あるOLの成長 自己啓発セミナーと宗教

(読了目安10分)

「自己啓発セミナー」に行って人生が好転し、その状態が続いている人は少数です。
お金と時間をかけてしまうため、「私は変わった」と信じたい人は多くいますが、人は変わるのに時間がかかるので、短期間のセミナーでは、心からの幸せや希望を維持することは困難です。


今回は、前回の続きのような内容ですが、「自己啓発セミナーや宗教などにコストをかけないでくださいね」「人はセミナーに行かなくても成長することができます」という話です。


・・・


以前、朝の仕込みの合間に、「自己啓発セミナー」や「宗教」について、スタッフと話したことがありました。

「それらで自分を変えていくことができるのか」

「効果はあるのか」

「なにが手に入るのか」

「費用はいくらかかるのか」

などの話です。


人は人生でなにかに迷ったとき、自己啓発セミナーや宗教を始めることがあります。
自力でどうにもならないとき、他人の力を借りるのはいいんです。
しかし「商業社会」には、迷っている人たちの心理を利用し、「あなたのお役に立ちます」という看板をかかげてお金集めをしている団体があり、自己啓発セミナーや宗教の多くもその中に含まれます。


マスターの店で、カフェの経営を目指して修行中だったスタッフも、東京在住時代は、会社の社長に誘われたりして、自己啓発系セミナーに参加したことがあったようです。


しかし結局のところ、お酒や人間関係のトラブルから離れることはできず、状況はむしろ悪化し、マスターに相談をしてくれた経緯があります。
マスターは、自己啓発セミナー主催者や、それを勧める企業のトップたちがやっていることをだいたい把握していますから、セミナーや宗教にお金と時間、精神的コストをかけるのはもったいないと思っています。


物事は、営利目的の商業的な指導者から学ぶより、実際に好きでやっている探究者から学んだ方が有意義です。
たとえば「料理・包丁の使い方」は、「お金を稼ぐために料理教室の先生になった人(お金が優先)」から教えてもらうより、「料理が好きな研究者(お金も稼ぐけど)」から教えてもらった方が、本質を学ぶことができます。
流行のヨガで言えば、以前も書いたかもしれませんが、「儲かるからヨガの先生になった」というインド人男性から学ぼうとすると、美人ほどセックスに誘われることになります。
しかし、本質を探究しているヨギからヨガを習えば、本質を学ぶことができます。


マスターがみなさんに知ってもらいたいのは、ざっくり書くと、「自己啓発セミナーや宗教では愛に近づけない場合が多い」ということです。
それは、これらの多くが「商業ベース」だからです。


初めに書いたように、マスターの店に滞在したスタッフは、東京での自己啓発セミナーでは状況が好転せず、マスターの店にカフェ経営の修行をしに来ました。
東京では、自分を高めるためのセミナーを3つほど受けたようですが、どこか釈然としないまま、自然消滅のような終わり方をしたそうです。


マスターの店に来てからの彼女は、主にカフェの経営者になることを目指しながら、「ダイエット・カフェ経営あれこれ・包丁の使い方・バイクの運転」をやりました。


「ダイエット」は3ヶ月で8キロ落とすことに成功しています。


「カフェ経営あれこれ」については、掃除、調理、接客、会計などを、基本的に一人でできるようになり、マスターは「いつでも卒業していい」と伝えました。


「包丁の使い方」は、調理師に教えられるまでに成長し、岐阜県関市の包丁メーカーと包丁の開発をしました。
「刃物まつり」では、包丁メーカーの服を着て実演販売したので、メーカー公認の技術があるということです。


「バイクの運転」では、高度な運転もできるようになり、「そんなに興味があるなら」と常連さんたちがバイクのキーを貸してくれ、試乗させてもらったバイクは100台以上になりました。
ツーリングやサーキット走行に誘われることも増え、バイクで走る風景のドローン撮影にも参加させてもらえるようになりました。


スタッフは当初3ヶ月の滞在で東京の生活に戻ろうと考えていたようですが、3ヶ月でわかったことは、「自分はなにもできない」ということだったそうです。


そりゃそうですよね、マスターは彼女に対する愛として、彼女を「大人扱い」したんです。


東京での彼女は、いつも褒められていないと不機嫌になり、褒めてくれない人には口論をふっかけるような「子ども女子」だったそうです。
初めてマスターの店に来た時、カフェ経営を目指す彼女が知っていたことは、大げさに言えば、必要なことの10%でした。
つまり、ほとんどなにも知らない状態です。


車の運転や包丁の使い方、そして長く愛されるために必要なことも、みんな必要なことの10%しか知らなかったんです。
バイクの運転に至っては「0%」でした。


そして、自分がなにもできないことを自覚してからは、本気のトレーニングが始まりました。

マスターの経験上、様々なことに対して「積極的・本気」で取り組むと、必ず周囲がそれを感じて応援してくれ、「好循環」が始まります。
好循環が始まればスキルは上がり、その喜びが「やればできる」という自信につながり、その自信が堂々とした態度につながっていき、やがて人から大人として見られ、尊敬されるようになります。
人は人を尊敬するときに幸せになれますから、人から尊敬される人になることは愛です。


スタッフが得たものは、主に以下の4つです。

1:8キロのダイエット

2:カフェの経営全般のスキル

3:調理師に包丁の使い方を教え、包丁を開発できる包丁関連のスキル

4:ベテランライダーから一目置かれるバイクのスキル

その他にも、

「マスターの店のメニューの全レシピ」

「自動車のペーパードライバー教習」

「日曜大工」

「カメラの使い方」

「薪ストーブの使い方」

「社会の仕組み・心の仕組み・平和な生き方」


なども学びました。
しかも全て「理論」だけではなく、マスターが今の生活で実践中の本質的な内容です。
なにもできなかったOLが、8キロのダイエットをし、カフェの経営スキルを身に付け、包丁の使い方を教えられるようになり、バイクに乗るのが上手になれば、周囲から尊敬され、自分の人生が大きく変わることは容易に想像できますよね。


これらが本当の意味での「自己啓発」と言え、自己啓発セミナーや宗教では手に入らないものなんです。


そして彼女が得た一番大きなものは、きっと将来に対して「希望」が見えたことです。
もちろん同時に、「人生はまだまだ大変だ」とわかった上で、登山途中の雲間に山頂を見たような、はっきりとした「希望」を持つことができたように思います。


力を抜き、明るく積極的な接客ができるようになったため、彼女はお客様や近隣の多くの人たちから好かれるようになりました。
それからはほぼ毎日、彼女のファンのうちの誰かが来店するようになり、ファンの数は増え続けています。
スタッフにとっては、みんな自分に会いに来てくれるわけですから、接客がやりやすく、楽しいことは想像できると思います。
もちろん今後スタッフになにが起こるかわかりません。
包丁で大ケガをするかもしれませんし、バイクで事故を起こして生涯後遺症を残すかもしれません。
しかし、たとえ短くても多くの刺激と共に生きることができるなら、少ない刺激のまま長く生きるより、「私は生きた!」と胸を張れるはずです。


ところで、上記のスキルを手に入れるために必要な費用は、いくらだと思いますか?
参考までに、一般的な社会では、ダイエットは、ライザップだと最低30万円、調理師専門学校は、2年で150万円程度です。
バイクの教習は1時間4千円(マスターは100時間以上教えました)、車の運転も同じ程度の費用です(50時間以上教えました)。
料理と包丁の使い方については、初歩から丁寧に500時間は教えたと思います。
その他に紹介した事柄も、一般社会ではその都度お金がかかります。
なにより大切な「希望」を手に入れるための料金は、数字にできない価値があります。


では、これらの費用はいくらなのか・・・


答えは・・・


無料です。


お金がかからないというところがポイントなんです。
マスターが無料でスキルを伝えているのは、スタッフのことをある意味、妹や娘のように思っているからです。
スタッフは滞在中、スキルアップのために他の店でバイトをしたり、繁忙期のペンションの手伝いをしたり、お客様からチップをいただいたり、自分で開発した包丁が売れたりして、むしろお金が貯まっています。


包丁の開発やサーキットでのヒザスリは、OLではなかなか体験できないことですが、彼女がこれらを体験できたのは、自己啓発セミナーや宗教などを通して限界を感じ、違うことに挑戦したからです。
マスターは、彼女がセミナーや宗教に生涯をそそがなくて本当によかったと思っています。


※初めてのミニサーキットで「ヒザスリ」を体験したスタッフ(公道では安全運転です)


そして新しいことに挑戦するとき、「民間の資格や検定」に目を向けなかったことが、大きな成長につながった要因だと思います。
また、新しいことに挑戦すると成長につながりますから、これは自分に対する愛です。
自分に愛をそそげるようになれば、他人に愛をそそげるようになります。
他人に愛をそそげれば、それは必ず自分に返ってきて、好循環を生み出します。
彼女がずっとOLだったらお金を稼ごうとする年配者たちが流す情報や流行を追いかけ、お酒を飲みながらパートナーの愚痴を言う人生になったかもしれません。
みなさんは、自分はなにもできないのに人の批判や愚痴を言い、イライラしたり、泣いたりわめいたりしている人と一緒にいたくないですよね。


人生は、一回だけの本番です。
たとえば今後3年間、毎週2時間、3千円分飲んで愚痴を言い、ダイエットに30万円を使う生活をするなら、その300時間と80万円を他のことに使ってみてください。
きっとすごい成長につながります。
もちろん自己啓発セミナーや宗教は、マスターはお勧めしません。
また、民間のお金がかかる資格や検定も、ほとんど意味がないと思います。
資格や検定に、人を幸せにする力はないからです。


◎まとめ


マスターの知人に、こんな人がいました。
社会貢献できるだけの人間力がなく、30歳を過ぎても就職できないため、収入は20代からやっているアルバイトのままでした。
自分の人生や人間関係に納得できないのか、バイトで貯めたお金を、自己啓発セミナーに使い、周囲がさらに引いてしまい、自己啓発セミナーの仲間の中でしか生きていけなくなっていました。


これは一部の宗教の信者と同じ構図です。


宗教の枠から出ると否定されるため、宗教に守られながら、信者たちと慰めあっているような状況です。


その知人は、痩せることとはっきり話すことの2点ができれば、自己啓発セミナーに頼らず、通常の生活も結婚もできると思います。
しかし知人の家族では、それを自分たちの力で是正することができないわけです。
ですから自己啓発セミナーに参加することになったんですが、自己啓発セミナーでは、得られるのは短期的な高揚感だけで、長期的には状況は悪化します。


これが「悪循環」です。


こうならないためには、まず社会貢献できる人になっておけばいいわけです。
そうすれば孤立することはありませんから、自己啓発セミナーに行く必要もなくなります。


みなさんの周りにもいませんか?
自己啓発セミナーの前に、やるべきことをやっていない人が。
「スリムな体型になる・はっきり話す・猫背を直す・否定的なことを言わない」、こんな基本的なことをまずやってみてください。

マスターは、何も知らなかった20代のOLが、社会貢献できるまで成長したのを実際に見ています。


番外:
今年のGWの4月28日(金)~5月8日(月)、マスターの仕事を手伝ってくれるスタッフを募集しています。
宿泊・食事・光熱費・通信費(Wi-Fi)などは全て無料ですが、給料はありません。
お金の代わりに、自然やお客様とのふれあいの中、たくさんの体験をしてもらえると思います。
以下はマスターの店の募集ページです(写真は15年ほど前のものです)。
http://www.tihal.com/wwoof.html


・・・


投稿タイトル一覧は以下です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?