トゲ抜き ―信用を得るための努力―

(読了目安2分)

10年ほど前の話です。
小学校1年生の娘の小さな手のひらに、3つの小さなトゲが刺さりました・・・
娘は、痛みと不安で泣きます。
そこで「トゲ抜きお父さん(マスター)」の登場です。


針と細いカッターを持ったお父さんが、娘の前に現れました。


しかし娘は、「これで助かった~!」どころか、針やカッターを使ったトゲ抜きは激痛を伴うと信じていて、とても嫌がりました。
「未知の激痛」におびえて、お父さんにトゲ抜きを任せることができないんです。


マスター「痛くないよ」


娘「こわいー」


マスター「痛くないから」


娘「ぜったい痛いー」



こんなやり取りを続けましたが、娘をなんとか説得し、トゲ抜きを開始しました。


このときのトゲ抜きのポイントは、「いくら時間がかかっても、決定的な痛みを与えない」ということです。
娘は、父の「痛くない」という言葉を信じることで、どうにか自分を保っているからです。


そして無事にトゲが抜ければ、マスターは娘から絶大な信用を得ることができます。


マスターは、緊張しながらも、丁寧に丁寧に、娘とおしゃべりをしながら時間をかけてゆっくりとトゲを抜きます・・・


皮膚をつまむときの場所や強さ、針の角度など、常に「痛くないこと」を第一に、慎重に作業を進めました。


10分後、小さなトゲは痛みを感じることなく取り除くことができましたが、もしマスターが手抜きやミスをして娘が痛みを感じたら、「トゲ抜きは痛い」というトラウマになってしまったかもしれません。


さて、トゲがなくなり、痛みがないことを確認した娘は大喜びでした(^^♪
娘はその夜、自分の日記に「トゲ抜きは痛くなかった」ということを書いたそうです。


これで娘の信用を得ることができ、イザというときに娘を守ってあげやすくなりました。

「信用されるための努力」は、まさに愛をそそぐということですが、その後、さらに愛をそそごうとしたとき、相手から信用されているかどうかが大きな意味を持ちます。
「子どもに対する愛」で言えば、普段から信用されていることで、「イザという時に親の忠告に重みが出て、子どもを助けやすくなる」ということです。


100点はムリでも、信用される父親であるために努力し続けたいと思います。
みなさんも、信用される人でいてください。
その努力が「愛する努力」です。


たまたま当日の写真が見つかりました。
マスターの妻と娘が、体験学習で滞在していた女性の薪割り風景を見ています。
この日の夜、娘はマスターにトゲを抜いてもらい、「トゲ抜きは痛くなかった」と日記に書きました。

薪割りをする体験学習希望者とそれを見ている妻と娘


・・・

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