食品添加物について 2

(読了目安11分)


前回に続き「食品添加物」関連の話です。
今回は短編集ですが、長めの話もあるので、トータルでは長めです。



◎「悪」なのか

食品添加物は身体に悪いのか・・・語弊があるかもしれませんが、あえてはっきりと書きますね。


あまり気にしないでください。
気にする労力の方が身体に悪いです。


自分がその物質に対するアレルギーや過敏症だとわかっているならもちろん避けてください。
しかしそうでない場合は、気にすることはありません。
みなさんの人生は、食品添加物を疑うためにあるわけではありませんよね。


無添加食品を追い求めて生きる人生も、ありといえばありかもしれません。
また、あれもこれもダメ、あれは安全、これは危険、大企業は裏で不正をしているから・・・こう考えながら注意深く生きることも、ある意味大切なことかもしれません。


しかしです。


仮に、食品添加物を扱う業界に不正があるとしたら、無添加食品を扱う業界には不正がないと言えるでしょうか。
簡単に言えば、食品偽装、産地偽装と同様のことが、無添加食品を扱う業界にもあるわけです。
「無添加だと思っていた食品に、数十年の間、添加物が使用されていた・無添加だと思っていたら表示違反だった」などです。


添加物についてあなたが勉強した出版物の内容も、決して正しいとは限りません。
食品会社が自分の利益のためにウソをつくのと同じく、著者も出版社も、自分の利益のためにウソをつくからです。
みなさんが自分の利益のためにウソをついたことがあるのと同じです。
人は成人式を終えたからウソをつかなくなるとか、会社ならウソをつかない、なんてことはないんです。


また、小規模の店が大企業との競争に勝つためには、大企業と同じ方法では勝負できないという現実があります。
その場合、商品を差別化するためには、大企業がやっていないことをやり、さらには、大企業のやり方を否定する必要があります。


それが、「無添加食品の奨励・食品添加物の批判」に繋がるわけです。




◎塩

たとえば、あなたが海のそばに住んでいるとします。
海水は無尽蔵と言えますから、海水を蒸発させて塩を作り、それを売ることができたら大儲けです。
しかし1キロの塩を作るのにどうしても200円のコストがかかってしまったら、1キロ100円の塩を売る大企業には対抗できません。
利益を考えると、あなたは1キロ500円で売る必要があります。


そんなとき、どうしますか?


自分が売る塩を、「身体に優しい・私の塩の味には深みがある・私の塩はまろやか・天然塩・手作り」などと宣伝し、大企業の塩と比べて優位性を主張しませんか?


それでも売れない場合、大企業が作った塩の「悪の部分(実際に悪かどうかは別です)」を悪く宣伝しませんか?


たとえば、「機械による大量生産なので心がこもっていない・海水からできた塩と比べて味がキツイ・環境破壊でできた食品だ・化学処理なんて自然に反している」などです。


「砂糖」についても同じように、1キロ200円で売られている上白糖には対抗できませんから、色がついている砂糖、つまり、てんさい糖や黒糖などを売らなければなりません。
この場合、やはり「身体に優しい・私の砂糖の味には深みがある・私の砂糖はまろやか・天然糖・手作り」というように、自分の砂糖の優位性を主張すると思います。
そしてそれでも売れない場合は、大企業が売る上白糖を、「機械による大量生産なので心がこもっていない・てんさい糖と比べて味が淡泊・環境破壊でできた食品だ・化学処理なんて自然に反している」などと批判するかもしれません。


しかしちょっと考えてみてください。


大企業の合理的なやり方を批判し、自分の天然塩や黒糖をすすめるあなたが、たとえばスマホの低価格化、高性能化を望んだりしてたらヘンだと思いませんか?
スマホの低価格化や高性能化には、機械による大量生産が必要ですし、環境を破壊する必要がありますし、高度に精製・化学処理された原料を使う必要があるんです。


目先の都合で物事の合理化を否定したり肯定したりしているうちは、その人は「知恵がある」とは言えないですよね。
そんな人は知恵のある人を遠ざけてしまいますから、充実した人生にはなりません。
「なぜか人生がうまくいかない」となり、自分がおかしいことをしていると気付かないまま社会批判をする人もいます。


たとえば「愛が大切・家庭を持ちたい・子どもが好き」と言いながら、独身だったり人間関係がうまくいかない女性は、このパターンになっていることがよくありますが、これは愛する努力をやめ、「オーガニック教」を妄信することで安心しようとしてしまったツケだと言えます。




◎なにが身体に悪いのか

保存料として代表的な「塩」は、大量なら命を落としますが、少量なら命をつなぐものです。
食品添加物も、大量なら命を落とすものがほとんどですが、適量なら人間の味方です。
そう考えると、身体に悪いのは、「食品添加物が身体に悪いと思いこんでしまうこと」だと言えます。


また、「無添加食品じゃないと食べられない」と信じるほどストレスを溜めてしまうことも身体に悪いと言えます。


「昔の添加物は全部安全で、いまの添加物が全部危険」というわけではありません。
むしろ現代の方が科学技術が発展し、安全なものを選別する力は上がっています。


食品添加物を全て悪者のように考える必要はなく、むしろ「トータルでは人間の味方」と考えることで、添加物に関するストレスから解放されます。
ただ、特定の添加物を大量にとり続けたら、体調が大きく悪化する可能性があります。
特に、戦後の混乱の中で開発された食品添加物については疑問の声が後を絶ちませんが、ひとつ言えることは、「ニガリのような添加物しかなかった江戸時代と、たくさんの食品添加物がある現代では、平均寿命が2倍違う」ということです。


平均寿命が長いというのは、主に「子どもが死なない・病気が治せる」ということですから、これは子どもや患者にとって、そして親にとっても、もちろん周囲にとっても嬉しいことで、「私もあなたも周りも楽しい」という「愛」の条件そのものです。
食品添加物を怖がることはないはずです。




◎本当に怖いものは

人間にとって本当に怖いものは、食品添加物ではなく、人の「欲」です。
マスターが心配なのは、「私欲」という添加物です。
人間の心の中に「私欲」という添加物が入ると「寂しさ・不安」という副作用が止まらなくなり愛をそそぐことができなくなります。
危険なのはむしろ、寂しさや不安をベースにした「添加物にまつわる誤解や無知」、そして、その誤解や無知を原因とする「ストレス」です。
そのストレスが、不安を生み出し、食品添加物を「悪」にしているなら、ストレスがなくなることで、食品添加物も悪ではなくなります。




◎そんなことより

そんなことより、健康や長寿への悪影響が大きな飲み物がありますよね・・・


そう、「お酒」です。

「お酒」は議論の余地なく「身体に悪い」と言われているものです。
身体に悪いだけではなく、多くの悲劇の元になりますから、「社会に悪い」と言える危険な飲み物です。
食品添加物について細かく考え、あれもダメこれもダメと言っている人が、もし日常的にお酒を飲んでいたら・・・これはもう命をかけたコントです。
食品添加物の話をするなら、まずはお酒(タバコも)をやめましょう。




◎トータルで考える

人間は不完全ですから、人間が作り出した食品添加物の全てが身体に無害だということはありません。
プラスマイナスがあり、トータルで人間にとって有益なものが、食品添加物です。




◎箇条書き
以下、関連する短編をたくさん書きますので、ヒントにしてください。


・食品添加物がないと食品が傷み、人が病気になりやすくなることがあります。


・「無添加食品(防腐剤・保存料なし)」とは、「傷みやすい食品」だと認識する必要があります。


・食品添加物がある現代の方が、昔より平均寿命が長いのはなぜでしょうか。


・人の健康には、食品添加物が入っているかどうかよりも、医療や生活インフラの発展が大切です。


・個人企業・小企業は、大企業の販売価格に太刀打ちできないため、大企業を批判する傾向があります。


・なにを食べても元気な人と、限られたものを食べないと元気が出ない人では、どっちが愛に近い存在でしょうか。


・食品に限らず、たとえば「無添加化粧品」は、有効期限を過ぎて品質が変わってしまったものを使うことによるリスクがあるようです。
特に夏の期間は冷蔵庫などで保存しないと、期待通りの効果はおろか、逆効果の可能性もあるようです。


・フードファディズム
「フードファディズム」と呼ばれる「食品に対する偏った考え方」があります。
言ってみれば、信じたいことを強く信じる「妄信」です。
たとえば自然食や健康食に大金を使ってしまった女性や、それらを食べたタイミングで体調が回復した女性は、フードファディズムに陥りやすいと言えます。


・食品添加物について「悪」だと妄信している人は、西洋医学を否定する傾向もありますが、これも、もしいま西洋医学をゼロにしてしまったら間違いなく平均寿命が下がりますから、実際は東洋医学より西洋医学の方がトータルで優れているとわかります。
「西洋医学で治らなかった病気が東洋医学で治った」という話は事実です。
それだけを聞くと、東洋医学が優れているように錯覚しますが、ほとんどの人が先に西洋医学を受けるため、そういう言葉が出るわけです。
マスターと縁があるネパールでは、多くの人が西洋医学を受けたがりますが、お金がなくて受けられないのが現状です。
西洋医学を受けられれば、ネパールの平均寿命は上がります。


・夫の給料を使い、高価な「無添加食品・こだわり健康食品」を買い続け、自己満足している妻・・・
無添加食品に対するこだわりが強すぎるあまり、夫婦仲が悪くなったり、離婚に至るケース・・・
自分の塩や味噌を持ち歩き、ほとんど根拠もなく「市販のものは身体に悪いわよ」と量産品を批判するような女性・・・
食品に強くこだわったり依存したりすると、「人の心」という、一番大切なことを忘れてしまいます。


・子どものことを考えて「食」にこだわる母親も多くいますが、子どもが求めているものは、まずは親からの「優しさ」です。


・大人が自分の心の問題を棚にあげて、無添加食品やこだわり健康食品に頼り、入ってくる情報に右往左往し、不安なまま生きているうちは、根本的な問題は解決しないと思います。


・無添加食品やこだわり健康食品を食べ、平和な世界を実現するならいいんです。
無添加食品やこだわり健康食品を食べ、争いが絶えない世界は、子どもたちに対する愛ではありません。
ですから、大人が自分の幸せに責任を持てる世界を作ることが先です。
大人が愛をそそげるようになれば、自ずと危険な食品は開発されなくなるからです。


・食品業界の裏話を始めたらキリがありませんが、マスターも含め一般人が食品添加物の全貌を把握することは不可能です。
私利私欲に走る大人がいる限り、危険な食品が出回るのも事実だと思います。
それでも、あらゆるものを疑って過敏になるよりは、「食品添加物から逃げるための人生」を送らないようにすることが、一般人にできるせめてもの愛です。


・「健康・安全」と声をあげるのは悪くないことですが、その押し付けが過剰だと周囲にストレスをかけます。
みなさんは、「あなたの存在こそ私たちの健康に悪い」と陰で言われるような人にはならないでください。



◎まとめ


食品添加物を気にする人ほど元気があるのかと思いきや、現実は、その逆の場合がほとんどです。
それはなぜか・・・自分の不幸や寂しさを、食品添加物のせいにしようとしている人が多いからです。


営利目的の企業はこう言います。

「あなたの不幸や寂しさは、あなたが悪いのではなく、食べ物が悪いんです、食品添加物をぜひ避けてください、そうすれば元気になれます」

そんな言葉に救いを求める人たちが、食品添加物を避けながら生きることになります。


そもそも食品添加物はトータルで悪ではないのに、なぜ人生をかけて避ける必要があるのか、考えることも大切です。
マスターは発展途上国にかかわることがあったため、日本の国力は世界最高レベルだと実感しています。
人間が作る社会ですから、どんな国にも「闇」はありますが、それでも、日本の「食環境」に「破滅的な闇」はないと思っています。
また、妄信者は、自分の理想の食事をしても、「元気100倍!」とはならず、「次のなにか」「次の理由」を探してそのせいにし、元気をなくしてしまうと思います。
「妄信から生まれた理想の食事」をしなければ元気になれない人より、どんなものを食べても元気でいられる人の方が、愛に近い人です。


以上、食品添加物の話でした。

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