本物の笑顔と本物の人生 後編

(読了目安11分)

前回は、

「イライラの原因は愛する努力をしていないから」

「イライラの原因は自分の中にある」

という話でしたね。


今回は「2種類の笑顔」について書き、話をまとめます。



◎ニセモノの笑顔 本物の笑顔


いつも笑顔に囲まれて生きていけたら、これほど幸せなことはありません。
ただ、笑顔には大きくわけて2種類あります。


ひとつは、「ニセモノの笑顔」、そしてもうひとつは「本物の笑顔」です。


この2種類の笑顔について書いてみます。


<ニセモノの笑顔>

あなたはきっと、給料をもらえれば笑顔でしっかり働く人だと思います。
しかし給料をもらえなかったら、同じような笑顔で働けるでしょうか・・・


仮に日給で10万円もらえる仕事なら、気が乗らなくてもなんとかやれる場合があります。
10万円と引き換えに、相手に対して笑顔を作ることはできるわけです。


例としては、脂ぎったオヤジにお世辞を使いながら食事に付き合うとか、コンパニオンとしてお酒の席に呼ばれたとき、胸の谷間に1万円札を入れたがるオヤジに笑顔で対応するとか、そんなことです。

「お金をもらえないなら絶対にこんなオヤジには近づかない 」心の中でこう思っていても、お金をもらえれば、相手を楽しませるための努力をするわけです。


そのときの笑顔が「ニセモノの笑顔」です。


もう少し身近で言うと、「時給3000円なら笑顔で働けるけど、時給1000円だと笑顔が出ない」ということです。
そのときあなたは「ニセモノの笑顔」で仕事をしています。


また、「仕事を終えて自宅に帰った時にガックリくる」、この状態ならあなたは「ニセモノの笑顔」で働いているということです。


今の社会では、お金を使えば「笑顔」が手に入る場合がほとんどです。
ですから、もしあなたが笑顔を求めるなら、お金を使うほど笑顔は手に入ります。
しかしその笑顔は、「あなた」に対する笑顔ではなく、多くの場合、「お金をくれるあなた」に対する笑顔なんです。


もう少し踏み込んで表現すると、「お金に対する笑顔」です。
あなたが「これを無料で私にちょうだい」と言ったとたん、相手の笑顔はなくなるわけですからね。


では確認です。
ここでマスターが書く「ニセモノの笑顔」とは、「お金で買える笑顔」のことです。


しかし世の中には、たとえ「ニセモノの笑顔」でも、それを求めている人は多くいます。
人をだましたり不正をしてまでお金を稼ぎ、飲み屋でそのお金を使う会社経営者なんかは、その典型です。
そんな人たちに向けられる笑顔が「ニセモノの笑顔」なんです。




◎「本物の笑顔」とは


「ニセモノの笑顔」はお金で買える笑顔ですから、「本物の笑顔」というのは・・・


そう、「お金で買えない笑顔」のことです。


若い人で言えば、たとえば、

「学生時代に仲間と交わした笑顔」

「団体スポーツでの優勝を噛みしめた仲間たちとの笑顔」

「受験に合格したとき、家族や友達と交わした笑顔」

など、みなさんなりに、本物の笑顔に出会える場面があると思いますが、以下、マスターが考える「本物の笑顔」の場面をいくつか書いてみます。


<人助け>
本当に困っている人を助けたとき、人は本物の笑顔に出会うことができます。
自分ではどうしようもないことで困っている時、もし助けてもらえたらあなたは喜びますよね。
そのときあなたから出る笑顔は「本物」ですよね。
ですから、本当に困っている人を助けた時、そこに本物の笑顔があります。


しかし、困っている人を助けるには、相応の実力が必要になります。
「溺れている人を助けるには、まず自分が泳げるようにならないといけない」ということです。


本物の笑顔に出会うには相応の人間力が必要になりますが、それに応じた笑顔に出会えるわけです。



<恋愛や結婚>
恋愛や結婚は、多くの場合、お互いにお金で繋がる関係ではなく、心と心で繋がる関係です。
そのときに交わされる笑顔は本物の笑顔です。


・・・しかし、


恋愛や結婚の多くが、なぜか途中から笑顔がなくなっていく傾向があります。
「プレゼントが高価なほど笑顔がたくさん見られる」、こうなってくると「ニセモノの笑顔」に近づいている証拠です。
この状態は、多くの場合、相手に求める思考、つまり「甘え」が原因です。
「本物の笑顔」が長く続く関係が、長く愛されている関係です。
愛をそそげていれば、いつまでも本物の笑顔に囲まれます。



<友達や趣味>
学生時代からの友人など、冗談を言い合いながら笑える関係です。
友人同士は、笑顔で接すればお金をもらえるという関係ではないですよね。
そんな関係なら、そこにある笑顔は本物です。



<子育て>
赤ちゃんの笑顔はお金では買えませんから、「本物の笑顔」です。
赤ちゃんは相手を見て損得勘定はしませんよね。
赤ちゃんがほとんど誰からも愛される理由は、誰に対しても本物の笑顔を見せるからです。
「存在そのものが愛、だから愛される」というのはそういうことです。


そしてそして、なんと!


・・・もう気付きました?


赤ちゃんをあやしている時のあなたの笑顔も「お金で買えない笑顔」です。
あなたは、赤ちゃんからなにももらえませんが、それでも笑顔です。
赤ちゃんをあやしている時のあなたの笑顔も「本物の笑顔」なんです。


上記はまさに愛をそそぐことの象徴です。
「本物の笑顔」は、愛をそそぐことで返ってくるわけです。


友達と遊び、恋愛をし、結婚して、子育てをしながら人の役に立つ仕事ができれば、あなたは「本物の笑顔」ばかりに囲まれます。


ということは、やっぱり、大人の愛は「先払い」なんですよね。
人は愛をそそいだ結果として、「本物の笑顔」に囲まれるんです。



◎お金と引き換えの笑顔にも「本物の笑顔」はある


お金と引き換えの笑顔が全部ニセモノとは限らないんです。
以下、それについて書きますね。


ニセモノの笑顔というのは、言ってみれば「仕事上の笑顔」のことです。
みなさんも体験していると思いますが、仕事をしていると、「表の顔」と「裏の顔」が全然違う人っていませんか?


たとえばレストランなら、

「ホールでは笑顔なのに厨房ではそのお客様をけなす」、

販売業なら、

「売り場では笑顔なのに事務所ではお客様の愚痴ばかり」、

なんていう従業員です。


仕事が終わり、自宅に帰るとガックリするのも、表と裏の顔を使い分けているからと言えます。
そんな従業員の笑顔が「ニセモノの笑顔」です。


しかし、表でも裏でも変わらない笑顔だったり、仕事が終わってもガックリこない人もいます。
そんな人の笑顔は、たとえお金が絡んでいても、「本物の笑顔」なんです。
仕事の態度に表も裏もなく、帰宅してもガックリこないのは、愛をそそぐために仕事を楽しんでいるからです。
その人は、たしかに「お金」を稼いでいますが、その人にとってお金を稼ぐことも、愛する努力のひとつなんです。
今の時代は経済社会ですから、お金を稼ぐことは大切なことです。
しかし、それ以前に人生を楽しんでいるわけです。


ではここで、みなさんの仕事中の笑顔が本物か確認してみましょう。
以下3つの質問に全て「はい」と答えられたら、仕事中のあなたの笑顔は「本物」です。


1:仕事を終えた後、ガックリこない

2:帰宅後の笑顔も仕事中の笑顔と同じ

3:仕事のストレスの発散をしていない

※3は「ストレスが溜まらないから発散する必要がない」という意味です。
「発散しないで我慢している」という意味ではありません。


どうでしょう。
仕事を終えてもガックリせず、帰宅後も仕事中と同じ笑顔でいられる、そしてストレスもなく、お酒などで発散する必要もない・・・
この状態なら、あなたの笑顔は「本物の笑顔」ということです。
ですから、お金を通しても本物の笑顔に出会うことはできます。



◎「ニセモノの人生」「本物の人生」


ここまで、ニセモノの笑顔と本物の笑顔について書きました。

さて、それではみなさん、「ニセモノの人生」「本物の人生」って、どんな人生でしょうか。


みなさんはどっちの人生を送っているか、ちょっとチェックしてみてください。


※以下、あくまでも「マスター個人が考えること」を書きます。
違う意見があってもいいですし、「全部本物の人生」という意見もあっていいと思います。


マスターが考える「ニセモノの人生」とは・・・

「お金で買える笑顔に囲まれた人生」

「お金によって人間関係が崩れる人生」

「お金があったらもっと楽しいのに、と思ってしまう人生」

「お金があったらこの人と別れたいのに、と思ってしまう人生」


ひとことで言うと、利害関係による笑顔に囲まれた人生です。
「先に愛を欲しがる人たちに囲まれた人生」とも言えます。

たとえば以下のような話が「ニセモノの人生」の一例です。


Yさんは会社経営者の男性です。
結婚後数年は夫婦仲良く暮らしていましたが、やがて夫婦ゲンカが頻発し、子どもからも嫌われ、ストレス発散のために、キャバクラでよくお酒を飲むようになりました。
キャバクラでは、若くてきれいな女性たちが、両側に座ってYさんを持ち上げてくれます。
お金を使うほど、いい気分を味わうことができました。
Yさんは上機嫌でしたが、結局メタボになり、お酒が原因と思われる様々な病気を発症して入院しました。
家族は、「いいザマだ」とお見舞いには来てくれません。
お見舞いに来てくれるのはYさんが呼び出したキャバ嬢と、仕事を通して利益になっている人たちだけです。


キャバ嬢たちは、「このオヤジからあといくら絞り取れるかな」「もっとお見舞いをすれば退院後にブランド品を買ってくれるかも」などと心の中で考えています。


また、仕事関連の人たちは、「たくさんお見舞いしておけばオレの地位は安泰だろう」「信用を得ることができれば裏情報を聞き出せるかもしれない」などと、自分の立場を考えています。


病院の看護士たちからは、陰で、「このデブ、家族から嫌われてキャバクラ通いしてるのね」「お酒を飲みすぎたのが悪いのよ」と言われ、Yさんからのナースコールがあっても、内心は「Yさんはいつも臭いから彼に触りたくない」と、みんな気付かぬフリで、できるだけYさんから逃げまわっていました・・・


結局Yさんの病気は治らず、余命数ヶ月と宣告を受けたとき、Yさんの財産目当ての親戚が大挙してお見舞いに来るようになりました。
Yさんは、先祖から受け継いだ財産を持っていましたが、周囲の全員を「財産目当ての腹黒い人間」としか思えなくなり、そのストレスで病状が急変し、不安と痛みの中で命が尽きました。


人を疑いながら亡くなったYさんの最後の言葉は、「もっと大金があれば幸せになれたのに・・・悔しい」でした。


残された人たちは、Yさんの財産を巡り、本性むき出しで自分の権利を主張し始めました。
お互いに相手を疑い、批判し、恨み合いに発展し、混乱を招いてしまったんです。
Yさんの「寂しさ」が、Yさんを「お金で買える笑顔」に走らせ、お金に心を奪われる人を集めてしまい、その結果、残された多くの人の人生を狂わせてしまったわけです。


Yさんに限らず、そして性別に限らず、「お金を使わないと笑顔に出会えない人」は、不正をしてでもお金を稼ごうとしたり、人間不信から自分だけの世界にのめりこんだり、「私の場所はここじゃない!」などと考え、海外に行きたくなったりする人もいます。
しかしどうあがいても自分から逃げることはできず、気づけば同じことの繰り返しになります。

・・・

では次に、「本物の人生」とはいったいどんな人生でしょうか。
マスターが個人的に考える「本物の人生」というのは、上記とは逆の人生です。
短くまとめると以下のようなものです。

「お金で買えない笑顔に囲まれた人生」

「いくらお金があっても人との関係が崩れない人生」

「お金があったらもっと楽しいのにとは思わない人生」

「お金がなくてもこの人と一緒にいたいと思える人生」

さらにまとめると、朝起きてから夜寝るまで、ストレスがない状態が続くなら、それが「本物の人生」です。


そんな状態を数ヶ月間、数年間、そして生涯続けることができたら、「私は本物の人生を楽しんだ」と言えます。
マスターも「本物の人生」を楽しむために、日々修行中です。



◎まとめ


イライラし、ストレスや寂しさを癒す目的でお金を使う人生は、たとえ笑顔に囲まれるとしても、それは「ニセモノの笑顔」に囲まれた人生になります。


大人の愛はいつも「先払い」です。
愛を先払いした結果「本物の笑顔」に囲まれ、本物の人生を楽しむことができます。


「本物の笑顔」に囲まれた人生になることをいつも願い、そのために努すれば、必ず本物の笑顔に囲まれた人生に近づきます。


以上、「本物の笑顔と本物の人生 <後編>」でした。
最後までありがとうございました。

・・・

投稿タイトル一覧は以下です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?