コーヒーあれこれ2

(読了目安8分)

前回から続いて、以下について書いていきます。

◎基準のコーヒーを決める
◎ホットコーヒーの特徴と飲み方
◎アイスコーヒーの特徴と奇跡の飲み方
◎量
◎実験

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◎基準のコーヒーを決める


なにごとも「軸がはっきりしている」というのは大切なことですが、これはコーヒーにも当てはまります。
軸になるコーヒーがあると、違うコーヒーを飲んだとき、「基準のコーヒーと比べてどうか」という判断ができるからです。
この判断ができるようになると、コーヒーについてのコミュニケーションが取りやすくなります。


マスターは以前、自分の店で出すコーヒーを決めるときに、妻と二人で3種類のコーヒーを1年間飲み続け、その中から店の名前をつけるコーヒー、つまりマスターと妻にとって「基準になるコーヒー」をひとつ選びました。
その後コーヒーについて妻と話をするときに、そのコーヒーと比較して話ができるので、とても役に立っています。


コーヒーの味比べをするときは、軸になる「お気に入りの豆」を自宅に常備し、それを日々の生活で常に飲み、気になる豆をその都度試してみるといいと思います。
そうすることで、お気に入りの豆と比較してどうかという判断ができ、「いろいろ飲むけど、なにがなんだかわからない」という事態は避けられるので、コーヒーの味について考えることが一層楽しくなると思います。


◎ホットコーヒーの特徴と飲み方

ホットコーヒーは、温度が下がると香りが落ち、余計な酸味が出てきます。
会話を楽しみながらゆっくり飲むのも悪くないですが、「コーヒーの味と香りを楽しむ」という意味では、熱いうちに飲むほどいいと思います。
できれば3分以内です。


「おしゃべりの小道具」という位置付けなら、何時間置いてあってもいいです。
しかし上に書いたように、ホットコーヒーは「温度も味のうち」ですから、コーヒーを飲みたいのであれば、すぐに飲むのがオススメです。
また、コーヒーに対するこだわりが強い店では、コーヒーに口をつけないでおしゃべりに夢中になっているお客様に対しては、店主はあまり興味を持たないかもしれません。


高品質なコーヒーほど、冷めてもおいしい傾向があると言われていますが、お店で飲む場合、すぐに飲むことを前提とした温度で出てきますから、やっぱりホットコーヒーは熱いうちに飲むのが一番です。


◎アイスコーヒーの特徴と奇跡の飲み方

アイスコーヒーは、ホットコーヒーとは少し違った飲み方ができます。
すでに冷えているということもあり、10分や15分では、味も温度もほとんど変わりません。
おいしくいれるには手間がかかりますが、ホットコーヒーより長く楽しめます。


飲食業界では、「アイスコーヒー用」として売る豆は、どのメーカーでも、とても深く煎った豆を用意しています。
理由は、浅煎りだと酸味が強調され過ぎて、「酸っぱい飲み物」になってしまうからです。
もしみなさんが豆を買うことがあれば、試しに、一番浅煎りと一番深煎り(アイス用)の豆を使って飲み比べてみてください。
違いは歴然です。
多くの人が、深煎り豆でいれたアイスコーヒーを「おいしい」と感じます。


ちょっと長くなりますが、ここで、アイスコーヒーの飲み方を紹介しましょう。


カフェに行けば、カフェのオーナーがあなたに夢中になり、彼氏とデートに行けば、その日のうちにプロポーズかもしれない「奇跡の飲み方」です。


まず、アイスコーヒーにはストローがついてますが、理由はわかりますか?


女性にとっては、口紅の化粧直しが楽になるというメリットが大きいかもしれませんが、店にとっても、口紅がグラスにつかなければ、油とニオイの付着を避けられるので、メリットになります。


また、ストローは、ガムシロップやミルクを入れたときに、それを混ぜる「マドラー」として使うことも前提になっています。


さらに、アイスコーヒーの味が濃いと思ったら、ストローでかき混ぜて氷を溶かし、好みの濃さにすることができます。
ホットコーヒーと違って、薄味にアレンジできるわけです。


そしてここからがストローの本領発揮です。


グラスに入った氷が溶けるとどうなるでしょう?


そう、水になりますね。
水はコーヒーより軽いので、混ぜなければ常に上に留まりますから、アイスコーヒーそのものは、できたての濃さをキープし続けます。


氷の冷気は下に向かいますから、氷が残っていれば、コーヒーの温度もほぼできたてのまま保たれています。


ということは、ストローがあれば、水の下のコーヒーだけを狙い、できたてのままの濃さと温度で飲むことができるわけです。
氷の量や気温にもよりますが、15分は良い状態を保てます。
15分間温度が変わらない・・・これは、ホットコーヒーにはできないことです。


それから、ガムシロップは比重が重いので、コーヒーに入れて混ぜても下に溜まるときがあります。
そんなとき、ストローがあれば、グラスの底から1センチ上の甘くない部分を狙うこともできます。


また、氷が溶けた上澄みの水だけを飲んで口の中を一端リフレッシュし、またアイスコーヒーを飲むなど、コーヒーだけを飲んだり、水だけを飲んだりして、いろいろと楽しめます。
氷が溶けた水の部分だけを狙って飲めば、その店の水へのこだわりも見えてきます。


ここまできて、アイスコーヒーを飲むときの大切なことがわかりましたか?


大切なこととは、


「混ぜない」


ということです。


混ぜなければ、「最高の状態を長い時間キープできる」、ということです。
店としては、こんな飲み方をしているお客様が、アイスコーヒーを最後まで飲んでくれると、高度な感覚を持つお客様に誉められた気がするんです。
上質な出会いができたようで、その日は嬉しい気分になるわけです。


ということで、


「混ぜない」


これが、上質な出会いを生む「奇跡の飲み方」です。
意外と無意識に混ぜてしまう人多いんです。
「一度味を決めたら混ぜないで飲む」、たったこれだけですが、アイスコーヒーの飲み方としては、最高峰です。


アイスコーヒーとストローについてまとめると

・化粧直しが少しで済む

・グラスが洗いやすい

・ミルクやガムシロップを混ぜるマドラーになる

・アイスコーヒーが濃い場合、氷を溶かすためのマドラーになる

・「コーヒーだけ・水だけ」など、飲みたい場所を狙って飲むことができる

こんな感じです。


この「奇跡の飲み方」を実践している人がいたら、その人の人生観についていろいろと聞いてみてください。
様々な分野で、有意義な深い話ができるかもしれません。



◎量


器に入れるコーヒーの「量」って、どうやって決めると思いますか?
オシャレな店ほど量が少ないイメージかもしれませんが、マスターの店では、基本は多めに注ぐようにしています。
お客様に対して、「足りない感」や「気取った店感」を感じてもらいたくないからです。


マスターの店は、お客様が自分で運ぶ屋外席(セルフサービスコーナー)と、店員がテーブルまで運ぶ店内席に分かれていて、セルフサービスコーナーでお客様自身がコーヒーを運ぶときは、ちょっとだけ少なめに注ぎます。
それは、お客様が飲み物をこぼさないように、という配慮です。
時々、「この人きっとプロだよな」という慣れた手つきの人もいますが、多くのお客様はトレーを持ったまま歩くのは不安ですからね。


アイスコーヒーに限っては、ミルクだけじゃなく、ガムシロップを入れることも考えます。
ガムシロップは、全部入れると意外と量があり、混ぜたときに遠心力でコーヒーが溢れないようにするという意味で、コーヒーはほんの少し控えめな量にします。



◎実験


コーヒーを楽しむときの基本的な実験として、マスターは以下のようなことを1年間ぐらい繰り返しました。
また、保存期間の実験では、冷凍庫で最大2年間保存したものを、同じ銘柄の新しい豆と飲み比べたりしました。


実験内容としては、

浅煎りと深煎りの味の違い
薄いコーヒーと濃いコーヒーの味の違い
飲む時の温度の違いによる味の違い
豆の挽き方の違いによる味の違い
蒸らし時間の違いによる味の違い
水の違いによる味の違い
豆から挽いたものと粉で売られているも
のの味の違い
保存期間の違いによる味の違い

などがあります。

コーヒーの味の基本を勉強しようとすると、何十種類もの実験が必要になりますが、味の違いがわかると楽しいです。


他に以下のような疑問もあると思います。

おいしいアイスコーヒーの作り方は?
自家焙煎はおいしいの?
高価な豆ほどおいしいの?
ブレンドよりストレート(単一品種)の方がおいしいの?
器具メーカーはどこがいいの?
水はどんなのがいいの?
ペーパードリップがいいの?


これらにはちゃんとした答えがあります。
またいつか書こうと思いますのでお楽しみに。


インスタント・缶コーヒー・紙パック・ペットボトル、そして、豆を挽いて粉の状態で売られているコーヒー、豆のままで売られているコーヒー、最近は「生豆」を自宅で煎るのも流行っていて、コーヒーの多様化が進んでいますが、結局、おいしさを決めるのは最終的に飲む人の「心」です。
どんなコーヒーでもおいしく飲める人が、心が豊かな人なのかもしれません。
「最低でも1杯1000円のコーヒーじゃないと飲めない」なんて、寂しいですもんね。

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