トマトを世界一美しく切ってみましょう 2 ―切り方―

(読了目安6分)

では「トマトのくし型切り」の方法です。
前回に続き、写真が多い内容です。
調理師や料理教室の先生方も参考にしてください。


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みなさんが目指す人生をトマトで例えると、以下の写真の奥にあるトマトでしたね。

奥がマスター、手前が21歳フードコーディネーターが切ったトマト



マスターが紹介する切り方は、トマトの「硬さ」に甘えることなく、たとえ柔らかいトマトでも、できる限り自分の実力で美しく切る方法です。
人生で言えば、周囲の大人たちの「大人度」に甘えることなく、できる限り自分の実力で美しく生きる方法だと思ってください。
言ってみれば、自分の幸せに責任を持つ生き方(切り方)です。


自分で考えてもなかなかできないことが、他人からのヒントを得てできるようになる場合があります。
そのとき、その道の先輩からの知恵を受け継ぐことの大切さだけでなく、自分の無知や未熟さに気づくことができます。
それをはっきり理解して受け入れられるようになれば、みなさんは一段階成長したことになります。
無知や未熟さを受け入れることで、寛容さ、謙虚さ、感謝の気持ちを持つことができ、それが結局は自分自身のストレスをなくしてくれます。
ストレスがないということが、本人にとって、そして他人にとってどれだけ大きな「愛」になるかは、これまでに何度も書いているとおりです。
「大人になる」ということは、「自分の小ささを知ること」と言い換えることができるかもしれません。



◎切り方 トマトのくし型切り8等分


実際に切れる環境なら、この説明を読みながら切ってみましょう。
マスターは完成まで1分もかからず切ってしまいますが、みなさんはまず慎重に、噛みしめるようにやってみてください。
良く切れる包丁を用意することが大前提になります。


1:指でつまんで取れる範囲でヘタをとります。

切った後の細かいヘタが、まな板に残るのを防ぎます。

ヘタをこのように取ります




2:ヘタの部分を下にして置き、トマトの中心にある黒い部分の右側に刃を当て、刃渡りを長く使って切ります(前後に動かす量を多く取ります)


作業後半になるほどムリに包丁を下げようとせず、刃渡りを長く使って優しく切ってください。
左手でトマトを少し持ち上げるようなイメージにするとトマトがつぶれませんが、指に入る力が大きすぎるとトマトがへこみますから気をつけてください。
トマトの中心にある黒い部分を避けるのは、そこが硬いからです。
硬いところをムリに切るとトマトの先端がつぶれてしまい、後々皮が剥がれやすくなります。
黒い部分は、8等分したひとつに残るように切ります。
また、黒い部分が大きなものは、食感も悪いですから、トマトを薄切りにする要領で切り落としていいと思います。



3:断面を上にして置きます

(においや雑菌の付着を防ぎ、トマトの中心線を見極め、種を果肉の中に収めるように切るためです)。

種が入っている部屋を見やすくするための置き方です。





4:ヘタの部分に刃の手前側を軽く当てて、包丁の左右のブレをなくします。

ヘタの部分に刃を当てて包丁がブレないようにします




5:半分になる位置を狙い、そのまま包丁を引きながらトマト先端部分に刃を5ミリほど入れ、あとは丁寧に包丁を前後させ、刃渡りを長く使って最後まで切ります。

包丁を引きながら切る


包丁を引きながら皮を通過させることがポイントです。
押しながらだと皮が身から剥がれてしまいます。
これも左手でトマトを持ち上げるようなイメージです。
力を入れすぎるとトマトがつぶれますから気をつけてください。



6:全体が4分の1になったところでヘタを切り落とします。

このとき包丁が最後に抜ける部分が、まな板から離れないようにしてください。
皮が剥がれないためには刃渡りを長く使って切るのがコツです。

4等分してからヘタを切り取ります
できるだけ刃渡りを長く使うことと種まで刃を入れないことがポイントです



7:ヘタをとった部分の角に刃の手前側を軽く当てて、包丁の左右のブレをなくします。

包丁の手前、アゴ付近を乗せます



8:半分になる位置を狙い、そのまま包丁を引きながらトマト先端部分に刃を5ミリほど入れ、あとは丁寧に包丁を前後させ、刃渡りを長く使って最後まで切ります。


やはり左手でトマトを持ち上げるようなイメージです。
力を入れすぎるとトマトがつぶれますから気をつけてください。


9:完成




10:盛り付け写真

念のため、切り口が目立つような盛り付けをした写真も掲載しますね。
写真のトマトはどちらかと言うと柔らかいタイプですが、切り口のシャープさや、種が出ていない様子、どれもほぼ8等分されている様子がわかると思います。

ヘタが内側

全体的にシャープな仕上がりです



ヘタが内側 (拡大)

皮もめくれていません



先端が内側

先端の皮もきれいなままです



先端が内側(拡大)

皮がめくれていません



以上です。
トマトの都合を考え、丁寧に切ると、美しく切ることができます。

◎大切なメッセージ

「トマトのくし型切り」と検索してみてください。
有名な「ABCクッキングスタジオ」をはじめとして、トマトのくし型切りの「お手本」が世界に発信されています。
切り方を知らない人が見れば、どれも「素晴らしい」と感じるものかもしれませんが、このnoteを見た後は、たとえ大手企業と呼ばれる企業の動画でも、マスターが切ったものよりキレイな仕上がりのトマトはないとわかります(マスターは調理師にトマトの切り方を教えることがあります。マスターの弟子は包丁メーカーの社長に野菜の切り方を教えたことがあります)。
マスターが起業のトップなら、検索で出てくる動画は発信しません。
なぜこのような動画が世の中にでてしまうのか・・・それは、起業が目先の利益を追うからです。
本当に大切なことを研究しようとしていないんです。


世の中には、道に迷う人たちに対して、「わからないことがあるなら私が教えてあげるよ、はい10万円ね」などと、お金と引き換えに、本質とは遠いものを教えてくれる人がたくさんいます。
料理教室、そしてスピリチュアル系や自己啓発ビジネスの一部などは、その一例です。
民間の資格や検定なども、発行する側が利益になるものばかりで、実際に役に立つものはほとんどありません。


マスターがみなさんに伝えたいのは、「経済社会の仕組みに取り込まれないでください。愛を見失います」ということです。
資格や検定は、あっても負担になるものではありませんが、「人間力」というたったひとつの力を身に付ければ、人は誰もが愛に近づけます。
逆に言えば、人間力を身に付ければ、あとはなにもいらなくなります。
自分を客観視し、未熟な部分を鍛えてください。
長く愛されない理由は、人間力を鍛えないからです。


次回、この流れでグレープフルーツを剥く話を少しして、終わりたいと思います。

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