伝わらないのは誰のせい?

(読了目安6分)

◎「言ったわよ」「聞こえないよ」


以下の2つは似たような会話の例ですが、みなさんはこんな会話をしたことはありますか?
パターン1は、相手の声がもともと聞こえなかったというもの、パターン2は、説明されたことと違う解釈をしたというものです。
両方とも、「伝わらなかった」という意味では同じです。
さて、この場合「伝える側」と「聞く側」ではどっちが悪いんでしょうか・・・
「彼女と彼氏の会話」として書きましたが、「親と子・姉と妹・上司と部下」に置き換えてもOKです。



<パターン1 もともと聞こえなかった>

彼女 「聞いてるの!? ねえ、それ取ってよ!」

彼氏 「え? なに?」

彼女 「さっきから言ってるでしょ! はやく取って!」

彼氏 「どれ?」

彼女 「なに言ってんの、車のキーって言ったでしょ」

彼氏 「いきなり怒らないでよ、聞こえなかったんだから」

彼女 「普通に言ったんだから聞こえてるでしょ?」

彼氏 「知らないってば、次からは聞こえるように言ってくれる?」

彼女 「聞こえるように言ったわよ!あんた耳がおかしいんじゃないの?」

彼氏 「聞こえるように言わなかったのは誰だよ」


<パターン2 違う解釈をした>

彼女 「アタシ、ちゃんと説明したわよ」

彼氏 「わかるように説明すればいいんだよ」

彼女 「わかるように説明したってば」

彼氏 「あの説明じゃわからないって」

彼女 「そんなこと常識的に考えればわかるでしょ?」

彼氏 「そんなこと知るかよ」

彼女 「バカじゃないの?」

彼氏 「バカなのはどっちだよ!」

彼女 「常識のないあんたが悪い」

彼氏 「わかるように説明しなかったおまえが悪い」

どうでしょう、似たような会話をしたこと、ありませんか?
できればこんなイライラは、避けたいですよね。


ということで今回は、言いたいことが伝わらなくてもイライラせず、人間関係が円滑になる考え方について書きます。
伝わらないのは誰のせいか、はっきりわかれば、きっと気持ち良く会話ができるはずです。



◎伝える側の問題


言ったことが伝わらないと、お互いにイライラしますよね。
さて、相手に伝わらないのって、伝える側がいけないんでしょうか、それとも、聞く側がいけないんでしょうか?


マスターも昔、上記のような会話をやっていましたが、今はもうストレスを感じることはありません。
言葉が伝わらないのは、「自分の責任」だとわかっているからです。


こんな場面を想像してみてください。


あなたの友達が、不注意で道路に飛び出そうとしています。
少し離れたところから見ているあなたは、全体の状況を見て、このまま飛び出すと交通事故になると予想できました。


あなたは「危ないわよ!」と危険を伝えましたが、友達は、そのまま飛び出し、車にはねられて重症を負いました。


病院にお見舞いに行ったあなたは、ベッドにいる友達に対して、「私は危険を伝えたわよ、聞かないあんたが悪いのよ」と思いますか?
もし時間が戻るなら、もっと大きな声で伝えればよかったと思うはずです。


ということは、自分の言葉が伝わらないのは、相手のせいではなく、自分の伝え方に問題があるとあなたはわかっているんです。


たとえば子供は、なにかに夢中になっていると、通常なら聞こえる大きさの声が聞こえないこともあります。
また、高齢者なら、耳が遠い可能性もあります。


「伝える」というのは、相手に伝わってはじめて伝えたことになるわけです。
ですから、「危ないわよ」とボソっとつぶやいても、相手に届かなければ伝えたことになりません。
相手の立場になって考え、相手に届く声を出すのが、「伝える」ということです。


また、人はそれぞれ違う生き物ですから、「自分なら当然こう解釈する」「こんなのは常識で判断できる」「この単語は誰もが同じ解釈をする」などと考えても、相手によっては違った伝わり方をする可能性があります。


大きな声で伝えたとしても、選ぶ言葉や説明不足により、伝わらないことが多々あります。
(ですから、マスターもこのnoteで、表現を変えながら同じことを書いているわけです)


それからこれも大切なことですが、たとえば英語しかできない人に対して、危険な状況をあなたは日本語で伝え、「日本語を理解できないのが悪い」「車にはねられて当然」とはもちろん思わないはずです。


また、あなたの大切な人が英語しか理解できないなら、あなたは「英語」を使い、大きな声で危険を知らせると思います。
「日本語ができないあいつが悪い」と責めることはないはずです。
そうなんです、「伝わらないのは自分の責任」、このことをあなたはわかっているんです。


さらに言えば、子供に対して難しい単語を使って説明し、「わからないおまえが悪い」なんて言う大人もいません。
伝えたいなら、子供に理解できるように工夫するはずです。


人に対してなにかを明確に伝えるには、相手の立場になって考える知恵が必要なんです。


言いたいことが伝わらないのは「自分のせい」だということに疑う余地はありません。
ということで、伝わらないのは伝える側の責任です。


では、なぜ人は、はじめに挙げたような会話をしてしまうのか・・・それは、伝わらないことでイライラする人の多くは、「自分」が基準になっているからです。
自分の価値観が世界の中心になっていて、自分が正しいと信じているんです(※)。
しかし人間は不完全ですから、自分が正しいと信じると、必ず争いになります。
自分が正しいと信じることをやめ、「伝え方が悪かった」と本質に目を向ければ、イライラもなくなるわけです。

(※)人は常に幸せになるために行動していますから、自分が正しいならその人は幸せになっているはずです。
イライラしている時点で、「自分は正しくない」と、自ら証明していることになります。



そしてここからがある意味一番大切なところですが、実際、多くの人が、子供や高齢者、外国人などになにかを伝えたいときは、相手の立場になって考え、伝える工夫をしようとしています。
しかし・・・それが慣れた関係になるほど、イライラするんです。
つまり、「そのぐらいわかるでしょ!」と相手に甘えているんです。
イライラの原因は「わかってくれ!(愛をくれ!)」と、叫ぶこと、つまり、「大人の愛は先払い」ということを忘れていることにあります。
パートナーは本来一番大切にするべき存在と言えます。
伝えたいことは、相手の立場になってよく考え、的確に伝える工夫をしてください。
それができたとき、うまく伝わらなくても自分を反省できます。
反省できれば相手を責めることもなく、ストレスにもなりません。


◎聞く側ができること


「聞く側」ができることとしては、相手の言葉を聞いたら、大きな声で返事をするとか、意味の再確認をすることです。


また、相手は、あなたの立場になって説明してくれていると解釈し、「うるさいわね・くどいわねまったく」などと言わないことです。


そして、相手の言葉が理解できない時や聞こえない時は、「わかるように言ってよ!」と怒るのではなく、「お互いに伝えるための工夫をしましょう」と優しく諭してあげてくださいね。

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