魚の三枚おろしはできなくていい

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マスターは包丁を使う仕事をしていますが、主に「野菜の切り方」を研究していて肉はほとんど切りません。
「魚の三枚おろし」もできなくていいと考えているんですが、その理由について書きます。

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みなさんは大きな魚を丸ごと一匹さばけますか?
ウロコをとる、頭を落とす、内臓を取り除くなどの作業ですが、すでに一般家庭ではそんなことをしなくなりつつありますよね。
また、それよりも簡単な作業と言える「魚の三枚おろし」はどうでしょうか。
現代社会は、魚の三枚おろしをしない方向に進んでいますが、マスターはそれでいいと思っています。


マスターの店で修行中の先輩スタッフは、主に野菜の切り方の勉強をしていて、「牛・豚・鶏」など、動物の解体については勉強していません。
その理由は、動物の解体作業は一般生活に必要ないものだからです。


現代の日本では、牛や豚がさばけなくても問題ありませんよね。
それは人類の進化と共に仕事の分業化が進み、解体作業はプロの業者が全てやってくれるからです。
また、農業も、そして家の建築も、服の縫製についてもそうです。
昔はみんな自分でやっていましたが、現在はプロが代行し、多くの人がこれらのサービスをお金で買っています。
マスターの父が住んでいるネパールの山奥では、子どもでも鶏を解体できますが、日本の一般家庭では鶏を解体しなくなって何十年も経ちます。


昔は生き延びるために必要に迫られて動物の解体をしていたんです。
しかし今は動物の解体ができなくても生きていけますよね。
同じように、少し昔は必要に迫られて魚の三枚おろしをしていたんですが、今は魚の三枚おろしができなくても生きていけます。


世の中には、花嫁修業の練習メニューに「魚の三枚おろし」なんていう項目がありますが、豚や鶏をさばくことができなくても問題ないように、魚の三枚おろしができなくても問題ありません。
ですから、料理教室の先生や姑から「魚の三枚おろしぐらい料理の基本です」と言われても、まったく気にしないでください。
その人たちは、考え方が古いか、三枚おろしを教えることでしかお金が稼げない人なんです。


逆に、みなさんは年配者からスマホの使い方を聞かれたら、バカにせず丁寧に教えてあげてくださいね。
スマホを使えない年配者をバカにしたら、魚の三枚おろしができない若者をバカにする年配者と似たようなものです。


刃物がなかった時代の人類は、切らずにそのまま食べていました。
やがて石器時代になり、人間は切ることを知りました。
切ることを知った人類は、動物を切り、魚を切り、野菜も切りました。
効率よく生きるために必要なことだったからです。
しかし現在、一般家庭では食材を「切らない」方向に進んでいます。
「衛生面・キッチンの狭さ・ケガのリスク・時短」などの理由から、より効率よく人類が生きるため、プロの専門業者が切るようになったからです。


野菜に限っては、一般家庭でもあと数十年は切り続けることになると思いますが、すでに「ミニ野菜」や「カット野菜」が売られ、野菜を切る作業も減りつつあります。

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