パチンコ 2 中毒になる(トランス状態)

(読了目安9分)

パチンコの話、第2話です。


パチンコはギャンブルの代表格で、男の三悪(人の三悪)のうちのひとつです。
依存症になってしまうと、本人だけでなく、周囲も苦しめることになります。


今回は以下の内容です。

◎お客が儲かるわけがない

◎意外とお金がかかる
◎マスターの収支
◎吐き気と幻聴との闘い
◎中毒になる(トランス状態)

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◎お客が儲かるわけがない


パチンコ店の経営を維持するためにはお金が必要です。
毎日100万円の売り上げが必要だとしたら、そのお金はお客様からもらう必要があります。
ということは、その日パチンコ店を訪れたお客全員トータルで、100万円以上負けてもらわなければなりません。


そのパチンコ店がある限り、パチンコ店に通うお客みんなで、毎日トータル100万円ずつ店に支払っているということです。


「決定的な攻略法は世の中に出ない、もしくは出ても瞬間的なもの」

「長く打てば打つほど、確率どおりのことが起こる、つまり長く打つほど負けることになる」


これは前回書いたとおりです。
ということは、そのパチンコ店に行けば行くほど、使う金額が増えていく計算になります。


パチンコ店は、営利目的の会社です。
1日あたりの必要経費をお客さんに負担してもらうことで成り立っているんですから、来てくれたお客さん全員を勝たせてしまったら、そのパチンコ店は必ずつぶれます。
いくら「あのパチンコ店は出る」という噂があっても、そして「当店は勝たせます」なんていう店側の宣伝があっても、お客さん全体の平均収支は必ずマイナスなんです。


「お客が儲かるわけがない」


これが本質です。
「いつか必ず出る!次に出たら足を洗う!」なんて言っていたら、借金地獄の始まりです。


◎意外とお金がかかる


パチンコに使うお金ってどのぐらいだと思いますか?
もちろん人によって全然違いますが、わざわざパチンコ店に行く人って、1回につき1000円じゃすまないような気がしませんか?
昔ならゆっくり球を打って遊べたみたいですが、球を自動で打ち出すパチンコ台が主流になってから、1時間で1万円使うことも珍しくないようです。


「1時間で1万円分楽しめた」と本気で思えるなら、立派な「娯楽」です。
しかしみなさんはどう感じますか?
マスターにとっては、1人で1時間楽しむのに1万円使うって、ちょっと贅沢な遊びです。
千円でも本が買えますし、1万円あれば、パートナーや家族と1日遊べちゃいますからね。
とにかくパチンコは、一時的な快楽を得るためにかかるお金が高額です。
「コスパ」で考えるとかなり悪いと思います。


◎マスターの収支

マスターがパチンコに関わったのは、22歳から27歳ぐらいまでです。
その中の2年間は、ノートに収支を記入して、けっこうマジメにパチンコに取り組みました。
店を決めて、お気に入りの台を見つけて自分なりに研究するんです。
その結果、調子がいい時は、「CDプレーヤーを買う前にパチンコ、寿司を食べる前にパチンコ」という時期もありました。
ほんの数千円なら、なんてことなく稼ぐことができたんです。


でも・・・


でも、2年間の収支を計算してみたら・・・


みなさんどう思います?


マスターは数十万円のプラスだと思っていたんです。
しかし実際は2万円のプラスでした。
「プラス」だっただけでも今考えれば奇跡みたいなものですが、「オレはパチンコで勝っている」という思い込みは、誤解だったと感じました。


5年間ぐらいパチンコをやり、その中の絶頂期の2年の収支が2万円なんですから、他の3年間は間違いなくマイナスです。
しかもかなりのマイナスのような気がします。
毎月5万円使っていたら、年間60万円で、それが3年です。
100万円とか、もしくは300万円ぐらい使っていた可能性もあります。
勝ったときに強烈な記憶になるパチンコですから、あまり負けていないイメージが付きまといますが、収支を記録すれば、パチンコの恐ろしさが見えてくるかもしれません。


◎吐き気と幻聴との闘い


「お金は全額返します。許してください!」


当時の心境を今でもよく覚えています。


上にも書いたように、収支を記録していた時期のことでした。
朝一番でパチンコを打ち始め、すぐに大当たりが出て、そのまま閉店まで打っていた日です。
その日は一日中、食事もとらずに打ちっぱなしで、「お茶」と「タバコ」で過ごしたんです。
打っているときは夢中で、むしろ楽しかったんです。
お茶とタバコだけで1日過ごせるぐらいのテンションだったわけですから。


結果的に7万円ほど勝ったんですが、帰宅してからが地獄でした。


なんとなく食欲がなく、飲み物だけ飲んで布団に入りました。


「おやすみなさーい!」


・・・


パチンコで楽しかった一日を思い出しながらスヤスヤと・・・


・・・


・・・のはずが、目を閉じると、パチンコ台から出る音が聞こえてくるんです。


「チャリ~ン、チャリ~ン、ピロリロリ~ン」


目を閉じるとずーっとです。


日中、同じ音を10時間以上反復して聞いていると、脳が勝手に覚えてしまうんじゃないでしょうか・・・


そして、さらに追いうちをかけるように、吐き気が襲ってきました。


寝ようと思って目を閉じれば吐き気と幻聴、目を開けても吐き気はなくなりません。


マスターはトイレの中で祈ります・・・


「お金は全額返します。パチンコはもうしません。どうか許してください!」
(↑マスターは誰に対して祈っていたんでしょうか?)


その後しばらく苦しみ、胃液を数回吐いたあと、明け方になんとか眠りにつくことができました。
もともと難病なのに、少しぐらい体調がいいからって調子に乗るとこうです。
ホントに辛い体験でした。


◎中毒になる(トランス状態)


上の話では、マスターは「パチンコはもうこりごり」と思ったはずなんです。
しかし不思議なことに、数日後にはまたパチンコをやってしまうわけです・・・


これ、お酒と似ていませんか?


お酒関係で大きなミスをすると、「お酒はもうこりごり」と思う人は多いんです。
でもまた飲み始めるでしょ?
パチンコも、それと同じなんでしょうね。
とにかく、ギャンブル中毒になればなるほど、勝っているときの快感が必要になり、その快感を求めて際限なくパチンコを続けてしまうんです。


「中毒」について考えるとき、脳の「変性意識状態」という言葉が欠かせません。
「トランス状態」とも表現されているようです。
医学的根拠は別として、「パチンコ中毒」を生み出す仕組みについて、以下ちょっと長いですが、マスターの考えを書いてみます。


「脳の変性意識」については以前書きましたよね。
変性意識状態というのは脳のリミッターが解除され、「なんでもありの異次元世界」を体験できるものです。
「脳の感度が上がった状態・普段とは違う感覚を味わえる状態」などと例えてもいいかもしれません。


脳の変性意識状態を作り出すには、「脳波」を変える必要がありました。
その方法にもいろいろあり、芸術家などがドラッグ類に手を出してしまうのは、変性意識状態を手軽に手に入れるためです。
変性意識になると、現実逃避できるのと同時に新しいアイデアが浮かびやすいんです。
他に、瞑想によって脳波をコントロールする方法もありますし、マジックマッシュルームやアヤワスカのような、宗教的な儀式で使われる植物も有効です。
脳に磁気を当てることでも可能だそうですし、音楽(ヘミシンクなど)によっても可能だと言われています。
また、焚き火を囲んで楽器を鳴らし、歌いながら踊り続ける行為も、脳を変性意識状態に持っていくためです。
お酒ももちろんそうです。


しかしこれらは「確実な方法」ではなく、実施した一部の人が、不確実に変性意識状態になれるだけで、安全かつ確実な方法は、21世紀になっても一部の人しかコントロールできません。
手法の違いや個人差などがあり、「現代の方法では安全確実に狙い通りの意識状態になれない」ということです。


昔、「空を飛んだら気持ちがいいだろうなあ」と考えた人類が、ほぼ安全確実に空を飛べるようになったのはつい数十年前のことです。
しかも、多くの専門家たちが、時には命と引き換えに、そして多くの実験を繰り返した結果です。
なにも知らない素人が飛行実験なんかやったらすぐにトラブルを起こしますよね。
たとえば、航空力学などのデータの積み重ねを駆使して飛行機を作ってきたのが「専門家」、鳥の羽根を体中に貼り付けて崖から飛び降りて命を落とすのが「素人」です。
同様に「心の飛行」とも言える変性意識状態を自由にコントロールできるようになるには、多くの専門家たちの研究を待たなければいけませんが、世の中には、目先の快楽(変性意識)のために、鳥の羽を体中に貼り付けて崖から飛び降りるようなことをしている人がいます。
そのひとつの例が、「お酒を飲みながらパチンコをする人」です。


話は戻り、以下に続きます。
パチンコは、「音と光」で変性意識を生み出します。
音や光を何時間も反復するのは、昔からの儀式とかお祭り、それから、お経なんかでも当たり前ですよね。


これらは、異次元世界を体験し、神の領域に近づくために使われる手法です。
ですから、音と光の「パチンコ」で、変性意識状態を作ることができるんです。


変性意識状態は病みつきになりますから、一度快感を覚えてしまうと、パチンコを繰り返すようになります。
「もうこりごり」なんて思ってもまたやってしまうわけです。
これがパチンコ中毒を生み出す仕組みのひとつです。


さらにです・・・
もし「お酒」を飲みながらほろ酔い気分でパチンコなんかやったら、どうなると思いますか?
お酒と音と光・・・これはまさに宗教儀式です。
うまくハマッたら、一時的とは言え、「神の世界」に入れますから、病みつきです。
脳には個体差があるため、みんながみんなではないにしても、人によっては間違いなく別世界にトリップできるんです。
言ってみれば「妄信・現実逃避」です。


今回は以上です。
次回「パチンコ 3」は以下の内容の予定です。

◎いい話がない

◎愛から遠い
◎長く愛されない

・・・

投稿タイトル一覧は以下です。


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