男性・運転に慣れてきた人」ほど「イライラ傾向」があり、「女性・初心者」ほど「動揺傾向」がありますが、いずれにしても、「心の乱れ」という意味では同じです。


予測が外れることで、運転手は「イヤな思い」をして運転が乱れ、周囲もそのとばっちりを受け、交通状況が乱れます。


ここまでをまとめると、「心の乱れ・イライラ」の原因は、「予測できないこと」にあると言えます。
ですから物事を予測して、その予測に応じた行動をすれば、イライラや動揺はなくなるということです。


マスターは、ペーパードライバーの助手席に乗り、助言をしてあげることがあります。
初心者の人がどんな運転をするか予測しているので、助手席に乗っていても恐怖を感じることはなく、冷静に助言できます。
(たまに予測を超える運転をする人もいますが・・・)


ではここで、ためしにみなさんの「予測力」をチェックしてみましょう。
以下、ちょっと想像してみてください。


あなたが友達を助手席に乗せて車を運転していると、自分が走る車線の前方に、駐車車両が現れたシーンです。
そのときあなたはなにを見てどう走りますか?
マスターなら以下を確認して、その後を予測しながら次の行動を決めます。


<駐車車両について>

・車種の確認(貨物か軽自動車かなど)

・車の影に人がいないか(車の下から靴を確認・近くならガラス越しに人を確認)

・運転手は乗っているか
(ガラス越し、または右ドアミラー越しに運転手を確認・ドアが開く可能性の有無を確認)

・ハザードランプか左ウインカーが出ているか
(急な発車の可能性を考える)

・ブレーキランプがついているか
(ブレーキランプがついているときは発車しない)

・タイヤの向き(右を向いていたら危険)


<対向車について>

・対向車の有無(あったら右に出ることができない)

・対向車の車種(軽自動車か観光バスかなど)

・対向車のスピード(自分が待つか右に出るかの判断)


これらをふまえて予測しないと、駐車車両のドアが急に開いてびっくりして右ハンドルを切ったり、対向車とお見合いしてしまったりということになります。
急ハンドルや急ブレーキで助手席の友達もびっくりし、あなたの信用が下がってしまいます。



<その他>


後続車がいるかどうか、歩行者がいるかどうかなども、「予側のための参考」にしなければならないことがあります。
その時点までの自分の走り方が後続車をイライラさせている場合や、急な動きが近くの歩行者を不安にさせる場合もあります。
前方の駐車車両を避けるのが不安な場合、超初心者は、「止まってから考える」という場合がありますが、その場合、後続車がいるとイライラさせ、自分がイヤなだけでなく、後続車の運転も乱してしまい、さまざまなトラブルの原因になります。
そうならないためには、予め見通しの良い直線で譲ることが大切になりますが、それさえもできず、道路の左側をゆっくり走ってさらに後続車をイライラさせてしまったり、見通しの悪いカーブで譲ろうとしたりして、悪循環を作り出してしまいます。


「予測力がないとトラブルになり、トラブルになるとストレスが溜まる」・・・
これは、車の運転だけでなく、人間関係も同じです。
人間関係で、「あの人があんなことをするなんて!」と思えば、相手に対してイライラするのは当然ですが、相手に対してイライラすると、それが態度に出てしまい、人間関係がうまくいかなくなります。
人間関係がうまくいかないと、お酒やタバコ、過食などが必要になり、悪循環に入ります。
また、人によっては自分に対してイライラすることもありますが、そのイライラは表に出ますから、やはり人間関係はうまくいかなくなります。
みなさんだってイライラしている人と一緒にいたくないですもんね。


車の運転では、初心者は動揺してしまう場面でも、経験者は多くのことを予想しながら走りますから、なんのストレスもなくやり過ごせるようになります。
やはり人間関係でも同じことが言えます。
若い人と年配者では、同じ状況でも受け止め方が違い、若い人はストレスを溜める場面でも、年配者はなんのストレスもなくやり過ごせることがあります。


ストレスを感じるかどうか・・・そのキーワードが「予測力」です。
予測力を身につけてしまえば、心が乱れることは圧倒的に少なくなるということです。


そして、予測力を身につけるには、経験と思考が欠かせません。
嫌な経験をしたら、なぜそうなったか考え、次にそれを回避する方法を考え、実践してみることが大切です。



◎予測通りにならないと予測する


予測してしまえばストレスはなくなるわけですが、人間は不完全ですから、やはり予測外のことも起こります。


そんなときどうすればいいか・・・


それは、「人生は予測外のことが起こる」と予測することです。
予測通りにならないということを予測しておくわけです。


本心からそう思えれば、「予測通りにならない」という予測は予測通りですから、ストレスになりません。
なにも予測しないで予測外のことが起こるより、予測通りにならないと予測していてそうなった方が、同じことが起こってもストレスが違います。


女性にあるパターンの一例は、「信頼している上司から肉体関係を迫られた」というものです。
予測外の出来事に、嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになり、心が乱れます。
しかし、マスターがいつも書いているように、男性の本質を理解して、「男性の行動は予測通りにならない」と予測していれば、「ああこれね」と心の乱れは最小限になるはずです。
「予測する」ということの中には、「予測通りにならないと予測すること」も含まれるわけです。



◎自分を省みれば


「マスター、たとえ他人の裏切りが想定内であっても、裏切られたことはストレスになりますよ、ホントに頭に来る!」なんて言っている人は、自分がこれまでになにをしてきたか考えてみてください。


このnoteは、「長く愛されたい」と願っている人が読んでくれていると思いますが、「長く愛されたい」と願っている人は、これまでに人を裏切ってきた自覚が必ずあるはずです。
人を裏切ってきたから長く愛されていないわけです。


子どものころは、みんな素直で、自分が他人を裏切った後ろめたさもありませんが、それでも愛されるのは、大人の「寛大さ」に吸収される場合がほとんどで、結果として大人を裏切る行為でも、大人から愛をそそがれなくなることはありません。
しかし大人になってしまうと、裏切りは「後ろめたさ」になり、そのストレスが愛をそそげなくします。
幸か不幸か、大人になるほど、自分の裏切り行為を自覚できるようになりますから、「後ろめたさ」がある人ほど愛されていないということなんです。


このnoteを読んでいる人、つまり「私は人を裏切ったことがある」と自覚している人が、自分が裏切られて怒るのは理不尽ですよね。
ですから、予測外のことが起こってストレスを感じたら、相手を責めるのではなく、「私がしてきたことはこういうことなのか」と反省するのが本質です。


マスターが多くのペーパードライバーの隣に乗った経験から言えるのは、運転中のトラブルは、起こるべくして起こっているということです。
トラブルが起こる場合は、多くのペーパードライバーが、トラブルになる数段階手前から、そのトラブルに向かって行動しています。


しかし多くのペーパードライバーは、「私はできる限りのことをした」と信じています。
たとえば、あなたが見通しの悪い左カーブを走っているとき、対向車線の車道を、自転車が走っていたとします。
対向車はその自転車をよけるために、あなたの走行車線にはみ出しますが、それを予測できていないと、「車が急に飛び出してきた!」と怒ることになります。
また、その車をよけるために左にハンドルを切ったとき、左側の車道の上を散歩中の人と犬に接触してしまうかもしれません。
これらは左カーブの対向車線に自転車を見つけた瞬間に「予測」の必要があることです。
対向車線を走る自転車を見たときに、「自転車を追い越しながら対向車が自分の方にはみ出してくる・・・それにビックリして左にハンドルを切ったら左側を歩いている人と犬がいて、ぶつかってしまう・・・だから減速して、次の状況に備えておこう」と予測していれば、ハンドルの切り方やブレーキの踏み方に意識を向けることができます。


対向車線に自転車がいるのに、その自転車を見るだけでなにもしないことが、その後の事故の原因になるわけです。


同じように、人間関係のトラブルも、数段階手前で回避できる場合がほとんどです。
しかし自分がなにをしているかわからないと、「私はできる限りのことをした」と原因を他人のせいにしてしまいます。
また、トラブルの原因が自分だとわかっても、改善の努力をしていないか、努力をしていても方法を間違えている場合もあります。
具体的には、自分が他人から大切にされない理由が、猫背や声の小ささだとわかっても、それを些細なことだと判断し、放置する人がいます。
また、それらを直そうとして、整体や自己啓発セミナーに行っても、方法を間違えているため、猫背や声の小ささが直るのはその瞬間だけで、根本的な解決にはなりません。


安定した心を壊すことは簡単ですが、乱れたものを整えるのはとても時間がかかります。
長い時間をかけて身につけた悪いクセは、地道に直していくしかないんです。


少し話がそれましたが、相手の理不尽を言う前に、自分を省みてください。
あなたも人を裏切ったことがあるはずですから、自分が裏切られたことでストレスを溜めるのはおかしな話です。
周囲はみんな反面教師のはずですから、反面教師たちに感謝し、自分を磨くことに専念してください。

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