化石は神の失敗作 ―昔の医療と健康法―

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「化石は神の失敗作、命を吹き込む前に神が捨てたもの」


現代はこんなことを言う人はほとんどいませんが、数百年前のヨーロッパの人たちは、本気でそう考えていたようです。


理由は、彼らは生まれたときからキリスト教徒で、「全ては神が作った」と言われて育ったからです。
他にも「地球が宇宙の中心だ」とか、「海は平らだ」と本気で言っていたんです。
みなさんは、そんな時代の人が作った学問を、自分の人生の「基礎」として生きる気になるでしょうか。
たとえば体調が悪くなった時、「悪魔祓いをする」という医療行為と「人間ドックで検査しましょう」という医療行為があったとき、みなさんはどちらを望むでしょうか。


今の生活に不安や不満があると、それらを「時代」のせいにしようとする人が必ずいて、「昔は良かった」と、過去の知恵にすがり、不安や不満を解決しようとすることがあります。
中でも、「古(いにしえ)の知恵」などと表現し、昔の学問や考え方にのめりこんでしまう人がいますが、みなさんはのめりこまないように気をつけてください。


マスターが気をつけてもらいたいのは、特に医学や健康面について説かれているものです。
昔の医学や健康法は、「化石は神の失敗作」・・・こう信じていた時代の人たちが考えたものなんです。
昔の人は、現代人よりも、「人の身体の仕組み」を知りませんでした。
そんな人たちが神の存在を前提に考えた医学や治療法が、現代の医学より本質的なものと言えるかは疑問です。

「身体の中の悪魔を追い払えば病気が治る」

「患部から血を抜けば毒が出せる」

などの治療法は、やっぱり怖いですよね。


たとえば通信手段が「手紙」しかなかった時代の知恵と、スマホがある現代の知恵では、現代の方が優れていますが、医学もこれと同じです。
昔の医療や健康法は、現代では医療行為と呼べないため、免許が不要で簡単に商売として開業できるものがあります。
その手軽さに目をつけ、一部では、病気や健康面で困っている人を相手にした「健康ビジネス」が盛んです。
「いにしえの」とか、「3000年前から伝わる」という言葉で、高価な植物の販売や昔ながらのマッサージをするわけです。
人の身体に害が出ないうちは法律で禁じられることはありませんが、昔の医療や健康法ほどあいまいなものはありません。
まして外国の医学や健康法になると、翻訳が正確にできるはずもなく、なおさらあいまいなものなんです。


ですからみなさんは慎重になってください。
「健康ビジネス」で売られているものの中には、古い時代の考え方によるものがたくさんあります。


病気になって悪魔祓いをする時代は終わりました。
現代、様々なバイアスがかかった情報が飛び交い、昔の医学や健康法にのめりこんでいる人も多くいますが、「今の学問はダメ。だから昔の学問がいい」という思考ではなく、「今の学問がダメなら昔の学問はもっとダメなんだろう」と考えるのが本質です。
過去を振り返るのも大切な時がありますが、もっと大切なのは今、そして未来です。
今、そして未来に目を向けて生きてください。

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