大企業と小企業 大きな心と小さな心

(読了目安9分)

◎大企業と小企業



「オーガニック」という言葉が好きな人の中には、「大企業は悪」と妄信している人がいます。


パンで言えば「ヤマザキパン(山崎製パン)」、コーヒーなら「UCC(上島珈琲)」など、業界最大手の企業を批判する人は後を絶ちませんが、大企業の商品は、安全でおいしい場合がほとんどです。


その理由はとても単純で、「安全でおいしいから売れる、売れるから研究ができる、研究するからさらに売れる、そして業界最大手になる」、ということです。


パンで言えば、たとえば数十人の専門家が参加して議論を交わし、年間の研究予算が1千万円ある企業の研究室で作ったパンと、収入ギリギリの生活をしている1人または数人が、年間の研究費3万円の状態で作ったパンがある場合、どっちが完成度が高いかわかりますよね。
また、どっちが売れるかも、わかりますよね。


大企業は、味と値段のバランスが優れ、「大半の人が生涯食べるならこれ」というパンを作ることができます。
しかし小企業は、味と値段のバランスに劣り、「たまに食べるならOK」という高価なパンしか作れないことがほとんどです。
本当に必要とされているパンなら値段が高くても売れますから、小企業のパンが社会から必要とされていないことは、社会が証明しています。


では、小企業が自分の商品を売るためにはなにをすればいいか・・・


そうなんです。
「私のは手作りで心がこもっている・天然素材だから安全・大企業のパンは添加物入り」、などとアピールするしかないんです。
しかし多くの消費者が望むのは、心ではなく「実体・結果」です。
もちろん大企業のパンには毒など入っていませんし、むしろ小企業のパンより衛生的ですが、小企業が流す批判を聞き、大企業が悪いことをしていると信じている消費者もいます。


大企業は小企業を批判することはしません。
相手にするのは面倒ですし、自社が圧倒的に強い立場にあるからです。
大企業を批判するのはいつも小企業や個人で、暗に大企業を批判して売り上げを伸ばそうとするものがほとんどです。
そのことがわかれば、小企業や個人の言葉に同調し、闇雲に大企業を批判したり、疑ったりすることはなくなります。



◎「本当の愛」と「愛のようなもの」


興味深い記事を見つけました。
「毒物扱い」されているパンの添加物 ヤマザキパンの主張に業界激震
という記事です。
話題になったのは以下の内容です。

※ヤマザキ製パン公式サイトから引用
https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html
この記事は、みなさんが愛に近づくために大切な内容だと思います。


最近の市販のパンには「イーストフード、乳化剤不使用」という表示が増えました。
しかし業界最大手(シェア70%以上)のヤマザキパンが売るパンは、「イーストフード・乳化剤」を使っています。
他社製品に「イーストフード、乳化剤不使用」と書いてあるのを見た消費者が、「イーストフードや乳化剤は危険なものだから使わなくなった」と感じ、「なぜヤマザキパンは使用をやめないのか・ヤマザキのパンは安全なのか」という質問が増えたんだそうです。


みなさんは、ヤマザキパンがなぜ、「イーストフード・乳化剤」を使い続けるかわかりますか?
それは、ざっくり書くと「安全だから」です。
意味がわからない人は、以下、マスターと一緒にゆっくり考えていきましょう。
本質が見えてくると愛に近づくことができます。


消費者の「疑問・主張」は、「イーストフードや乳化剤は危険なものなのか」「使用しないメーカーが増えているのはなぜか」「なぜヤマザキパンは使用を続けるのか」「消費者は不安なんです」などです。


これに対してヤマザキパンは、公式サイト内で見事に解答しています。
いつも経済社会に対して否定的なマスターも、この見解にはヤマザキパンの愛を感じ、大企業の力を見直しました。


実際のところはこうです。


他社は売り上げを伸ばすために、消費者の「健康志向・安全志向」を利用しようと考えた。
そこで「イーストフード・乳化剤」を悪役にし、同じ効果でありながら法律上記載義務のない添加物に切り替えて使った。
さらに、わざわざ目立つところに「イーストフード・乳化剤不使用」と表記することで、知識に乏しい消費者に「イーストフード・乳化剤」は危険な添加物だと誤解させ、安全性を前面に出した商品を売りはじめた。
その戦略がうまくいった結果、他社のパンが売れるようになった。
依然としてイーストフードや乳化剤を使っているヤマザキパンは、「食品添加物は危ない」と主張するグループから叩かれた。
そして、ヤマザキパンがイーストフードや乳化剤を使い続けることに不安な消費者が、ヤマザキパンに疑問を投げかけ、これまで静観してきたヤマザキパンが本気で対応した。



業界2位以下の企業は、イーストフードや乳化剤を悪役にしましたが、このような不誠実な行動をとるのは、もちろん売り上げを伸ばすためです。
商品そのもののクオリティーではヤマザキパンに対抗できないため、消費者に安全なイメージを植え込む「情報操作」によって、売り上げを伸ばそうとしたと考えるのが妥当です。


中には、「安全とおいしさを追求するため、イーストフードと乳化剤の使用をやめました」と言っていた企業もあったようです。


これでは一部の消費者は、「ヤマザキパンの商品は危険でまずい」と勘違いしてしまいます。
ヤマザキパンの行動は、「他社に対するケンカ腰な態度」とも書かれていますが、マスターは、顧客の不安を解くために必要な「愛」だと思います。
ヤマザキパンにとっては「他社に対するケンカ」ではなく、顧客の不安をぬぐうために探究をしただけです。
ケンカ腰と感じるのは、むしろ業界第2位以下の企業がやましいことをしているからなんです。


今のところヤマザキパンの主張に対して他社からの反論はなく、ヤマザキパンの主張が正しいということを暗に示しているようです。
つまり、業界第2位以下の会社は、法律にかからないギリギリの線を利用し、ヤマザキパンのシェアを奪おうとし、それに失敗したことになります。
ヤマザキパンは自社の正当性が証明されたため信用が上がりますから、業界2位以下とのシェアの差がさらに広がる結果になったかもしれません。


業界2位以下の企業に就職する若者たちの中には、「私はこの会社の役に立つ!」「お客様の笑顔が見たい!」と張り切っていた人もいたはずです。
しかし今回の件で、その夢は少し遠ざかったかもしれません。
マスターは、消費者に誤解させてでも自社のパンを売ろうとしている会社は、「精神衛生上危険なもの」を売っているんじゃないかと心配になります。
顧客は「無添加・不使用」などの表記で、安全だと期待して買ったのに、それがほとんど意味のないものだと知ったら、むしろがっかりするからです。


また、イーストフードや乳化剤と同じ効果を持ち、かつ、法律上表記義務がない添加物を「開発・調達」するスタッフは、言ってみれば顧客をだますための研究をさせられたわけですから、悪く言えば、「悪の手先」になってしまったんです。
「私はこの会社の役に立つ!」「お客様の笑顔が見たい!」本気でこう思って入社した社員たちは、気が付けば悪の手先として働いていたことになります。
企業の多くは表面上「お客様の笑顔のために・社会貢献」と公言していますが、ふたを開ければその逆です。
(社会は「一生愛を誓う」と公言してそれができない人間が作っていますからね)
会社の幹部たちは、顧客や社員たちをだまして稼いだお金で、なにをしているんでしょうか・・・



以下、ヤマザキパン公式サイトの記事をもう一度紹介しますが、同業他社の実名を出さず、「A社・B社・C社」としているところは、「武士の情け」を感じました。
https://www.yamazakipan.co.jp/oshirase/0326.html
この記事の全文に目を通すことで、きっと今後の人生が変わります。
特に「自分には妄信傾向がある」と感じている人にはいい刺激です。
(全部読むのが面倒な人は「ヤマザキパンは安全」と理解できればOKだと思います)
また、「他人から感情的な態度をとられたくない」と思っている人は、自分がそうならないように注意しながら、冷静にゆっくり読んでみてください。


パン業界2位以下の会社には、これほどの研究結果を出す資金はないはずです。
また、他社にとっては、パンの成分などについて調べれば調べるほど、ヤマザキパンの「強さ」が目立つ結果になるので、調べる気にならないというのが本音かもしれません。


もう一つ情報です。
現在、「無添加・不使用」などの表記について、「消費者に誤解を与える」という懸念が強まり、日本食品添加物協会で議論になっています。

※一般社団法人 日本食品添加物協会 公式サイトPDFより
https://jafaa.or.jp/pdf/kyokai/180117_kyokaikenkai.pdf

簡単に言えば、「企業の利益のために、消費者を騙すような表記はやめましょう」ということです。
本来、企業は社会貢献のために設立されますが、ほとんどの企業が、自分の会社の利益のために活動しています。
そのひとつが、「無添加・不使用」という表記で「安全性」を連想させ、自社製品を買わせようとする行為です。
知識に乏しい消費者は、安全だと思って買うわけですが、そもそも根幹にあるルールを守っていれば、市販食品は安全なことがほとんどなんです。

※その後マスターなりに調べてみたところ、「イーストフード・乳化剤無添加」としていた商品から、その表示が消えているものもあり、消費者を騙すような表記は減っているようです。
この20年の業界の闇が少し晴れたかもしれません。
今後おそらく「天然酵母」という表現についても検討されていくと思います。


◎まとめ


今回ヤマザキパンが業界に釘をさしたのは、業界2位以下の企業が、「悪意のある表記」で、正規の表記を続けるヤマザキパンを間接的に「危険なパンを売る会社」と仕立て、ヤマザキパンの顧客を不安にさせたからです。
悪い噂が立てばヤマザキパンの売り上げは落ちますから、ヤマザキパンの社員の生活も脅かされます。
そんな理由から出された「おまえら顧客を誤解させるのはやめたらどうよ」という、ヤマザキパンの冷静な一撃が、他社を震撼させたわけです。


もちろん消費者の知識が乏しいこともいけないんです。
しかし、消費者の知識が乏しいのは当然ですから、その部分を補うのが企業の役割でもあるわけです。


つまり、商売の元になる考え方が、

「お客様はなにも知らないから、誠実に売ろう」


「客なんてなにも知らないから、だまして売ればいい」


この違いです。
もちろん前者が愛です。
ヤマザキパンがこの愛を貫くことができるなら、ある意味一人勝ちの状態は続き、これからもきっと、業界最大手の会社だと思います。


上記と似たような話で以下も参考にしてください。
6分ほどで読めると思います。
食パンよりコーンフロスティ!



◎大きな心と小さな心


大きな心を持つ人は、他人を批判しません。
他人を批判するのは、小さな心を持つ人です。

「大きな心」というのは、今回紹介した「ヤマザキパン」のような心です。
目先の利益に飛びつかず、軸をブラさず生きていくことができれば、周囲からの力に動揺することなく冷静でいられます。
一方「小さな心」というのは、業界2位以下の会社のような心です。
目先の利益に飛びつき、自分の利益ばかりを追い続けると、なにかあったときに信用をなくすだけでなく、「ケンカを売られた」と感じてしまいます。
みなさんは、「大きな心」でいてください。
長く愛されるのも、もちろん「大きな心」の人です。

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